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「初めて知る」から、「自分でつくる」まで。ビールのおもしろさを体感する「KIRIN BEER SALON」をはじめます

ビールが食卓の風景になった昭和から、発泡酒や新ジャンルが存在感を強めた平成を経て、個性豊かなクラフトビールが次々と生まれている令和の時代。ビールは「とりあえず!」で頼むものから、自分の好みを見つけ、造られた背景を知り、それを丸ごと味わうものになりつつあります。

ビールが新しい局面を迎える中で、そのおもしろさをもっと知ってもらうためには、どうしたらいいのだろう?
そんな想いを形にするために、「KIRIN BEER SALON」をはじめることになりました。

キリンビールが長年培ってきた知識や技術をお伝えする講義に加え、ビールの最前線で活躍する方たちをゲストにお招きしたトークセッション、参加者の方が実際にビールをつくる体験までを含めた全5回の連続講座。

ただ知識を得るだけではなく、体験を通じてビールのおもしろさを知り、そして、同じようにビールが好きな仲間と出会う。そういう場を目指しています。

11月にスタートする「KIRIN BEER SALON」の参加者を募集するにあたり、キリンビール横浜工場で年間60回以上開催されているビールセミナーを担当してきた草野裕美と、『教養としてのビール』の著者で、2回目の講座でゲスト講師を務めてくださる富江弘幸さんに、今回の企画内容や意気込みを伺いました。

キリンビールサロン講師の草野

【プロフィール】草野 裕美
キリンアンドコミュニケーションズ株式会社 ブルワリーツアー事業部 ビールセミナー講師。キリンビール横浜工場をメインに開催している「キリンビールセミナー」で、講師としてさまざまな視点で“ビールの楽しみ方・魅力”を伝えている。

ライターの富江弘幸

【プロフィール】富江 弘幸
1975年、東京都生まれ。法政大学社会学部卒業後、出版社でライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学、英字新聞社ジャパンタイムズ勤務を経てビアライターとして活動中。ビアジャーナリストアカデミーの講師も勤める。
Twitter:@hiroyukitomie


ビールの魅力は多様性にあり!

ビールを注いでいる二人

ーはじめに、お二人がビールを好きになったきっかけを聞かせてください。

富江:私が大学を卒業したころ、地ビールブームがあって、なんとなくいろんな種類のビールを飲んでいたんです。当時は知識とかも全然なかったので、「ビールっていろんな色や味があるんだ」というくらいの感覚でした。

それが、『もやしもん』という漫画に出会ったのをきっかけに、見え方が大きく変わったんです。

農業大学を舞台に学生たちが発酵について学んでいくという漫画なんですけど、その中にビールをテーマにした回があったんです。ビールにいろんな種類があるというのは知っていたんですけど、それを読んでビールの成り立ちや造り方を知ったことで、「これはもっと勉強したらおもしろいかも」と思ったんですよね。色や味だけでなく、造り方の違いにまで踏み込めば、もっとおもしろい世界が広がっているんじゃないかと。

それでビールの歴史やビアスタイルの変遷なんかを調べて、素材や造り方を気にしながら飲んでみたら、やっぱりおもしろかったんです。そういうふうに、どんどんビールにはまっていったという感じですね。

ー知識を得たことでビールに対する解像度が上がり、それが経験を通じて実感に変わっていくのがおもしろかったんですね。草野さんは、どういうきっかけでビールが好きになったのでしょう?

対談

草野:私は、もともとキリンビールの『お客様相談室』にいたんですよ。当時から、ビールを飲むのは好きだったんですけど、特別なものという意識はありませんでした。だけど、電話でお客さまとお話をしていて、意識が変わっていったんです。

ー具体的には、どんなやりとりがあったんですか?

