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地元の麦芽と食材で新しいビールを。地域と共に歩むキリンビール福岡工場

日本のビール工場で唯一、製麦機能を工場内に持っているキリンビール福岡工場。

製麦(せいばく)とは、ビール大麦から麦芽をつくる工程のこと。麦芽はビールのアルコール分や炭酸、色、口当たりなど、非常に多くの要素を構成する元になるため、製麦の良し悪しは製品そのものの質と直結します。

福岡工場では1966年の設立時より、契約栽培された県内産のビール大麦から良質な麦芽をつくってきました。これまで工場で製造されてきた麦芽はキリンビールのみで使用されていましたが、2018年からは外販を開始。県内のクラフトブルワリーをはじめとする、多くの造り手に使ってもらうことで国産麦芽の価値を高めようとしています。

その麦芽を使用しているブルワリーの一つに、福岡県八女市の「八女ブルワリー」があります。ビール大麦の産地と近い距離感・関係性でビール造りをしている福岡工場と地元の八女ブルワリーは、どんな関係性を築いているのか。

福岡工場の森田稔郎と、福岡県で地元の素材を使ったビールを造り続けている八女ブルワリーの矢野恒平さんにお話を伺いました。

キリンビール福岡工場の森田稔郎

【プロフィール】森田 稔郎
キリンビール福岡工場 醸造エネルギー担当。平成24年より製麦に従事し、現在は仕込発酵業務に携わる。

八女ブルワリー 醸造担当の矢野恒平

【プロフィール】矢野 恒平
八女ブルワリー 醸造担当。平成21年より福岡県八女市にある「八女ブルワリー」にて醸造に携わる。さまざまなスタイルのビールを知って貰うために、地域の特産物を使ってクラフトビールを醸造している。


国産麦芽が引き合わせたキリンビールと八女ブルワリー

八女ブルワリー 醸造担当とキリン従業員

─最初に、普段お二人がどんなお仕事をされているのかを教えてください。

森田:私はキリンビール福岡工場で、醸造エネルギー課という部署に所属しています。仕事内容としては、ビール造り全般に関わっていて、ビール大麦から麦芽の製造、ビールの仕込み、発酵、酵母関係の業務に携わっています。

─矢野さんはどんなことをされているんですか?

矢野:八女ブルワリーはとても小さな醸造所なので、私は一通りすべての業務に携わっています。原材料の仕入れからはじまって、醸造、発酵中の管理などの製造工程、それから商品を発送して納品書、請求書を出すところまで、ほぼ全部ですね。

─へぇー、そんなに幅広く! 矢野さんがビールの仕事に就いたきっかけは何だったのでしょうか?

矢野:八女ブルワリーは、「べんがら村」という温泉施設内にあるんです。私はもともと、そこのレストランで働いていたんですけど、ビールの担当者が急に辞めることになってしまって。後任を探しているときに、私が立候補したんです。前からビール造りに興味があったので。
それが10年ほど前で、そこからはもう、とにかく試行錯誤の日々でした。

キリンの森田

─森田さんと矢野さんは、いつ、どのようなきっかけでお知り合いになったのでしょうか?

森田:初めてお会いしたのは2017年の九州ビアフェスティバルです。私はお客さんとして行っていて、矢野さんにお話を伺いながら、八女ブルワリーさんのビールを飲ませてもらったんですよね。

当時、私は国産麦芽の価値を高める取り組みをしていまして、福岡工場で製麦した麦芽の外販を検討しているところだったんです。そういうなかで、地元のビール大麦からつくった麦芽の価値について、矢野さんと少し意見交換をさせていただきました。

矢野:そのとき我々は、地元の大学が試験的に作られていた大麦麦芽を分けていただいて、「福岡県産麦芽使用」を掲げたビールを出していたんですよ。それを見てキリンビールの方々が来てくださって、いろいろとお話をしながらビールを飲んだ記憶があります。

