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百利あって一害なし。参加を通して日常への向き合い方が変わった「キリンビジネスチャレンジ」
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百利あって一害なし。参加を通して日常への向き合い方が変わった「キリンビジネスチャレンジ」

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社員からビジネスアイデアを募集し、新規事業化を支援する。キリンには、そんな社内制度があります。その名も「キリンビジネスチャレンジ」。同制度には、キリングループの国内社員全員が応募できます。

前回は、実際に同制度に応募して最終選考を通過し、2022年に晴れて新規事業を立ち上げた田中吉隆に、キリンビジネスチャレンジの「かけがえのない価値」を聞きました。

今回は、キリンビジネスチャレンジに応募し、3次選考まで進んだ株式会社ファンケル・阿部泉と、ビジネスチャレンジへの挑戦後、公募を経てプログラム運営携わるようになったキリンホールディングス株式会社ヘルスサイエンス事業部・西川洋輔に加えて、同制度を支援する株式会社アルファドライブ・白杉大さんとキリンビジネスチャレンジの真価について語り合いました。

「日常とは少し違う場所への旅であり、旅から帰ると、日常の景色までもが変わっている」。キリンビジネスチャレンジとは、そんな制度かもしれません。

【プロフィール】阿部 泉
株式会社ファンケル 管理本部 品質保証部品質保証グループ 課長 薬剤師
学術・SDI(※)グループにて、さまざまな学術論文に目を通す業務に携わっていた際の2020年にキリンビジネスチャレンジに応募。その後、2021年に品質保証部へ異動。
※Supplement&Drug Interactionsの略。サプリメントと薬の飲み合わせに関する情報提供サービス

【プロフィール】西川 洋輔
キリンホールディングス株式会社 ヘルスサイエンス事業本部 ヘルスサイエンス事業部新規事業グループ
キリンビール株式会社 広域流通統括本部に所属していた際に、キリンビジネスチャレンジに応募。その後、社内公募制度に手を挙げ、キリンホールディングス株式会社 ヘルスサイエンス事業部新規事業グループへ異動。現在はキリンビジネスチャレンジ運営にも携わる。

【プロフィール】白杉 大
株式会社アルファドライブ  イノベーション事業部 シニア・ディレクター
2019年5月よりアルファドライブ参画。500案件以上の起案者支援メンタリングや複数の大手企業に対する制度設計支援や事業支援、研修実施に携わる。NewsPicksアカデミアにて、「顧客ヒアリング研修」「プロトタイピング研修」講師を務める。2019年からキリンビジネスチャレンジの起案者へのメンタリングを行っている。
株式会社アルファドライブHP:https://alphadrive.co.jp/

働くお母さんの課題を解決する事業プラン

キリンホールディングス株式会社 西川 洋輔

―阿部さんと西川さんのおふたりが、キリンビジネスチャレンジに応募することになったきっかけと、実際にどんなビジネスプランを起案したかを教えてください。

西川:私の場合、なにかやりたいことがあって応募したわけではなかったんです。キリンビジネスチャレンジへの参加が、自分のキャリアに何かプラスになればいいなというのが出発点でした。応募したのが30歳をすぎたころ、少しずつリーダー的な立場を意識し始め、自分の経験やできることの幅を広げたいと感じていたこともありました。

そんななか、何か新しいことに挑戦しようと目を向けたのが、妻の抱えていた課題でした。当時、妻は子どもが生まれて仕事を辞めたばかりで、初めての育児にいろいろとまどっていました。それを間近で見ていたので、なにか力になれないかと考えたのが起案の発端となりました。

西川さんは、仕事や家庭に全力を注ぐお母さんたちの課題に目を向け、平日の就寝前のわずかな”自分時間”を“気持ち華やぐ時間”に転換するビジネスを起案。 お母さんたちが、寝る前の時間でも楽しめるお酒を提供する事業。日常の中のわずかなひと時に、飲みたいと思える最適なお酒がないという世の課題がベースとなっている。
株式会社ファンケル 阿部 泉