草野:お客様相談室って、ご指摘のお電話がくるような部署というイメージがあるじゃないですか。だけど、実はご指摘って少なくて、「新しいビールがおいしかった!」とか「いつも飲んでいます!」というご連絡の方が多いんです。

そういうお話を聞いているうちに、「ビールって、ただの飲み物じゃないのかも」って思うようになって。こんなに皆さんの生活のなかに入り込んで、暮らしの一部みたいに思っていただける理由は何なんだろうって考えるようになったんです。

それで、もっとビールのことを知りたくなって、ビールセミナーの担当部署に異動させてもらいました。それから、自分なりにビールの世界を掘り下げてみるようになって、どんどん好きになっていったんですよね。

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ーお二人とも自分の興味関心に従ってビールの世界を掘り下げていった結果、今はビールの魅力ってどんなところだと感じていますか?

草野:難しいんですけど、やっぱり「尽きないところ」が一つの魅力かなと思いますね。ビールって、5,000年以上も前から飲まれているのに、今も進化していて、それだけすごいことだと思うんです。それくらい人を惹きつける飲み物なんだなって。

富江:僕も似ているんですけど、ビールの魅力は「多様性」だと思っています。日本ではピルスナーというビアスタイルが定番になっていますが、それ以外にもたくさんの種類がありますし、ピルスナーひとつとっても注ぎ方や温度で味わいが変わってくる。さらに、他の素材と合わせてビアカクテルにすることもできる。そういうふうに多様性がある飲み物で、楽しみ方がたくさんあるというのがビールの魅力だと思います。

クラフトビールと、他のビールの違いって?

SVB

ー最近はクラフトビールが盛り上がってきていますが、この動きについてはどう見られていますか?

富江:クラフトビールという言葉って、結構曖昧ですよね。今の扱われ方としては、大手メーカー以外のものがクラフトビールと呼ばれている感じだと思うんですけど、そこはちょっと違うんじゃないかなって。

ー「なにをもってクラフトビールと呼ぶのか」ということですか?

富江:そうですね。クラフトと、そうじゃないとされるビールの差を、造り手の規模で語るのは違うと思っていて。大手ビールメーカーも、地方のマイクロブリュワリーでも、やっていることは同じビール造りですから

今は新しいビール文化が醸成されつつある段階なので、これまでになかった枠組みに名前をつけて共通認識を作りあげていくというのは必要なことなんですけど、将来的には“クラフトビール”という言葉はなくなっていくといいなと思っています。

草野:私も同感です。ビールって、こんなに自由で多様な飲み物なのに、わざわざ解釈を窮屈にしちゃうと、つまらなくなっちゃうよなって。
わざわざ“クラフト”という言葉を使わなくても、多様な飲み物だという認識が広がっていくといいなと思っています。

ライターの富江

富江:僕はビールをジャンルで語るなら、クラフトか否かという軸ではなく、ビアスタイルの話をすればいいと思っています。

よくパンを例えに話すんですけど、スーパーに売っているパンに対して、街中にあるパン屋さんのパンを“クラフトパン”なんて言わないじゃないですか。そういう区別ではなく、もっと種類にフォーカスしたらいいんじゃないかなって。

例えば、「メロンパンだったら、あの店がおいしい」とか、「アンパンは粒あん派?こしあん派?」みたいな感じで。みんな、その店やメーカーのパンが好きだから買っているのであって、クラフト云々って話ではないと思うんですよね。

ビールも一緒で、大手の定番かローカルのクラフトかという話ではなく、ピルスナーだったらピルスナー、IPAだったらIPAっていうように、スタイルごとに話す方が本質的だと思うんです。

対談

草野:そうですよね。ただ、一方でクラフトビールが盛り上がったおかげで、ビール自体が注目を集めることになったというのも事実です。

先日、若い女性とビールの話をしていたら、彼女が初めて飲んだのは、いわゆるクラフトビールだったらしいんですよ。そのビール自体はちょっと苦味が強くて苦手だったらしいんですけど、その後にスタンダードなピルスナーを飲んだら「スッキリしてて、おいしかった」って言うんです。

だから、今はクラフトがきっかけでビールに興味を持つっていう流れもあるんだなって。私には、そういう認識がなかったので驚きました。

ー今までビールと接点がなかった人たちが、クラフトビールの盛り上がりをきっかけにビールに興味を持ちはじめたというケースもあるんですね。

好きだからこそ視点はフラットに、想いは熱く語る

ライターの富江

ービールライターとして、さまざまな取材をされてきた富江さんが、今関心を持っているテーマはどんなものですか?