─最初は、お客さんとクラフトブルワリーという関係性からお付き合いがはじまったんですね。

矢野:そうですね。ビールを造っているという意味では同業者ですけど、クラフトブルワリーはクラフトブルワリー、大手さんは大手さんという意識だったので、キリンビールさんが我々に興味を持ってくれたというのはすごく意外でしたね。

日本で唯一工場内に製麦施設を持つキリンビール福岡工場

キリンビール福岡工場

─大学が試験的に作っているというケースはあるにせよ、基本的に福岡県内で作られているビール大麦はすべてキリンの契約栽培だそうですね。

森田:はい。福岡県のビール大麦は、100%がキリンの契約栽培となっています。

─それを自分たちだけで独占するのではなく、他のブルワリーさんにも使ってもらうことで福岡県産麦芽の価値を上げていこうという考えだったんですか?

森田:そうですね。我々としては、「豊かで活気ある地域社会の実現」に向けて、なにか貢献したいという気持ちがあったんです。だから、福岡工場にしかない製麦機能を活用して、クラフトブルワリーさんたちと手を組むことで新しいビールのカルチャーを生み出すことはできないかと考えていました。

それまで我々は、当たり前のように福岡県産の麦芽を使ってビールを造っていたんですよね。だけど、その本当の価値をわかってないかもしれないと思ったんです。

─福岡県産麦芽を使うことが当たり前になっていたから。

森田:そうなんです。そういう危機感を抱いたときに、まずご意見を伺いたいと思ったのはクラフトブルワリーさんでした。

私のなかでクラフトブルワリーさんというのは、誰よりも地元素材にこだわったモノづくりをされているイメージがあったので。福岡県産麦芽の価値を、一番理解されているんじゃないかと思ったんですよね。

八女ブルワリー 醸造担当とキリン従業員

─森田さんから福岡県産麦芽の価値について尋ねられた際、矢野さんはどんなご意見を伝えられたのでしょうか?

矢野:やっぱりどこのクラフトビールメーカーも、地元の素材を使いたいって気持ちはあると思うんです。だけど、そのとき森田さんからお話を伺うまでは、キリンさんが福岡県産の麦芽を製麦されているってことを知らなかったんですよね。

─そうなんですか。福岡工場で県内産の麦芽がつくられているというのは、あまり広く知られていなかったんですね。

矢野:そうなんです。麦芽はもう海外のものを使うしかないと思っていたので、せめてホップだけでも自分たちで作ってみようかなんて話もしていたくらいで。

それがまさか近くに福岡県産の麦芽があって、大手さんが我々のような小さいブルワリーに販売してくれるという展開は想像もしていませんでした。だから、森田さんからお話を伺ったときは、「うちでもぜひ、福岡県産の麦芽を使ってみたい」と思ったのを覚えています。

八女ブルワリー 醸造担当とキリン従業員

─ビール工場内に製麦ができる設備があるのは、日本で唯一キリンビールの福岡工場だけだそうですね。

森田:そうですね。製麦工場というのはビール工場と離れた場所にあることが大半で、大麦から麦芽をつくり、ビールまで完成させるという工程を工場内で完結させているのは、今のところキリンの福岡工場のみです。ただ、昔は他にも工場内で製麦を行っていたところはあったんですよ。

キリンビールでいえば、製麦発祥の地は横浜工場です。1918年に、横浜の山手工場に製麦施設ができ、その後、仙台、横浜(生麦)神埼、広島と徐々に増えていって、最大で九つの工場に製麦設備がつくられました。現在は、それらの工場にあった機能や製麦技術が、福岡工場に集約されたかたちになっています。

─そういう経緯があったんですね。福岡に製麦の機能が集約されたのは、ビール大麦の産地から近かったのが理由なんですか?

