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行政と企業が一体となって取り組む地域創生のかたちとは?「ワインの街・上田」を目指して

長野県上田市の丸子地区で、広大なブドウ畑に囲まれた小高い丘に佇む「シャトー・メルシャン 椀子まりこ ワイナリー」。ワインツーリズムに取り組む世界のワイナリーを選出する「ワールド・ベスト・ヴィンヤード2023」で、アジアNo.1に輝いています。

「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」の躍進だけでなく、ここ数年で「ワインの街」としての存在感を打ち出している上田市。その背景には、「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」の誕生を機に上田市とキリンが締結した「ワイン産業振興を軸にした地域活性化に関する包括連携協定」と、それを軸としたさまざまな取り組みがありました。

行政と企業が連携して取り組む地域創生とは、そして単にワイナリーを作るのではなく、「ワインの産地になる」とはどういうことなのか。キリンホールディングス株式会社CSV戦略部の中川紅子と、連携当初から上田市役所で担当を務めてきた益滿行人ますみつゆきとさん、そして昨年から新たにワイン事業の担当となった竹本万里奈さんにお話をうかがいました。


ワイン産業の活性化を目指す、上田市とキリンの出会い

キリン:中川紅子 上田市役所:益滿行人さん 上田市役所:竹本万里奈さん
(左)キリン 中川紅子、(中央)上田市役所 益滿行人さん、(右)上田市役所 竹本万里奈さん

―最初にキリンが上田市でワイナリーを立ち上げることになった経緯を聞かせてください。

中川:もともとはキリングループのメルシャンが、ワイン用ブドウを栽培するための最適な土地を探していて、いくつかあった候補地のうちの一つが上田市でした。陽当たりのよさ、降水量の少なさ、天候が安定していて、風通しもよくて、ブドウの栽培に適した環境とともに一定程度のまとまった敷地がとても魅力的であったと聞いています。

当時は上田市として合併する前の丸子町でしたが、2003年からメルシャンと丸子町、地域の方と一緒にヴィンヤード作りをスタートしました。

『シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー』ワイン樽

益滿:丸子町ではかつて養蚕が行われていましたが、戦後は精密機械や自動車部品などの工業が発達して、畑をやっていた人たちがみんな工場に行ってしまって。なので、この土地は長らく遊休荒廃地(しばらく農地として利用されておらず、その後も活用される予定のない土地)になっていました。

だからといって、すぐに貸すことができたかというと、そんなことはなくて。土地が細かく分かれていて、地権者の方が100名以上いらっしゃったんです。その方々をまとめてくださった地元の人たちと行政が一緒になって、「ここをワイン用のブドウ畑としてメルシャンという会社に貸すのはどうでしょう」という話を進めていきました。

町としても、これだけ大きな土地が空いて、荒れ果てている状態では手をつけられていなかった。だから、そういう状況を一気に変えられる可能性に賭けようということになったんです。

―お互いにとってメリットのある話ではあったんですね。

益滿:そうですね。当時は一帯が藪で、我々の背丈よりも高い草が生え放題の状態でした。それをメルシャンの方々と地元の方々、行政の人間も一緒に切り拓いていきました。

中川:最初はもう開墾からスタートした感じでしたよね。

『シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー』外観
東京ドーム6個分の広大なヴィンヤード(ブドウ畑)の真ん中に建てられた「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」

―ヴィンヤードを作ったときから、いずれはワイナリーも建設する構想はあったのでしょうか?

中川:シャトー・メルシャンは山梨県の勝沼にワイナリーがあり、開場時から、ここ上田市で作られたブドウは勝沼で醸造されていました。ワインを造るうえでもブドウの鮮度は重要なので、収穫された場所で醸造できるようにしたいという想いは、きっと当時からもあったと思います。

2019年の9月、ヴィンヤード開園から16年を経て、「地域と共生するブティックワイナリー」をテーマに椀子ワイナリーが完成しました。「①地域との共生、②自然との共生、 ③未来との共生」の3つをコンセプトに、ブドウ栽培から醸造までワイン造りのすべてを魅せる、手摘みのブドウを使った高品質のワインを造るブティックワイナリーです。

上田市には「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」以外にも、多くのワイン用ブドウの生産者やワインメーカーがいます。そんな上田市のワイン価値を広く伝え、ワインで地域の魅力を発信していくために、その年の12月、キリングループ4社と上田市で「ワイン産業振興を軸にした地域活性化に関する」包括連携協定を結びました。

―キリンとそうした協定を結ぶということに関して、上田市の方ではスムーズに話が進んだのでしょうか?