富江:今まではビールのことであれば、なんでも興味を持って取材していたんですけど、最近は「地域とビール」というテーマに関心を持っています。

地域というのは地方という意味ではなくて、東京都内の小さな地域も含めてなんですけど。地域コミュニティにビールはどのように関わっているかとか、それによってどんなことが生まれているのかっていうことにすごく興味があります。

ー今まで取材してきた中で印象的な事例はありましたか?

富江:「地域とビール」というテーマで取材してみようと思ったのは、岩手県にある遠野醸造さんを訪れたことがきっかけだったんです。

今まではブリュワリーを立ち上げるというのは、ブリュワーが造りたいビールを造るためという動機がほとんどでした。だけど、遠野醸造さんは地域の課題を解決するために、ビールを使ったコミュニティ作りをしているという側面もあって、ビールの在り方が一段階前に進んだという印象を受けたんです。

ー今まではブリュワーの自己表現として盛り上がってきたクラフトビールが、地域の課題解決につながるような社会性を持ったものになってきたと。

インタビュー風景

富江:ブリュワーが造りたいビールを造って、おいしく飲んでもらえるなら、それは十分に意味のあることだと思うんです。だけど、それ以外にもブリュワリーを立ち上げる意味があるってことがわかったんですよね。

ービールの楽しみ方は、シンプルにおいしいだけでも十分だけど、それが造られた背景に目を向けてみたら、味わいだけじゃないおもしろさがあったんですね。

富江:そうですね。造る人の想いだったり、ブリュワリーができた背景を知ると、より一層ビールに興味が湧いてきたり、知る前よりおいしく感じられたりすることがあるんです。

キリンビールサロン講師の草野

草野:「KIRIN BEER SALON」のゲスト講師として、富江さんに来ていただきたいと思ったのは、ビールに対してすごくフラットな方だったからなんです。見方も伝え方も、どこにも偏っていないというか。それでいて、冷めているわけではなく、ビール愛に溢れている。

そういうことって、なかなかできないと思うんですよ。愛が深くなればなるほど視野が狭くなって、自分とは違う意見は突っぱねるみたいなことになりがちなので。だけど、富江さんは知識も経験も豊富なのに、常に姿勢がフラットなんです。

富江:自分もマニア気質なので、その辺は常に意識していないと、わかる人同士の言語で話しちゃうんですよね。だけど、そうなると詳しくない人は置いてきぼりになっちゃうじゃないですか。それは、自分が目指す理想とは違うなって。

僕は、もっとたくさんの人にビールのおもしろさを知ってもらいたいんです。ライターをやっている理由も同じで、自分が好きなものって、誰かに伝えたくなるじゃないですか。

草野:そこは私も同じスタンスです。知れば知るほど語りたい知識は増えていくんですけど、それだけではビールを好きになってもらえないよなって。

私は本当にビールに感謝しているので、恩返ししたい。そのためだったら、自分のエゴなんか簡単に捨てますって気持ちですね。

単発のイベントでは築けないビール好きな仲間との交流

キリンビールサロン講師の草野

草野:今までのビールセミナーは、ビールに関する講義をしたうえで、テイスティングやペアリングを楽しんでもらうといった内容でした。だけど、今回はビールを取り巻く状況にも目を向けて楽しんでもらえるような中身になればいいなと思っています。

だから、全5回という形にして、ビールの現場をリアルに知っているゲストの方に来ていただいたり、実際にビールを造ってもらうという講座も盛り込みました。

ー単発のイベントだと、その場で会って解散ということになりますが、5回の講座を同じメンバーで受けていると、参加者の方同士の交流も生まれそうですよね。

草野:そうなったらいいなと思っています。参加者のみなさんはビールが好きな方たちだと思うので、そこでつながっていく関係性が生まれる場にしたいですね。

富江:ビール造りの回、僕も行きたいです(笑)。

草野:ぜひいらしてください(笑)。ビール造りは、ビアスタイルを選ぶところから始まって、麦芽を煮込んで、ホップを入れてという行程で進めていきます。自分で造ったビールは格別ですよ!