阿部:私は、応募のきっかけがとても明確でした。キリンビジネスチャレンジの各年度の始まりにオンラインで開催されたオープニングイベントがきっかけです。そこには、前年度の最終通過者と白杉さんが登壇されていて。

その時のみなさんのキラキラしたオーラがとにかく衝撃で、「ああ、私もあの世界に行きたい!」と強く思ったんです(笑)。その後、本業と家庭を両立させながら起業案をブラッシュアップしていくのが大変で「もうダメかも…」と諦めかけたことも何度かありましたが、「絶対にあの世界に行くんだ」という思いが後押ししてくれました。

3人のお子さんを持つ阿部さんは、子どもたちが学校でもらうプリント類の整理やスケジュール把握に悩まされており、自分と同じようなお母さんを顧客に設定。 同じクラスの父母でグループを作成し、分担して学校のスケジュールや持ち物、宿題などを入力し、シェアできるアプリ「ハピスケ」を起案した。

見えている情報から新規事業は生まれない

株式会社アルファドライブ 白杉 大

―お2人の事業化を白杉さんはどのようにサポートされたのでしょうか?

白杉:主に、キリンビジネスチャレンジの起案者へのメンタリングを行ってきました。
メンタリングといっても、新規事業の種はあくまで起案者のなかにあるものなので、それを育てて事業化するにあたり、伴走するのが私たちの役目になります。たとえるなら、起案者が山に登るときに遭難しないようガイドしたり、歩きやすいよう荷物を持ったりする「シェルパ」の役割ですね。

―お2人とも3次選考や最終選考まで進んだものの、惜しくも事業化にはいたりませんでしたが、白杉さんのメンタリングで特に印象に残っていることはありますか?

西川:よく覚えているのが、白杉さんに「実際にお客さんがどんな行動をしているか」について徹底して聞かれたことです。いわゆるファクトですね。本業では、売上に関する数字や顧客アンケートの結果など、見えている情報をもとにストーリーを作り、そこに向けて売りに行くというフローが中心です。。

でも、たとえそれで課題を見つけられたとしても、それはいわばもう見えている課題であって、新しいビジネスにはつながらないんですよね。本当に新しい事業を起こすには、お客さま自身も気づいていないような課題をとらえなくてはいけない。

それには、こちらが勝手に予想したものではなく、お客さまの行動を徹底的に高解像度でつかむ必要がある。だから、誰よりもファクトをつかんでいる状態になりなさいと。メンタリングでファクトを聞かれ続けることで、白杉さんからはそんなメッセージをいただいた気がします。

アイデアを練るなかで、妻はもちろんのこと、そのママ友や会社の同僚まで、働くお母さんたちにたくさんヒアリングしました。白杉さんの奥さまにも協力していただきましたよね(笑)。

白杉:そうですね。みんなでちょっとお酒を飲みながら(笑)。

西川:ヒアリングを重ねることで、たとえばこんなことが見えてきました。

最初に、寝る前のわずかなひとときに飲めるお酒は何かを考えた時、疲れを癒してくれるような、甘くてほっとするようなものがいいだろうという仮説を持っていました。しかし、「そもそももう歯を磨いているので、甘いお酒は飲めない」と。お客様のファクトの解像度を上げていくことで仮説が覆される体験でした。

それと、仕事も家庭も育児も全力で頑張るお母さんたちに、何十時間にわたってヒアリングを重ねるうちに、その大変さが身にしみてきて、本当になんとかしたいという思いがどんどん強まりました。だから審査の段階では、かなり課題に入り込んだ状態になっていましたね。

白杉:新規事業というと、「これはまだ誰もやってないだろう」という斬新なアイデアを起点にしがちです。でもそれだと、身内では盛り上がっても、たいていは「買ってくれる人がいない」という問題に直面します。そもそも、そうやって誰かが想像で見つけられる課題は、日本においてはもうほぼ解決されているんですよね。