益滿:キリンさんからは、「上田市の課題である農業の衰退を一緒に解決していこう」というご提案をいただきました。行政という組織の性格上、一番気にしないといけないのは公共性や公益性という部分。どこかと提携するためには、なぜそれをやる必要があるのかという根拠を求められます。

キリンさんと連携しやすかった理由の一つには、CSV経営を掲げて、その実績も出されていたというのがありました。「お互いの課題を解決するために、共通でやれることを見つけていきましょう。そのために目先のことではなく、少し遠くに目標を置きましょう」という話ができたので、キリンさんとワインの事業を進める連携協定を結ぶことができました。

『シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー』のワイン

中川:シャトー・メルシャンには「日本を世界の銘醸地に」というビジョンがあります。なので、単にワイナリーを作るだけでなく、地域の人たちと一緒にワイン文化の形成に取り組んで、新しい価値を作っていく使命があります。

地域にとっても、自分たちにとっても意味のある共創価値を作るというCSV経営を促進していたので、上田市にもそういうご提案をさせていただきました。

益滿:上田市とキリンさんの包括連携協定は、ワインが地域の新たな基幹産業として発展し、地域産業との有機的な結びつきによって、街としてのブランド化やシビックプライド(地域や自治体への住民の愛着や誇り)の醸成を目指した連携でした。

上田市としても、ヴィンヤードを作ったときから「ワイナリーもできてほしい」という地域の希望があったんです。ですから、椀子ワイナリーのオープンは地域にとっても悲願の出来事でした。

部署や課を乗り越えて、理想の未来を描いた1年目

キリン:中川紅子 上田市役所:益滿行人さん 上田市役所:竹本万里奈さん

―包括連携協定を締結したうえで、具体的に官民連携でどんな取り組みが進められていったのでしょうか?

中川:協定のなかで掲げた8つの項目のうち、まずは「ワイン産業をリードする人材育成」、「ワインツーリズムの構築」、「上田市の地域産業の振興」、「ワイン文化の醸成と環境保全」という4つのテーマを実施するために、キリンと上田市のさまざまな課の混合チームで分科会を作って、何ができるのかを話し合いました。

上田市×キリン 官民連携1年目の取り組み

益滿:キリンさんと上田市で総勢60名が集まって、オールスタッフミーティングを開催したんですよ。協定の項目に関係しそうな部署に片っ端から声をかけて、それぞれ領域に割り振って、「何ができるか」とか「何があったらいいのか」とか、そういうアイデアを出し合う会でした。思い描く理想をみんなで出し合うみたいな。

中川:例えば、交通課の方からは「ワイナリーに来てもらうためにはバスが走っていたほうがいいよね」とか、「案内板がないと場所がわかりにくい」みたいな話がでたり、観光課の方とは「地元の人なのか、インバウンドなのか、どういう人に来てもらいたいのか」といった議論をしたりしました。

その結果、ワイナリーまでバスが来るようになり、道に案内板が設置され、地域の方にワイナリーを知ってもらうためのイベントが開催されるまでになりました。

上田市 椀子ワイナリー前のバス停
椀子ワイナリー前につくられたバス停

―それはまさに行政と民間が協力したからこそ実現したことですね。

益滿:部署ごとにではなく、課を超えて網羅的に取り組めたのは包括連携協定を結んでいたおかげですね。

中川:当時行政の方がおっしゃっていたのは、上田市には遊休荒廃地の増加や農家さんの減少という課題があって、そこにワイナリーができたことで農家さんが増えたり、観光人口が増えたりして、かつての賑わいを取り戻す一つのきっかけになるかもしれないといった話でした。そういうスパイスになれたら、私たちとしてもうれしいなと思ったんです。