対談

ー最後に、今回の「KIRIN BEER SALON」に参加してみようか考えている方に向けてメッセージをお願いします。

富江:自分がビールを好きになったきっかけは多様性だったんですけど、そこには味わいだけでなく、人の想いだったり、完成するまでのストーリーだったりも含まれているんです。

「味とは違う部分を、味わいのうちとして感じられる」というのもビールのおもしろさだと思うので、そういったことを自分の講義では伝えていきたいなと思っています。

草野:とても素晴らしいゲストの方が来てくださることになって、私自身も楽しみで仕方ないというのが正直な気持ちです。だけど、そこに頼りっぱなしになるのではなく、私たちは私たちが積み上げてきたことをしっかりお伝えできる場にしていこうと思っています。

ビールに対する考え方や見え方が変わるということは、ビールの楽しみ方が増えることだと思います。なので、これからビールのことを知りたいという方にも、もっと深く知りたいという方にも、楽しんでいただけるような準備をしてお待ちしています!

「KIRIN BEER SALON」申し込み開始です!

「KIRIN BEER SALON」のロゴ

「初めて知る」から、「自分でつくる」まで。ビールのおもしろさを体感する「KIRIN BEER SALON」をはじめます。全5回の講座はキリンの人気講師と、さまざまなゲスト登壇者とともに、これからの新しいビールの楽しみ方を参加者一体となって見つけていただくリアルな場です。

加えて、参加者限定のオンラインコミュニティで、より深いビールの世界をご案内。これからのビールの楽しみ方を、わたしたちと一緒に考えてみませんか?

※お申込みは終了しました

せっかくの機会、より多くの方にご参加いただきたいのですが、募集人数は34名と限りがあります。そこで今回はこのサロンの魅力を伝えていただくため、クリエイターのとみこさん、せっちん丸さんの2名にお声掛けさせていただき「note枠」としてご参加いただくことになりました。実際に講座に参加していただき、後日noteでレポートをしていただきます。

▼note枠

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【プロフィール】とみこ
1989年生まれ。「あなたの毎日に、小さな“素敵”を添えて」をコンセプトに、テーブルから半径5mの暮らしを発信するメディア『cocorone』の編集長。フリーランスの“SNSデザイナー”としても、女性向けメディアや企業のコーポレートアカウントなどのSNS運用を担当。SNSの総フォロワー数は約5万人。

■とみこさんからのコメント
はじめましてのご挨拶にも、いつもの仲間と語り合う夜も…乾杯の数だけ、ストーリーがある。
でも、そろそろ雰囲気だけじゃなく、ビールの味わい深い世界をちゃんと知っていけたらと思います。
そこまで意志が強い方ではないので1人じゃ心細いけれど、みんなでだったら楽しみながら知識を身につけられるかも。
これから、どんな乾杯の時間を過ごせるかな。今からとても楽しみです!

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【プロフィール】せっちん丸
岐阜生まれインターネット育ちのフリーランスWeb編集者/ライター。三度のメシよりカレーを愛し、食べるカレーは年間150皿を超える。会員制のカレー屋「6curry」の商品開発ラボメンバー。趣味は夜の散歩。新婚ホヤホヤのやぎ座。

■せっちん丸さんからのコメント
お酒を飲めるようになってから8年。日常の名脇役、ビールのおかげでドラマチックになった瞬間や、なんだか救われた夜がありました。
しかし、数千杯も飲んできたにもかかわらず、僕はビールについて深く考えたことがないことに気づいてしまいました。
拝啓ビール様。あなたはいったいどんな人がつくっていて、どうしてあんなにも綺麗な色をしているのでしょうか。
今回のサロンを通して、ビールの不思議を解明し、これからの数千・数万杯がよりおいしくなるようなアイデアと、楽しい飲み仲間を得られたらと思います!

みなさまのご応募をお待ちしております。
※お申込みは終了しました

それでは、また次の乾杯まで。

文:阿部光平
写真:土田凌
ロゴデザイン:清水槙子(TREE)



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