飲食店の救世主に?次世代サーバー『TAPPY』の可能性を3つのキーワードから紐解く
サーバーから注がれたお店の生ビール。そのおいしさは、お店側のサーバー管理に大きく支えられています。
おいしいビールを提供するためにはサーバーの洗浄が必要です。ただし、その作業はお店側にとっての負担でもあります。また、洗浄の際にはホースに残ったビールを洗い流すため、ロスが出てしまうという課題もありました。
そういった現場の課題と向き合って、新たに開発されたのが次世代サーバーの『TAPPY』です。
▼『TAPPY』の詳細はコチラ
「おいしい」、「かんたん」、「おトク」という3つのキーワードで語られる『TAPPY』とは、どんなサーバーなのか。企画担当の髙城建人と、営業担当の吉田純に話を聞きました。
『TAPPY』開発の背景にあった樽詰めビールの課題
─今年の4月から全国展開がはじまった新サーバー『TAPPY』について、まずは開発の経緯を聞かせてください。
髙城:従来のサーバーは、樽にホースを繋いでビールを出す仕組みになっているんですよね。樽の大きさは、一番小さいサイズが7Lで、鮮度を保つために開栓から3日で提供していただくことを推奨しております。
しかし、今はお客さまの嗜好が多様化していたり、ライフスタイルが変わってきているので、お店によっては3日で7Lのビールを消費していただくのが難しくなってきたという現実がありました。お客さまに新鮮で、おいしいビールを飲んでいただくためには、樽の回転率を上げていくということが非常に重要な課題になっていたんです。
─常に鮮度の高いビールを飲んでもらうためには、お店側が「3日で7L」という壁を越え続ける必要があるんですね。
髙城:そうなんです。そういう課題をクリアして、いつもお客さまに新鮮で、おいしいビールを提供する方法はないだろうかという課題意識が『TAPPY』の出発点になっています。
─『TAPPY』はこれまでのような金属製の樽ではなく、ペットボトルの容器につなげてビールを出す仕組みになっているんですよね。
髙城:はい。ビールが入っているのは3Lのペットボトルです。樽の半分以下の容量ですし、ペットボトルなのでとても軽くて扱いも楽になりました。サーバー自体の幅も、従来のものよりスリムなものになっています。
吉田:セッティングもペットボトルのキャップを開けて、そこに接続部のパーツをかぶせて回すだけなので、女性や年配の方でも簡単にできます。通常の樽だと重さもあって、接続の際には少し複雑な手順があったので、対応できる店員さんが限られしまうケースもあったんですよね。
だから、小さなお店だと料理を作ってる男性の店員さんに「樽の交換お願いします!」みたいな声がかかって、「ちょっと待って!揚げ物作っていて手が離せない!」「でも、お客さん待ってるから早く!」みたいなやりとりがあったりして。
─誰でも簡単にできる作業じゃなかったんですね。
髙城:『TAPPY』を導入していただいたフランチャイズの飲食店さまからは、新しく入ったばかりの従業員に取り扱いの説明をするのも簡単で、すぐに仕事を覚えてもらえるといった声をいただきました。現場教育の面での負担が減って、仕事の効率が上がるというのは、我々にとってもうれしい気づきでしたね。
吉田:それと、『TAPPY』のペットボトルは1ケース3本入りのダンボールで流通しているのでトラックにも隙間なく積むことができます。樽よりも軽いうえ、回収も不要なため配送効率やコストも大きく軽減できるようになりました。
─樽と比べてたくさんのメリットがあるように思えるペットボトル容器ですが、品質管理という点での問題はないのでしょうか?