―企業が大きな事業を始めることで地域に関わる人が増えて、それが円滑に進むように行政が環境を整備する。理想的な関係に思えますね。

益滿:ただ、ワインに関連する部署の理解は得やすかったんですが、少し遠いところの環境や教育、健康関連の部署などとは、協定の目的やキリンさんのCSV経営について何度も説明を重ねる必要がありました。民間だけでなく、行政側の人材育成も両輪で進めていく必要があったので。

行政が作った建物の運営を民間にお願いするという官民連携は一般的ですが、そうではなく、ワインというコンテンツを活かしたソフト事業を官民連携で進めるというのは、あまり他の自治体でも事例がなかったので大変さもありました。だけど、難しさと同時に誰も経験したことのない仕事をするという、おもしろさもありましたね。

同じ方向を目指すための北極星を。ミッション・ビジョン・バリューを掲げた2年目

キリン:中川紅子 上田市役所:益滿行人さん 上田市役所:竹本万里奈さん

中川:包括連携協定を結んだ初年度は、いろんなアイデアが生まれて、形にもなっていきました。ただ、ワインのイベントをしたり、ツーリズムのためのフォーラムを開催したり、小学校で環境学習をしたりというように、いろんなことを同時に進めていくなかで、「ちゃんとみんなが同じ方向にむかっているのか?」という点に疑問を感じるようにもなりました。

やっぱり民間と行政って、判断の軸も、スピード感も違うんですよ。最初は同じ方向を見ていても、進めていくなかでズレも出てきて。だから、みんなが目指すべきミッションやビジョン、バリューを作ろうということになったんですよね。ブレない北極星のようなものがあれば、やり方やスピードが違っても、同じ方向に進めると思いました。

上田市×キリン 官民連携 ミッション・ビジョン・バリュー

益滿:当然のことなんですけど、役所側にはワインの知識が足りなかったんですよね。だから、とりあえずブドウとワインを作っていこうという考え方だったんです。だけど、そうじゃなくて「ワインの産地になるとは、どういうことなんだろう」ということを改めて考える機会が必要だと感じました。

それで、メルシャンの方に世界的なワインツーリズムの潮流を紹介してもらったり、街づくりで活躍されている方々の話をうかがったり、反対に我々が上田市の歴史や産業を説明するワークショップを積み重ねました。

中川:キラキラした夢と、厳しい現実を行き来しながら考えていきましたよね(笑)。

益滿:そうですね。ミッション、ビジョン、バリューを策定したこともですけど、それを考えるために開催した全5回のワークショップを経験したことが、いろんな部署が同じ方向をむけるきっかけになったなと思います。

キリンや行政の手を離れて自走していく上田市へ

上田市 椀子ワイナリーからの景色

中川:3年目からは「ワインの街・上田」という認識が広がって、それをおもしろがってくれる人が新しく何かを始めてくれるような仕組みづくりを目指しました。そうやって上田市におけるワイン産業が醸成され、キリンや行政の手を離れて自走していくことが、私たちのゴールだと思っています。

―ワインを軸に、積極的に新しいアクションが生まれていくような土壌づくりをしていこうということなんですね。

中川:そのためには人材の育成が必要だし、地域全体でワイン産業の仕組みを作っていかないといけません。それにつながる取り組みの一つとして、ローカル カルチャー カンファレンス(人材発掘のイベント)を開催しました。

ブドウを作りたい人や、ワイナリーで働きたい人、イベントを開催したい人、レストランを出したい人など、「上田でワインに関わる事業をしませんか」という呼びかけに対して、オンラインとリアルで合わせて約200名の参加がありました。

最終的には、「上田ワインビジネスラボ」というビジネススクールを立ち上げて、研修プログラムを経た14名の方に、上田で、ワインで、どんな事業ができるのかを提案してもらい、それを実現していくということを行いました。

上田ワインビジネスラボ  チラシ
上田ワインビジネスラボ開催時のチラシ

益滿:ビジネスラボには、上田だけでなく東京から参加してくれた方もいて、上は60代、下は10代の方々も集まってくれました。「お酒は飲めないけど、上田のワイン産業に興味がある」と言ってくださった方もいて、うれしかったですね。

中川:私は上田市に100万人の人が1回来るよりも、10万人が10回来てくれたほうが価値があると思っているんですよね。継続的な環境が作れたほうが、街へのコミットも高まるので。そういう関係人口(※)が増えてほしかったので、市内だけに閉じるのではなく、外からも広く参加者を募集しました。