森田:そうですね。そうすることで輸送費やCO2排出が抑えられるので。あとは、福岡県には製麦やビール造りに適した水があったというのが大きな理由です。

福岡県産大麦がビールの命「麦芽」になるまで

福岡県の麦秋の様子

福岡県の麦秋の様子。5月半ばになると、黄金色に輝く麦の穂を見ることができる。

─「麦芽」という言葉はよく耳にしますが、実際にどうやってつくられているのかは知らない人も多いと思います。製麦工場で行われている、大麦から麦芽をつくる具体的な工程の流れを教えてください。

森田:まず収穫されたビール大麦を受け入れて粒を揃えます。次に浸漬槽で大麦を水に浸して、発芽を促します。そのあと、麦が発芽するのに最適な発芽槽に移動し、静かにゆっくりと時間をかけて発芽を進めます。こうすることで粒の中には、おいしいビール造りにかかせない良質な麦汁をつくるための酵素がたくさんできるんですよ。

そのあと、「キルン」と呼ばれる釜で発芽した大麦を乾燥させ熱を加えることで、麦芽に香ばしさや色が生まれます。こうして完成したものが麦芽です。

ビール大麦の粒って種子なので、普通に成長すると発芽して育っていくんですよね。私たちはビール大麦自身の持っている生きる力を最大限に引き出し、利用させてもらうことで良質な麦芽をつくっています。

─つまり、大麦の成長を利用して、ビールの原料となる麦芽をつくるのが製麦という仕事なんですね。

森田:そうですね。大麦も生き物です。心地よく発芽できるように水分と温度の絶妙な調整を行い、ビール大麦が持つポテンシャルを最大限に引き出して良質な麦芽をつくるというのが、とても重要な仕事になります。

キリンの森田

─ビールの主な原料は麦芽、ホップ、水ですよね。このうちホップは、苦味や香りに大きな影響を与えるじゃないですか。麦芽は、ビールのどういった要素を構成している素材なのでしょうか?

森田:ホップは“ビールの魂”と呼ばれていますが、私たちは麦芽のことを“ビールの命”と呼んでいます。なぜかというと、麦芽はビールのアルコール分や炭酸、色、口当たり、泡、飲みごたえなど、非常に多くの要素を構成する元となっているからです。麦芽がないとビールはできません。それくらい大切な原料なんです。

─なるほど。そんな麦芽の品質を上げるために、福岡工場が意識していることがあれば教えてください。

森田:当たり前のことですがビール大麦は農作物なので、その年ごとに気候の影響を受けます。そういうなかでも、生産者の方々は一定の品質を保ち、粒の大きさなど多くの基準をクリアした大麦を作ってくださっています。ですから、畑で大麦を育てている時点から、ビール造りは始まっていると言っても過言ではありません。

製麦をする際には、発芽する勢いが均一であることや、年産や産地、品種ごとの大麦の特性に応じた、水分や温度の調整が重要なので、そのあたりを見極めながら作業を進めています。

まずは実験室で試験製麦を実施して、その結果をもとに工場での製麦条件を決めていくことで、品質の高い麦芽をつくっています。

大麦「ほうしゅん」

福岡県の作柄調査の様子。大麦の品種は「ほうしゅん」

─これまでキリンだけで使われていた福岡県産麦芽の外販がはじまったのは、いつからだったんですか?

森田:2018年から外向けの販売をはじめました。

─矢野さんは実際に福岡県産の麦芽でビールを造ってみて、どんな印象を持たれましたか?

矢野:我々は袋に入った状態で麦芽をいただいたんですけど、開けた瞬間に外国産のものよりいい香りがしたのを覚えています。麦の甘い香りがするんですよね。

それを使って造ったビールはすごくおいしかったですね。いい出来でした。あと、収量も多くなったんですよ。仕込みの段階でいつもよりも糖度が取れて、今まで使っていた麦芽よりも濃い麦汁がつくれました。それによって少量でも今までより多くのビールが造れるので、製品としての量が上がりました。

─そういう差も出てくるんですね。

矢野:収量の差には、麦芽の粉砕具合や、糖化時の水分量、温度なども関わってくるんですけど、外国産の麦芽と同じように造ったのに多めにできましたね。

また、私たちのような小規模醸造所では「麦」を「麦芽」へ製麦する事はできません。地域に根差した醸造所を目指す私たちにとって、ビールの主原料である「麦芽」を、地元のものにできるということ自体が大きなメリットでした。