だからこそ私たちは、自ら実際に現場へ行き、見て、聞くことが、新規事業を生み出すうえで何より重要なアクションだとお伝えしています。それを行ってこそ、世の多くの人がまだ自覚していない課題を発見できると。

天才じゃなくても新規事業は生み出せる

阿部さんが選考時にアイデアをメモしていたノートと付箋

阿部:私の場合、たとえば審査に向けたプランをチェックしていただいたり、行き詰まったときに相談にのっていただいたりと、メンターの方と頻繁にやりとりするなかで、自分の頭がだんだん“起業脳”に変わっていった感覚があります。

それと、メンタリングで印象に残っているのが、こちらがどんな案を持っていこうが決して否定されないことです。「それじゃダメだよ」とか「そこは間違っている」というのではなく、一度全てを受け入れ、そのうえで次のステップに進むために必要なものを示唆してくださる。

教えて従わせるのではなく、こちらのなかからうまく引き出してくださるんですよね。そういう意味でも、メンターの存在はとても大きかったです。

白杉:メンタリングをさせていただく当社メンバーの全員が、事業の立ち上げに関わった経験を持っているので、本業を遂行しながら新規事業を立案し、ブラッシュアップしていく大変さをよく分かっています。だから、新規事業のプランを持ってきてくださる方には、心底リスペクトする気持ちがベースにあるんですよね。

西川:私は同期である同僚と2人で応募したので、彼と常に壁打ちができたのも非常に大きかったです。

2人とも本業が忙しいので深夜にオンラインで話したり、互いが思ったことをひたすら語り合ったことが、メンタリングと同じくらい得がたいものとなりました。

もうひとつ印象的だったのが、オープニングイベントで講演されたアルファドライブ・麻生代表の言葉です。

そこで麻生さんは、「新規事業は、決して特別なビジョンやアイデアを持つ人じゃないと生めないわけではない。きちんとステップを踏めば、誰でも生み出せる」とおっしゃっていて、「それならやってみよう!」とマインドが高まったことをよく覚えています。

白杉:企業内で新規事業が生まれにくい理由のひとつが、「自分にはできない」と思い込んで挑戦しない人が多いことです。

また、会社側に新規事業を育てる仕組みが整備されておらず、明らかな勝ち筋ではない限り、案が通らないというのもよくあるボトルネックです。

裏を返せば、それらを払拭する制度をきちんと設ければ、天才じゃなくても新規事業を生み出せるんですよね。

もちろん新規事業は、時流やタイミングも大きく関わってくるので、すべてを事業化できるわけではありません。だからこそ、新規事業案を生み出すという「試行」の回数を増やすことが、結果的にイノベーションの確率を高めることになる。画期的なイノベーションを生み出した天才と呼ばれる人たちも、その裏にはきっと事業化しなかった試行が山ほどあるはずです。

キリンビジネスチャレンジを通して変化した本業への向き合い方

―あらためて、キリンビジネスチャレンジの価値とは、どんなところにあると思いますか?

白杉:もちろん、ボトムアップで新規事業が生まれることが一番の価値なんですが、それとあわせて大きいのが、たとえ新規事業につながらなくてもキリンビジネスチャレンジに参加した経験が既存事業にも明確に活きる点です。要するに、事業の成り立ち方がつかめたり、経営者的な目線を持てたりと、起案者が大きく成長できることですね。

加えてキリンの場合、飲料から食品、ヘルスサイエンス、医療まで事業領域が多岐にわたっており、そのすべての社員が参加できるのも、多様性の観点で大きな価値だと思います。

西川:参加した社員が成長して本業に戻れるというのは、まさに私も実感しています。

キリンビジネスチャレンジで顧客の生の声をヒアリングしたことで、その有用性がよく分かりましたし、生の声を聞きに行く度胸もつきました(笑)。結果、何か課題の解決を考える際にはデータやアンケートに頼るだけでなく「お客さんに直接聞きに行こう!」と迷うことなく行動できるようになりました。それは今となっては当たり前の一手ですが、今までできなかった一手でもあります。

それを自分だけでなくチーム内にも共有し、あるときは同僚と協力して、コンビニエンスストアのユーザーに徹底的にヒアリングしたこともありました。

阿部:大人になってから、短期間でなにかを発見したり、吸収したりする機会って、なかなかないですよね。まったくのゼロの状態から自分でなにかを表現することも、ふだんの仕事ではなかなか味わえないことです。そういった稀有な体験を会社の制度を使って行えるのが、キリンビジネスチャレンジの大きな価値だと思います。

実は私、キリンビジネスチャレンジを終えたあとに育児への向き合い方がすごく変わったんです。

白杉:おお。どんなふうに変わったんですか?

