いつもの家庭料理を格上げしてくれる!「李錦記」オイスターソース×「永昌源」紹興酒
まだまだ知られていない「紹興酒」の魅力をお届けする特集「紹興酒のすゝめ 〜知ればもっと中華が楽しくなる〜」。前回は、紹興酒・中国酒メーカー「永昌源」の社員・内海に奥深い紹興酒の世界を紹介してもらいました。
今回は、紹興酒と同じく、中華料理では定番の調味料「オイスターソース」に注目。紹興酒とオイスターソース。同じ文化のもとで生まれた調味料ということで共通点はあるのか?また、二つを組み合わせたら、どんな味わいが生まれるのか?
そんな疑問を解決すべく、エスビー食品社員で中華調味料ブランド「李錦記」担当の森川陽介さんをお招きし、「永昌源」社員・内海とともに、紹興酒とオイスターソースの可能性やおいしい活用法を考えてみました。
「紹興酒とオイスターソースを、家庭でもっと気軽に楽しんで欲しい」「日本の家庭料理のバリエーションを広げてほしい」そんな熱い想いを持った2名による対談です。
中国生まれの「李錦記」のオイスターソースと「永昌源」の紹興酒
─まずは李錦記のオイスターソース、永昌源の紹興酒、それぞれの特長を教えてください。
森川:李錦記は、今年で創業134年を迎える老舗中華調味料ブランドです。創始者である李錦裳(リ・キンシェン)は、広東省南水近くの小さな村で料理屋を営んでいました。牡蠣スープが名物の名店で、いつものように料理をしていたら、うっかり火を消し忘れてしまったんです。焦がしてしまった鍋をのぞいてみると、鍋底にとろっと濃厚なソースができていて、舐めてみたら、今まで味わったことのない旨みとコクのあるソースだったのだそうです。これがオイスターソースのはじまりです。どんどん世界に広がり、今では世界100カ国以上の国と地域で販売されています。
ボトルに描かれたブリッジのロゴは、創業100周年の記念に、「中華料理を通じて、世界の文化のかけ橋になりたい」という李錦記の使命を象徴しています。アジアのメーカーから世界的中華調味料メーカーという地位を目指しています。
内海:オイスターソースは李錦記が発祥なんですね。そして、まさか“うっかり火の消し忘れ”から生まれたなんて。我が家でも常備していて、かなり愛用していますよ。
森川:ありがとうございます。李錦記のオイスターソースの最大の特長は、原料である牡蠣へのこだわりです。自社で養殖場を持っていて、種牡蠣から管理しています。2〜3年養殖したものから何段階にもわたる選別を経て、特定の品種のみを採用します。すべての牡蠣をその場で水揚げ、むき身にしてエキスを抽出するのもこだわりのひとつです。
内海:牡蠣というだけでも贅沢なのに、そんなにこだわりがあるんですね。中国家庭の食卓では、オイスターソースはどんな存在ですか?
森川:中国では、日本の醤油や味噌と同じくらい日々の料理に欠かせない存在です。中華=炒め料理というイメージですが、豚の角煮のような煮込み料理にも使われます。味わいや質感は各社さまざまですが、李錦記のものはとろみが強いのが特長です。本国では、使いやすいように、ポンプ式の大容量容器もあるんですよ。そのくらい頻繁に使う調味料ですが、日本では使ったことがないという方も多いので、まだまだ伸びしろがあるなと感じています。
内海:紹興酒も、中国の紹興で造られている地酒なので、紹興周辺の家庭には必ずあるんですよ。中国全土で考えるとそうではない地域もあるのですが。
森川:紹興酒って、地酒なんですね。
内海:紹興酒は、広く言えば、「老酒」です。なかでも、紹興で造られていて、国が定めた基準を満たしているもののみ、紹興酒と名乗ることができます。
森川:なるほど。紹興酒は飲むものというイメージが強いですが、料理にも使われていますよね。
内海:中華料理には欠かせないと思います。オイスターソースほどメジャーではないのですが…。スーパーで棚を見ていても、オイスターソースはずらりと並んでいて憧れの存在ですよ(笑)。料理家さんやプロの料理人は結構使っているし、業界の方には知っていただいていますが、家庭ではまだまだ知られていないのが現状です。
森川:以前、エビのチリソースのレシピを料理家さんに監修してもらった時、エビをプリプリに仕上げるコツとして、紹興酒にひと晩つけておくといいと教わりました。実際やってみると、とてもプリプリになったんです。調味料として使うと、料理がものすごく格上げされますよね。オイスターソースもですが、いろいろな使い方があることをもっと広めていきたいです。
内海:そうなんです。オイスターソースもかなり万能ですが、紹興酒も調味料としてもかなり優秀なんです。
いつもの料理を、ひと味違う味わいに。プロおすすめ!意外な活用方法とは?