  地元を応援するために造られたスペシャルなビール

八女ブルワリー 醸造担当とキリン従業員

─2019年には、キリンビールと八女ブルワリーさんのコラボで『コスモスビール』が発売されました。このビールを一緒に造ることになった経緯を聞かせてください。

森田:福岡工場の前にはキリン花園というのがあって、そこで毎年10月に「コスモスフェスタ」というイベントをやっているんです。そこで、期間限定で出したのがコスモスビールだったんですよね。

これを造ろうと思ったきっかけは、2017年に発生した九州北部豪雨でした。あの豪雨で福岡工場がある朝倉市も、甚大な被害を受けたんです。そうした災害からの復興を象徴するようなビールを地元のみなさんにお届けしたいと思って、コスモスビールを企画しました。

コスモスビール

2017年の九州北部豪雨の復興の象徴として造られた『コスモスビール』

─それでキリンがつくった麦芽を使って、八女ブルワリーさんにビールを造ってもらうことになったんですね。

矢野:はい。我々としては、そういうお声がけがとてもうれしかったのと同時に、プレッシャーもありました。だけど、せっかくいただいたお話なのでやってみようと思って。

ただ、最初はコスモスを使ったビールを造る予定ではなかったんですよ。コスモスフェスタに出すビールだから、コスモスの色に寄せたビールを造りたいねって話で、麦芽の量を調整したり、食用のハイビスカスを使うアイデアを考えていたんです。

森田:そしたら、実は朝倉で食用のコスモスを作っている方がいらっしゃることがわかったんですよね。

矢野:それはもう絶対に使わせてもらいたいと思って、生産者の方にお願いしてコスモスを分けていただきました。

─それで最終的には、地元のコスモスと、地元の麦芽を使って、地元のブルワリーが造ったビールが誕生したんですね。

あさくらエール!!!

─2020年には『あさくらエール!!!』というビールを一緒に造ったというお話も伺いました。

森田:コロナウイルスの影響で、誰かと一緒に食事をするのが難しくなった状況のなか、人と人が感動を共有できるような企画を考えたかったんです。なおかつ、地元を応援できることをやりたいなと。

そのために自分たちができることを議論した結果、我々が製造している福岡県産の麦芽と地域の特産物を掛け合わせて、地元のクラフトブルワリーさんと一緒に特別なビールを造りたいと思ったんですよね。それはきっと地元のお客さまによろこんでもらえるビールになるんじゃないかなって。

─『あさくらエール!!!』は、蜂蜜を使ったビールだったんですよね。そのアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか?

森田:地元の特産物を探すなかで、朝倉で「レンゲ蜂蜜」を製造されている「藤井養蜂場」さんと出会ったんです。実は藤井養蜂場さんも豪雨で大きな被害を受けていて、これから復興に向けて頑張っていきたいという想いを持っておられて。そういう背景もあって、快く引き受けてくださったのがきっかけでした。

矢野:我々にとってはまたプレッシャーもあったんですけど、蜂蜜は以前にも使用したことのある素材だったので、ビールとしては造りやすかったです。

森田:『あさくらエール!!!』は、水にもすごくこだわりました。朝倉には「甘水(あもうず)の銘水」という良質な水があって、それを矢野さんが軽トラックで運んできてくれたんですよね。

─すごいですね!そういう労力をかけてまで、水も地元のものにこだわったんですね。

森田:はい。それを仕込み水に使用して、本当に特別なビールができました。地元を応援しようということで、こんなに産地と造り手にこだわったビールはなかなかないと思います。

八乙女ブルワリー醸造担当の矢野

─地元の方たちからの反応はいかがでした?