※移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉。

益滿:役所としては、何かしらの成果を地域にもたらしてもらいたかったので、上田市を舞台にしたプロジェクトの企画をお願いしました。そこで生まれたのが、「信州上田まつたけ&ワイン祭り」をはじめとするさまざまな企画です。実際に出てきたアイデアを形にするところまで伴走するなかで、我々としても多くの気づきを得られるきっかけになりました。

連携の成果と、続けることで見えてきた課題

上田市のワイン用ぶどう生産者の方を紹介する冊子
上田市のワイン用ブドウ生産者の方を紹介する冊子

―「ワインの街・上田」という認識が浸透してきている実感はありますか?

中川:上田市には現在、18軒のワイン用ブドウを栽培している方がいて、そのうちの10軒がワインを造っていて、ワイナリーも2件あります。これってすごい状況だと思うのですけど、市民のみなさんが知っているかというと、そうでもなくて。

だから、ワインの街としての上田を街の人にも知ってもらうために、ワインの造り手のみなさんを紹介する冊子やポスターを作りました。当時、その計画を造り手さんたちに話したら、「そういうのを待っていたよ」と言ってくださる方が多かったのが印象的です。

益滿:取材中、「いずれ私もワイナリーを作りたい」という農家さんもいたりして、市として連携していく意味も感じたし、次にやるべきことも見えて、とても貴重な機会になりました。冊子はたくさん刷ったんですけど、あっという間になくなって、増刷もしたんですよね。

上田市のワイン用ぶどう生産者の方を紹介する冊子

竹本:この冊子は2022年に初めて作成しましたが、翌年にはワイナリーが1件、ワイン生産者が2件増えていたこともあり、2023年版は私が担当してバージョンアップしたものを作成しました。

中川:年々進化しているんですよね。だからこそ情報も更新して、発信を継続していけたらと思っています。

冊子やポスターの制作だけでなく、実際にワインを飲んでもらう機会を作ろうということで、上田駅でのテイスティングのイベントや、近隣の飲食店さんにご協力いただいて買ったワインを持ち込める「BYO(Bring Your Own)」が可能なお店を増やす取り組みも進めました。

これらの活動では、行政の方の動きがすごく心強くて頼りになりました。上田市の方々に地元のワインを知ってもらうきっかけになりました。こういう地道な浸透活動は本当に大事だなと思います。

益滿:地域でこういう仕事をしていると、最後に残るのは「誰がやるか」ってことなんですよ。会社でも一緒かもしれないですけど、会議で企画が決まったのはいいけど、実際には誰がやるのって。そこはやはり我々事務局がやるんだという覚悟で進めました。

中川:本当にそうですよね。覚悟は大事。じゃないとやりきれないですもん。

キリン:中川紅子 上田市役所:益滿行人さん

―お二人の話をうかがっていると、そうやって覚悟を持って乗り越えてきたからこその信頼関係を感じますね。所属先は違うけど、同僚みたいですもんね。

益滿:苦労をともにしてきた同志という感じではありますね。コロナの影響でオンラインコミュニケーションが普及したじゃないですか。それまで私たちの仕事って、地域の方と膝を付き合わせて話すような業務が多かったんですよ。

だから、オンライン化していく作業自体が大変で。でもオンラインでのやりとりができるようになったことで、物理的には一番遠いはずのキリンさんとのコミュニケーションは取りやすくなった。それで、関係性が構築されていったという側面もありました。あの時間がなかったら、こんなに関係性が近くはなっていなかったし、プロジェクト自体も停滞していたかもしれません。

―そんな時期を経て今があるんですね。竹本さんはワイン事業の担当となって1年目だとうかがいましたが、ここまでのお二人の話を聞いていかがですか?

竹本:私はワインの知識や包括連携協定のこともゼロから学ぶというスタートだったんです。だから、今日の話を聞いていても、実は初めて知ったこともあって。

やっぱり引き継ぎの限られた時間では、語り尽くせない想いもあったんだなと感じました。でも、一言で簡単に伝えられない事業だからこそ、みなさんこれだけ真剣に課題解決に取り組んでいるんだろうなと思います。

ワインの街として走り始めた上田市が目指す未来

キリン:中川紅子 上田市役所:益滿行人さん

―これまで官民連携でさまざまな取り組みをされてきましたが、これから上田市がどうなっていってほしいと思っていますか?