─オイスターソースは、中華料理の炒め物などによく使われるイメージですよね。他にもおいしく使える方法ってあるんでしょうか?
森川:オイスターソースって、実は和洋中なんでも合うんですよ。あとは、火を通さずそのまま食べられるということも意外と知られていないかもしれませんね。オイスターソースの原材料は、牡蠣エキスと砂糖、塩、旨味調味料。和食の基本の調味料は、醤油、砂糖、みりん、酒、出汁があれば大体どの料理も作れますが、それとほぼ合致するんです。つまり、オイスターソース1本で和食の調味料がまかなえます。
内海:妻も「時間がない時オイスターソースがあれば、素早く味が決まる。時短になる」と言ってオイスターソースを愛用しています。使い勝手がいいし、料理のバリエーションも広がるので、醤油や味噌などに加えて、主要な調味料のうちの1つになっています。
森川:ぜひ、肉じゃがにオイスターソースを使ってみてほしいですね。牡蠣エキスの旨みが効いて、いつもと違った味わいに仕上がりますよ。炊き込みごはんを作る時も、きのこや鶏肉などを炒めて、オイスターソースと紹興酒、好みでお醤油などを少し足して炊くとおいしいんです。
内海:それはおいしそうですね!和食の調味料の置き換えになるとは意外です。実は紹興酒も同じで、日本酒や料理酒の代わりに使えるんです。あと、私のおすすめは、餃子を焼いて、最後に水で蒸し焼きをする際、紹興酒を少量入れて焼くと一気に高級中華屋さんの味になりますよ。そこに、少量のオイスターソースを混ぜてもいいかもしれませんね。
森川:中華の定番である「青椒肉絲」や「ルーローハン」にオイスターソースを使うんですが、ここで入れるお酒を紹興酒に変えたら、味にコクや深みが加わります。いつもの野菜炒めも格上げしますよ。
内海:そうなんですよね。紹興酒はコクをプラスしてくれるし、オイスターソースのこってりとしたおいしさをより引き出してくれるんです。辛いのが好きなら豆板醤や鷹の爪を入れるのも良いですね。
森川:オイスターソースは、調味料としてはもちろんですが、そのまま食べることもできるので、野菜スティックのソースにもなります。中国では醤油の代わりに使われているくらいですから。あと、オイスターソースを水で溶くと、めんつゆのような味わいになるんです。めんつゆは、和食の基本調味料の集合体のようなものですよね。その中華版ができ上がるというわけです。卵かけご飯にオイスターソースをかけるというのも、社内では評判の食べ方です。
内海:それはおいしそう!やってみます!醤油の代わりになるし、旨みもあるし。オールマイティな調味料ですね。チャーハンも、醤油ではなくてオイスターソースで作るとプロの味になりそうです。
森川:そうですね、オールマイティな中華版だし醤油ですね。
内海:我が家でもますます出番が増えそうです。今は忙しい共働きの家庭が多いので、短い時間でおいしくできるというのは嬉しいですね。
互いの持ち味を生かし合う最強タッグ。コツがわかれば“おいしい”の可能性無限大!
─次から次へと、おいしそうなレシピをありがとうございます。“中華料理”のイメージでしたが、こんなにオールマイティだったとは。手間が省けておいしくなるのはなぜでしょう?