森田:ものすごくよかったですね。単においしいってよろこんでもらえただけでなく、「甘水の銘水」という観光名所のPRにもなりましたし、「朝倉って、レンゲ蜂蜜が有名なんだね」と、これをきっかけに藤井養蜂場さんのことを知っていただいたお客さまもいました。

八女ブルワリーさんについても「こんなにおいしいビールを造っているブルワリーがあったんですね」というお声をいただきましたし、キリンビールも福岡県のビール大麦で麦芽をつくっているということを知ってもらえて、本当にいい掛け算になったなと思います。

─最初に掲げていた「地元を応援する」と「人と人が感動を共有できるような企画」という二つの目標を見事に達成できたんですね。

森田:そうですね。地元の素材で、地元の人が造ったビールがおいしかったら、誰かに話したくなるじゃないですか。そうやって感動を伝える機会を、地元で生むことができたので、本当にやってよかったなと思います。

矢野:『あさくらエール!!!』は八女ブルワリーでも販売していたんですけど、お客さまからの反応は非常によかったですね。同業者からの評判がよかったのもうれしかったです。私自身も、出来がいいと思っていたので、自信を持って勧めることができました。

テレビでも取り上げていただいたおかげで、「うちにこういう素材があるので、それでビールを造りませんか」というお問い合わせをいただく機会も増えました。

─まさに三方よしのビールになったんですね。

これからの地域とビールの関係

キリンビール福岡工場

─福岡工場では、地元産の大麦を使いながらビール造りをしていて、八女ブルワリーさんも地域に根ざしたビール造りをされています。規模は違っても、地域とつながりを持ちながらビールを造っている共通点があると思うんですけど、最後にこれからも福岡でビールを造っていくうえでの展望を聞かせてください。

森田:キリンは大きな工場でビールを造っているんですけど、使っているものは麦芽とホップと水、それから酵母です。これらは全部、生き物なんですよね。

ですから、我々は“生への畏敬”というものを最も大事にしています。つまり、生き物に対して謙虚な心を持ち、どうすれば最大限のポテンシャルを引き出せるかということを常に考えながらビールを造っているんです。

製麦についても、良質な麦芽をつくるために五感を駆使して大麦と向き合っています。いくら機械化が進んだとしても、最終的な良し悪しを判断するのは人間なので。

─そのためには生産者さんとの関係性や対話も大事になりそうですね。

森田:生産者の方々とは、ビール大麦の品質について意見交換をしたり、製麦の現場を見ていただいたりもしています。我々が圃場にお邪魔して、一緒に作柄の調査をすることもあります。

そうやってビール大麦の生育の段階から関わらせていただいているので、単純に作物の受け渡しをするだけの関係性ではないんです。近い距離感でお付き合いさせていただいているからこそ、良質な麦芽をつくることができると思っています。

キリンビール福岡工場

矢野:我々も、やはり地域に根ざしたビール造りというのが基本姿勢だと思っています。小さなブルワリーであるメリットとして、小回りがきくんですよね。なので、地域の特産品を使ったビールをたくさん造っていけたらなと思っています。

すでにキンカンやブルーベリー、地元のお米を使ったビールなどのアイデアが出ているので、そういうのを実現していきたいですね。

─自分たちが育てた農作物がビールになるというのは、生産者の方たちもよろこばれるんじゃないですか?

矢野:よろこんでもらえますね。それに我々は一般的に飲まれているものとは少し違うビアスタイルをベースに持ってくるので、地元産の素材をきっかけにビールにもいろんな種類があるってことを知ってもらえたらいいなと思っています。

─八女ブルワリーさんが造られていた『IPAグレープエール』や『あまおうカカオスタウト』などは、まさに地元の素材と多様なビアスタイルを組みわせたビールですよね。そうやって地域に新しい価値を提案しつつ、外には特産品のPRができるというのも、ビールのおもしろさですね。

矢野:そうですね。本当にそう思います。

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丹精込めて育てた麦芽と地元の素材を使って新しいビールを造ることで、手を携えてきたキリンビール福岡工場と八女ブルワリー。それらが掛け合わさることで、人と人が感動を共有できる機会へとつながっていました。

地域に根ざしたビール造りは、今もなお新たな可能性を探り続けています。

次回の「#造る人たち」もお楽しみに。

▼キリンの工場見学についてはこちら

文:阿部光平
写真:土田凌
編集:RIDE inc.