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日本産ホップの取り組みをたどり、未来のビールをのぞむ。特集「#日本産ホップを伝う(つたう)」を始めます。

普段からよくビールを飲まれている方なら、「ホップ」という言葉は耳にしたことがあると思います。最近では、多彩な味わいや香りを楽しめるクラフトビールが浸透してきたことで、ビール好きの方から好みのホップを聞くことも増えてきました。

ホップとは、ビールづくりに欠かせない原料の一つです。ビール特有の「苦み」と「香り」を与えることから「ビールの魂」とまで言われています。

生産地の中心は北米やヨーロッパ。もちろん日本でも育てられていますが、「日本産ホップ」の生産量はどのくらいかと言えば、全世界の生産量のわずか0.2%です

このように、ただでさえとても希少な「日本産ホップ」ですが、生産者の高齢化や後継者不足により年々ホップ農家は減少の一途をたどり、現在の生産量は10年前と比較すると、半分程度まで落ち込んでいます

しかしながら、フレッシュで柑橘系の鮮烈な香りがする日本産ホップ「IBUKI」や、奥ゆかしくも香り高いマスカットの風味が楽しめる「MURAKAMI SEVEN」などの特徴的な日本産ホップが今、醸造家やコアなビールファンの中で注目を集めています。

ホップ

キリンはおよそ100年前にホップの国内試験栽培を開始し、日本産ホップ育成の取り組みを進めてきました。東北のホップ農家の方々とは長年にわたり、日本産ホップ栽培の道を一緒に歩み、今では東北が日本産ホップの一大産地となりました。

現在、日本産ホップの約7割はキリンビールが購入しています。2004年から毎年期間限定で販売しているとれたての遠野産ホップを使用した『一番搾り とれたてホップ生ビール』や、ギフトや飲食店で販売している東北産の第一等品ホップを使用した『一番搾りプレミアム』など、日本産ホップの個性を活かしたビールの開発を行っています。

日本産ホップだからこそお届けできるおいしさがあり、日本産ホップだからこそ感じられる豊かな時間がある、私たちはそう信じています。そして私たちがすべきことは、100年続いてきた日本産ホップ栽培の歴史を絶やさず、未来に継承していくこと、そのための活動を続けることです。

数ある活動の中でも、生産者の担い手不足の課題解決は、私たちにとって大切な取り組みの一つです。私たちはホップ生産者・行政・民間のみなさんとタッグを組み、持続可能なホップ栽培と日本産ホップの魅力を活用したまちづくりに取り組んでいます。

ホップ選別作業の様子

一つの成果が岩手県遠野市で現れ始めています。遠野市では地域のみなさんと新しいビール文化を醸成するべく、2015年からさまざまな挑戦を続けています。

スローガンは「ホップの里からビールの里へ」。

私たちが目指す「ビールの里」の姿。それは、世界中から遠野にホップやビールを楽しむために人が訪れ、ホップのグリーンカーテンの中でホップの香りに包まれながら、ホップ農家や醸造家と地元でとれた食材を囲んで、遠野産ホップを使用したビールで乾杯をしている。そこにさまざまな人が集い、思いも寄らないアイデアや大きな夢があふれ、次の「里づくり」につながっている…そんな場所。掲げた構想の実現に向けて、日々遠野で活動しています。

ホップ収穫の様子

取り組みを始めて5年、「ビールの里」は大きく動き始めています。

ホップ農家になりたいと移住してきた若手就農者は12人にのぼり、造りたてのクラフトビールが楽しめるマイクロブルワリー「遠野醸造」が街の中心地にオープンしました。

さらには持続可能な日本産ホップの生産体制確立を目指す農業法人「BEER EXPERIENCE」や、「ビールの里」構想を具現化するためのまちづくり会社「BrewGood」の設立など、「ホップ」を活用したまちづくりは今、全国から注目を浴び始めています。

そして、もっとも象徴的な取り組みが2015年から始まった遠野産ホップ「IBUKI」の収穫を祝う祭典「遠野ホップ収穫祭」。
初年度は2,500人の参加だったこのイベントは5年後の2019年には参加者が12,000人を超え、日本各地からビールファンが訪れるイベントに成長しました
また、日本ビアジャーナリスト協会が主催する「第5回世界に伝えたい日本のビアカルチャー」にて最優秀賞も獲得し、日本のビール文化をリードする祭に進化を遂げています。

ホップ収穫祭集合写真

これからますます日本産ホップはおもしろくなっていきます。もっと多くの方に日本産ホップの魅力を伝えたい、そして何より、日本産ホップを活かしたビールを飲みたいと思っていただきたい。そんな想いから、新しい特集を始めることにしました。

特集名は「 #日本産ホップを伝う 」にしました。

この特集名には、これまでの日本産ホップの取り組みを「伝える」ことと、日本産ホップと日本のビールの過去と未来を「たどっていく」という二つの意味を持たせています。また、ホップはつる植物であり、何かに絡まりながら上に伸びていく植物。「つたう」には、未来に伸びていく「日本産ホップの展望」を見据える想いも込めました。

この特集では、キリンから「日本産ホップ」についてお届けするだけではなく、「ビールの里」構想を先頭で引っ張る遠野から発信されている「Brewingtono」からも併せてお届けします。双方からの記事は、新設するマガジン内でまとめていきます。

▼「日本産ホップを伝う」マガジン

遠野のまちづくりの取り組みを知ることで、日本産ホップの理解が深まるだけでなく、これからの日本における暮らし方のヒントも見つけられるかもしれません。

それでは、あらためて。「 #日本産ホップを伝う 」を始めます。

vol.1は、8月公開予定です。そもそもホップとは何か?日本産ホップの魅力とは何か?このあたりについてキリンのホップ博士に聞きます。

この特集が日本産ホップの歴史のアーカイブとなることと、日本のビールの未来の道標となることを願って。

表紙文字デザイン:メイメイ




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