内海:紹興酒は、他のお酒よりアミノ酸の量が非常に多いので、旨みもぐっと増すんです。だから、飲んでもおいしいけど、調味料にも適しています。紹興酒は、口の中の脂身や脂っこさをさっぱりさせてくれる酸味もあるので、肉料理や濃い味付けの料理にも合います。油っぽさを中和してくれるので、口の中がリセットされて、次の食事がよりおいしくなるんです。
森川:オイスターソースは、なんといっても牡蠣エキスの旨みが決め手ですね。
内海:オイスターソースの「オイスター」が牡蠣だって、意外と知らない人も多いんじゃないですか?私もそうでした。もちろん、牡蠣=オイスターは知っているけど、「オイスターソース」を見て、牡蠣のソースだとすぐ認識できないかもしれません。でも知ると、贅沢なソースだなと納得できますよね。
森川:なるほど。オイスターソース=牡蠣ということを認識していない人が多いかもしれないというのは意外でしたし、盲点でした。
内海:身近だけど、知らないことがたくさんありそう。でも、お互いそこに伸びしろがあるんじゃないかなと思います。その伸びしろを少しでも埋めていけるようにもっと色々な情報を発信して広めていきたいですね。
森川:私も、今日は紹興酒の意外な使い方や旨みの秘密も伺うことができてよかったです。こうやって話していると、紹興酒とオイスターソースは、同じシーンで使われることも多いですよね。オイスターソースは旨みと塩みと甘みがバランスよく備わっているので、紹興酒のコクや旨みをさらにプラスすることで、より味にまとまりが出る。紹興酒とオイスターソース、実は最強のコンビなのかもしれないですね。
内海:抜群に相性がいいですね。やっぱり同じ土地、同じ文化で生まれて愛されてきたものだからかな。一生離れられませんね(笑)。
可能性は無限大!オイスターソース×紹興酒のレシピを紹介してもらいました
料理をぐんとおいしくしてくれる「オイスターソース」と「紹興酒」。2つの調味料の魅力を最大限に引き出したレシピを料理家の今井真実さん・真野遥さんがご紹介してくれました。まだまだ知らなかった2つの調味料の可能性を感じることができるはず!ぜひ試してみてくださいね。
■今井さんご提案 「ぱくぱく食べられる麻婆豆腐」・「中華風 刺身」
■真野さんご提案「牡蠣とアスパラガスのとろとろオイスター春雨」・「中華風の半熟味玉天ぷら」
対談で登場した商品
写真左 『古越龍山金龍』
5年貯蔵原酒を中心にセレクトした優美な味わいが特長。中国の迎賓館「釣魚台(ちょうぎょだい)」に選ばれた紹興酒の世界的ブランド「古越龍山」をカジュアルに楽しめる1本。もち米のもつ自然な“甘さ”を引き出し、酸味を抑えた芳醇でやわらかな口当たりを実現し、中国料理のおいしさを引き立てる逸品。飲むのはもちろん、料理に使うのにもおすすめ。
写真右 『李錦記 オイスターソース』(255g)
新鮮な牡蠣のエキスをたっぷりと使い、李錦記社秘伝の伝統製法で作り上げたオイスターソース。本物だけが持つ深いコクと濃厚な牡蠣の風味が特長。チャーハンや焼そば、炒め物や煮物の調味料に。また和洋中を問わず、隠し味など、幅広く活躍します。
編集部のあとがき
取材当日に「はじめまして」となる取材は緊張するものですが、徐々に話が盛り上がっていく様子を目の当たりにすると、企画者としてはついニンマリしてしまいます。今回の取材はまさにそんな取材でした。取材後半に向けて、ライターさんが置いていかれるほど「美味しい話」の応酬でした。
取材後にポロッと教えていただいた、オイスターソースを和えるだけの「たこときゅうりのさっと和え」が異様なほど美味しくて、しばらく我が家の定番つまみになりそうです。
エスビー食品さん、この度はありがとうございました。