髙城:『TAPPY』で使われているペットボトルは、キリンのパッケージイノベーション研究所が開発したもので、中身の品質を保てるように特殊なコーティングをしております。ですから、品質管理にも問題はありません。
ただ、ビールは光に弱いので、料飲店さまで光が当たらない場所での保管が難しい場合は、お渡ししている遮光袋に入れて保管していただくようにお願いしています。
─そういうケアをしておけば、品質的には樽と同じように保管できると。
髙城:そうですね。一般的に樽は常温で保管されていますが、『TAPPY』の場合はサーバー自体が冷蔵庫のようになっていて、そのなかにペットボトルを入れて使用していただくので、開栓から7日間は新鮮な状態を保てます。
吉田:これまで「3日で7L」を提供しなくてはいけなかったのが、『TAPPY』を導入することで「7日で3L」使い切ればいいので、飲食店さまの負担はだいぶ軽減されることになります。
─サイズが小さくなったうえに、保存期間も延びているんですね!それは「早く売り切らなきゃいけない」という、お店側の精神的負担も減りそうですね。
ビールのおいしさを左右する「サーバー」の洗浄も手軽に
─他にも『TAPPY』ならではの特徴があれば教えてください。
吉田:『TAPPY』は、洗浄もすごく楽なんです。従来のサーバーは使い終わった後に毎日の水通し洗浄と、週に一度はビールを通すホースをきれいにするためスポンジ洗浄が必要になります。
慣れてしまえば難しい作業ではないんですけど、やはりその分の時間と労力が必要になるので、負担に感じられているお店もあって。「おいしいビールを提供したいけど、洗浄が面倒」という声も多かったんですよね。
─サーバーを洗浄しないと、ビールにはどんな影響が出るんですか?
吉田:先ほどの話にもありましたが、一般的に使用されている瞬間冷却式ディスペンサーでは、樽詰めビールが常温で保管されていて、それがホースを通してサーバー内を経由することで冷却される仕組みになっています。つまり、サーバー内は冷えてるけど、樽やホースはいつも常温にさらされている状態なんです。
なので、洗浄をしないと、残っているビールの風味が劣化したり、汚れとして固まってしまったりすることがあるんです。そうなってしまうと、おいしいビールの提供はできなくなってしまいます。
─おいしいビールを提供するためには、サーバーの洗浄が欠かせないってことなんですね。
─『TAPPY』は洗浄も楽になったとのことですが、具体的にはどのような作業なのでしょうか?
吉田:従来のサーバーですと、平均して毎日の水通し洗浄に5分、週1回のスポンジ通し洗浄に10分くらいはかかると思います。加えて、タップの部分を分解して洗う必要もありました。
それに対して『TAPPY』は、ビールが入っているペットボトルとタップが近い位置にあるので、ホースがとても短いんです。なので、毎日の洗浄はタップの注出部を水ですすいで、受け皿を洗うだけなので、1、2分もあれば洗浄できます。
─毎日の作業だと思うと、その差は大きくなりそうですね。
吉田:年間で考えたら、かなり大きな差になりますよね。作業時間が減るというのは、人件費が抑えられるということでもあるので、お店の経済的な負担の軽減にもつながると思います。
髙城:経済的な負担といえば、もうひとつ『TAPPY』の特徴として挙げられるのが“ロスの少なさ”です。
樽を使う場合、ホースを洗浄するときには、一度中に溜まっているビールを水で押し出さなければいけません。洗ったあと、最初の1杯を出すときも、ホースにビールを引き込むために少しのロスが出ます。それを合わせると毎日ジョッキ1杯分くらいの量が廃棄になってしまうんです。
─「もったいないけど、仕方ない」という廃棄なんですね。
髙城:そうなんですよ。だけど、『TAPPY』はビール注出部を水で洗い流すだけなので、毎日の洗浄の際にロスしてしまうビールもほとんどありません。そういうコストカットも、飲食店さまにご好評いただいている点ですね。
吉田:7Lの樽だと、3日間で2Lしか出なければ残りの5Lは捨てることになってしまいます。特にコロナ禍では、急にお酒の提供ができなくなることもあったので、飲まれないまま廃棄されるビールも多かったんです。
だけど、『TAPPY』は3Lのペットボトルを7日間で使い切ればいい仕様になっているので、週にグラス10杯ほど注文があれば廃棄は出ません。1日に、1、2杯という計算ですね。「今までよりも保存期間が長くなって、樽の回転率が上がったことでプレッシャーが少なくなった」との声もいただいています。
─洗浄の手間やロスの多さというのは、お店側も課題に感じていてることだったんですね。
吉田:そうですね。そういうご意見を踏まえて、お客さまに『TAPPY』の説明をするときには「おいしい」、「かんたん」、「おトク」という3つのキーワードをお伝えしています。
そもそも『TAPPY』は、『一番搾り』をよりおいしい状態で飲んでいただくために開発されたサーバーなんです。なので、そのために最適な温度やガス圧でビールを出せるようになっています。だから、本当においしいビールが提供できるんです。
また、ビールだけでなく、ハイボールとサワーもラインナップに加えています。品質を保つ『TAPPY』の技術を活かして、飲食店さまが手軽においしいお酒ができるようになっているんです。
『TAPPY』は飲食店の救世主となる!?