阿部:以前はわりと「子育てはこうあるべき」「母親とはこうあるべき」と型にはめがちだったんですが、キリンビジネスチャレンジを終えた後は、「いろんな形があるのだから、無理にひとつの形を追い求めなくてもいいんだ」と、肩の力を抜いて向き合えるようになりました。その変化は、自分でもすごくびっくりしました。

白杉:なるほど。すごい副産物ですね。

阿部:きっと、私も西川さんと同様、何十人もの働くお母さんたちにヒアリングするなかで、価値観は人それぞれであることを体感したのが大きかったんでしょうね。

キリンビジネスチャレンジは「百利あって一害なし」

―最後に、今後の展望やこれからキリンビジネスチャレンジへの応募を考えている社員に向けてメッセージをお願いします。

白杉:キリンビジネスチャレンジには、毎年多くの方に参加していただいていますが、グループ全体の社員数を考えると、まだまだ参加者は少ないと感じています。一方で、キリンビジネスチャレンジに携わる弊社のメンバーは、口を揃えてこう言います。

「キリンの社員さんはみなさん、すごくいい人ですね!」と。

―いい人!(笑)具体的にどういう人が多いのでしょうか?

白杉:私たちの話を真摯に聞いてくださいますし、実際にフットワークが軽く、顧客のところに行ける方が多い。そしてそこでの話を、バイアスをかけずにきちんと受け取ることができる。キリンの社員さんは、そんな印象がとても強いです。

そういったある種の素直さは、新規事業を成功させるうえでプラスでしかないので、キリンビジネスチャレンジに参加することでぜひその強みを活かしていただきたいです。

個人的には、キリングループ内の異業種同士がコラボしての新規事業にも大いに期待しています。

阿部:実際に参加させていただき、キリンビジネスチャレンジは
百利あって一害なし
だと実感しました。みなさんにもぜひそれを体感していただきたいですし、私もそのことをファンケル内に広めていこうと思います。

西川:これまでお話したように新規事業って、天才だけのものでは決してなく、はじめはキャリアのプラスにするためにとか、成長するためにといった目的で始めるのでもまったく問題ないと思います。

実際にそれで自分の力をメキメキ伸ばせますし、社員が成長することで、キリン自体の力が伸びるわけです。だからこそ社員のみなさんには、1年でも早く挑戦していただきたいなと思っています。

今年のプログラムは7月からスタートしますが、私たち運営メンバーとしても、「時間がないなかでどう取り組めばいいか」、「そもそもアイデアが浮かばない」といった、さまざまな不安要素に寄り添うプログラムを予定しています。まずは最初のオープニングイベントに、気軽に参加していただけるとうれしいです。

編集部のあとがき

今回インタビューをお願いした、ビジチャレに挑戦したお二方がとても生き生きとして話されていたことがとても印象に残っています。

インタビューの中で白杉さんは「悩みの多くは"わからない"こと」といったお話をされました。その手助けをするのがアルファドライブさんの役割だ、とも。わからないことがわかってくると、「何をすればいいか」がわかってくる。そうなれば自然とアクションを起こせる。アクションを起こせれば新しい発見が待っている。この好循環こそ、おふたりを生き生きとさせる要因なのだと思い至りました。

今年はどんなチャレンジが生まれるのでしょう。生き生きとした従業員のプレゼンテーションを見るのが、今からとても楽しみです。

文:田嶋章博
写真:土田凌

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