中川:いろんな地域を見てきましたが、成功している地域は、強力なコンテンツがあるところだなと思うんです。そのコンテンツを活かす仕組みやプラットフォーム、人、場所があるというのがすごく大切だなと。

上田市の場合、ワインがそのコンテンツになりつつあって、イベントやツアー、お店、そしてワイン関係の仕事に就く人が増えています。そうやって場や人が増えていくのは、すごくいい流れだと思うし、徐々に点が面になってきて、「ワインの街・上田」に近づいているのを感じています。

―ワインってタッチポイントが多いから、いろんな人や企業とタッグを組めそうですよね。

中川:そうですね。私たちはあくまでも縁の下の力持ちで、自分たちが全面にでて企画を動かすよりも、プロジェクトが次々と立ち上がって自走していく仕組みを作るのが役割であり、それが我々にとっての次の課題ですね。

上田市×キリン 官民連携の歩み


益滿:
上田市としては、ワインをおもしろがってくれる人を増やすというのが大きな目標です。それは造ることや飲むことだけでなく、ワインを軸に新しい取り組みを始めるとか、そういうことをおもしろがってやる人が増えてほしいですね。

そのために市の職員や民間の方に「ワインって、こういうものなんです」とか「ワインで何かやってみませんか」と働きかけてきた数年間だったなと感じています。なので、この先もっと上田のワイン産業が大きくなっていくのを見てみたいです。

―最初に思い描いていた街や産業の姿に近づいている感覚はありますか?

益滿:時間はかかることだけど、ちゃんと歩めているかなとは思います。最初は私たちとキリンさんしか乗っていない船でしたけど、これからはワインビジネスラボの方々とか、ワインに関わる人たちがどんどん一緒に乗ってきて、自走できるようになればいいなと考えています。そのための素晴らしいメンバーも揃ってきているので。

ワインは、上田市における地域創生の突破口だと思っているんですよね。ワインがおもしろくなっていけば、農業とか日本酒や味噌を造っている方とか、地域のいろんな人たちも何かやりたいという流れになっていくんじゃないかなって。そうなったときに、しっかり後押しできるような体制を作っておくのが市役所の役割だと思っています。

キリン:中川紅子 上田市役所:益滿行人さん 上田市役所:竹本万里奈さん

―竹本さんは、これからどのように上田の街づくりに取り組んでいきたいですか?

竹本:私はいきなり大きなことをやるのではなく、コツコツ積み上げていきたいと思っています。まずは生産者の方がいないと「ワインの街・上田」は実現できないので、畑のことなどでも何か困り事があった際には寄り添える関係性を築いていきたいです。

少し前に、畑のことで困っていた生産者の方から「どこに連絡すればいいのかわからないので、とりあえず竹本さんに電話した」と連絡をいただいたんですよね。私一人でどうにかできることではなかったんですけど、そういう信頼関係を作れたことがすごくうれしくて。

―相談相手として顔が浮かぶ人になったということですよね。

竹本:なので、私は生産者の方たちとの信頼関係を作って、まだみなさんの想いを反映できていないところをサポートしていきたいなと。そうすれば、行政、キリンさん、生産者さん、市民の方々と、いろんな人が関われるようになって、上田のワインが広がっていくと思っています。

まだまだみなさんが進んできた道を後ろから追いかけている段階で、できていないことも多いんですが、次の世代に仕事を受け継ぐ際に少しでも底上げした状態からスタートしてもらえるように頑張っていきたいです。

【プロフィール】益滿行人
上田市役所 総務部 行政管理課 主査。
2019年から2023年まで所属した丸子地域自治センター産業観光課で、キリングループとの包括連携協定の事務局を担当。

【プロフィール】竹本万里奈
上田市役所 産業振興部 農業政策課 農産物マーケティング推進担当。
2023年よりワイン事業の担当として従事。

【プロフィール】中川紅子
キリンホールディングス株式会社 CSV戦略部主査。2012年入社。CSV活動を通じ「コミュニティ」における価値の共創や企業ブランディングを推進。キリン地域トレセン主管。

文:阿部光平
写真:土田凌
編集:RIDE Inc.


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