─『TAPPY』の特徴を伺っていると、コロナ禍だからより感じられるメリットも多そうだなと感じたんですけど、開発はいつから始まったのでしょうか?
髙城:構想がスタートしたのは2017年です。昔は飲食店に入れば「とりあえずビール」というお客さまが多かったんですけど、今はいろんなお酒の楽しみ方ができるようになってきたので、ビールの在り方も考えなければいけない状況にあったんです。
─ビールの未来を考えての開発だったんですね。
吉田:そうですね。会社としては、お客さまにおいしいビールを飲んでもらいたい。でも、飲食店さまには洗浄の手間やロスの問題があるという状況は、我々にとってすごくジレンマだったんです。
だから、さまざまな課題を解決してくれる『TAPPY』は、我々にとっても、飲食店さまにとっても、お客さまにとっても救世主になってくれるんじゃないかと期待しています。
吉田:実際、樽式のサーバーから『TAPPY』に替えられた飲食店さまからは、「おいしいビールを簡単に出せるようになった」という声をたくさんいただいています。
あとは、「これまでは缶ビールを売っていたけど、サーバーで生ビールを提供したい」といったお問い合わせも増えていますね。「樽だと残っちゃうので、『TAPPY』くらいのサーバーが欲しかった」ということで。
─たしかに、1週間で10杯くらいの分量と考えると、新たに導入するハードルも低いですよね。
吉田:すごく低いと思います。サーバー自体も従来のものに比べてスリムで小さいので、場所もとらないですし。
髙城:樽がないだけで、設置できる場所の可能性は広がりますよね。飲食店だけでなく、小さな映画館やコワーキングスペースなどでもお使いいただけると思います。
『TAPPY』を導入したお店の声
取材後、実際に『TAPPY』を導入されたお店の方にお話を伺うことになりました。お邪魔したのは市ヶ谷駅の近くにある『とんかつ 河むら』さん。店主の河村さんに『TAPPY』を導入した経緯や、お客様からの反応などを伺いました。
─『TAPPY』を導入された経緯を教えてください。
もともとは瓶ビールを出していたんですけど、お客さまからは「生ビールはないの?」って声が多くて。だけど、そんなに大きな店じゃないし、居酒屋のようにビールがたくさん出るわけじゃないから、樽を置いても売り切れるかという不安があったんですよね。
あと、サーバーって厨房の中に置くものというイメージがあったので、設置場所を作るのも大変だと思っていました。そんなことを考えていたら、すごくぴったりなサーバーがあるってことを知ったんですよ。
─実際に『TAPPY』を使ってみた感想はいかがですか?
導入してから、緊急事態宣言などの影響でお酒を提供できた期間はまだ少ししかないんですけど、すぐにビールを出せるし、洗浄も楽で、最後の1杯までしっかり使い切れるので助かっています。
それと、二人組のお客さまがいらっしゃった場合、瓶ビールだと1本だけど、生ビールだと2杯分の注文が入ることが多いんですよね。ビールだけじゃなくサワーも入れているので、そちらのご注文をいただくこともあります。売上という意味でも導入してよかったなと思いますね。
─お客さまからの反応はいかがですか?
おいしいと言ってもらっています。やっぱりお店で出すものって、常においしくないとダメなんですよ。料理もお酒も、おいしいからおかわりしてもらったり、またお店に来てもらえるので。
おいしくないものを提供して、いいことなんか一つもないじゃないですか。だから、簡単においしいビールを出せるっていうのは本当にありがたいと思っています。
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飲食店の課題解決のため開発された新サーバー『TAPPY』。これからも「おいしい」「かんたん」「おトク」を掲げ、飲食店の負担を減らすだけではなく、一層おいしいビールでお客さまもHAPPYになる未来を目指していきます。