ホップ生産者から造り手・売る人へとつなぐ。『一番搾り とれたてホップ生ビール』を一番近くで見つめてきた人たちの想い
今年も11月1日(火)に発売された『一番搾り とれたてホップ生ビール』。
さまざまな社会課題と向き合いながらも、真摯にホップ栽培を続けている農家の方、それを陰で支える遠野の人々や行政、キリンビールの造り手。
たくさんの方の愛情が詰まった『一番搾り とれたてホップ生ビール』の魅力を全国に届けたい。
今回は『一番搾り』マーケティング担当の重田が、『一番搾り とれたてホップ生ビール』発売を目前にしたキリンビール仙台工場を訪ねました。
今年の『一番搾り とれたてホップ生ビール』の出来栄えや発売までの道のり、この1本に込めた想いを醸造、ホップ管理、営業を担当する3人に聞きました。
今年も無事に完成!自信を持って送り出す2022年の『一番搾り とれたてホップ生ビール』
―今年もついに『一番搾り とれたてホップ生ビール』が完成しましたね。遠野産ホップやビールの出来栄えはいかがですか?
河口二郎(以下、河口):今年のホップは花の状態が長く、生育が遅れていたので、少し心配していました。しかし、収穫までには天候や雨量に恵まれて、素晴らしい状態で収穫することができました。ホップ農家の方々が丹精込めて育ててくれたおかげです。
この素晴らしいホップと一番搾り製法で、ビール造りの料理人でもある醸造担当が想いを込めてつくり上げましたので、お客さまに自信を持って楽しんでいただける品質のものが出来上がったと思います。
大河原隆雅(以下、大河原):7月から8月上旬頃まで、毎週ホップの生育状況を確認するために遠野へ通っていました。河口さんのおっしゃる通り、今年は天候が不安定だったので、生産者のみなさまは苦労されただろうと思います。
天候によって若干の遅れはありましたが、8月に入ると天候も回復して、日々成長が早く、香気もどんどん上がって、結果的に遅れずに収穫できました。昨年よりもしっかり香気がついているように思います。
河口:圃場によって香りの強弱はありますが、そこは我々キリンビールの腕の見せどころ。しっかりと香気がつくよう調整させていただいています。
尾崎隆(以下、尾崎):私は営業担当なので、今年の『一番搾り とれたてホップ生ビール』を楽しみに待っているところです。10月31日と11月1日は、飲料店担当者と一緒に店舗を回って店頭陳列をする予定です。今のお話を聞いて、今年も期待しています。
以前営業をする際、店舗に乾燥ホップと凍結ホップを持参して、その場で香りの違いを感じてもらったことがあるんです。本当にみずみずしい香りで、バイヤーさんも「だから『一番搾り とれたてホップ生ビール』は特別なんだ」と実感してくださいました。今年はどんな香りか楽しみですね。
河口:凍結ホップを持ってきました。直に手に取って感じてみてください。香りがフレッシュでそのままなのは、凍結だからこそ。10月25日以降は、工場見学のお客さまにも凍結ホップを見ていただけます(※)。みずみずしい香りを体感したら、より『一番搾り とれたてホップ生ビール』のおいしさや特別感をわかっていただけると思います。
重田 麻帆里(以下、重田):このフレッシュな香り、夏にホップ畑で嗅いだ時の感動が蘇ります。遠野で、収穫から乾燥センターで1本1本ホップが冷蔵庫に積み込まれるまでを見守ったので、その後の完成を心待ちにしています。
“ホップはビールの魂だ” 農家の方々の笑顔とリアルな現実を動画に
―今年はWEB CM動画を制作したそうですね。
重田:この半月くらい遠野の方々に寄り添いながら、撮影・制作を進めていました。今日はみなさんと一緒に観たいと思い、お持ちしました。
河口:日本産ホップに対する生産者の想い、その背景にある社会的課題、それを含めてよく表現されている動画ですね。生産者の方の熱い想いやメッセージが詰まっていて、我々つくり手にも響く動画だと思います。
重田:ありがとうございます。これまで『一番搾り とれたてホップ生ビール』は、毎年“旬のおいしさ”でみなさんの期待に応えている商品でしたが、19年目を迎える今年は『一番搾り とれたてホップ生ビール』の“心で感じるおいしさ”という部分をもっと伝えたいと思い、動画を届けることにしました。農家の方、醸造家の方、営業の方、私たちの想いすべてがこの1杯に込められています。
『一番搾り』ブランドだからこそできる商品だということに改めて立ち返っています。これまでそのあたりのコミュニケーションがしっかりできていなかったなと反省しているところもあって。
これからは農家の方々やつくり手の想いを社内だけでなく、お客さまへももっと伝えていこうというのが、大きな取り組みの第一歩になったかなと思います。
尾崎:私はキリンビールで28年間営業をしていますが、実はこれまで遠野へ行ったことがなかったんです。今年4月に仙台へ赴任したのですが、先日新入社員研修に同行して初めて遠野を訪れました。遠野のホップ生産者や行政の話を聞いたり、収穫時期の現場を見学したり。
その苦労や社会課題を目の当たりにしたばかりだったので、ここで流れている場面を実感として感じています。この動画を通して、お客様にも伝わるものがあるのではないかと思いました。
確かにこれまでは、日本産ホップの価値を伝える機会が少なかったけれど、この動画がその1つのいい素材、きっかけになればと。
大河原:私は現地で撮影の様子を遠目で見ているので、こんな風にまとめてくださったんだなと感動しました。同時に、我々が思っている以上に、農家さんはホップ絶滅の危機を感じているんだということもよくわかりました。
『一番搾り とれたてホップ生ビール』発売以来、ホップの収穫量は年々減少しているのが事実です。それをどう維持向上していけるか、もっと考えていきたいと思いました。
河口:組合長の「ホップはビールの魂だ」という言葉がとても印象的ですね。ビールを造っている我々も同じ、共通の想いを持っているんだと思えてとても心強いです。このひとことは、我々にとっても非常に嬉しい言葉です。
重田:コピーだけでは伝わらない農家の方の想いや笑顔、現地の様子をこの動画に込めて伝えたいと思いました。リアルな声を届けたかったので、できるだけドキュメンタリーにこだわっています。
組合長の言葉も、インタビューの中で自然と出たもの。それだけにストレートに響く言葉だなと思います。
遠野のホップ栽培の課題は、日本農業の縮図。みんなで向き合い解決していきたい
―遠野の街やホップ農家が抱える社会課題について、みなさんの目にはどう写っていますか?
大河原:動画で組合長もおっしゃっていますが、遠野産ホップの収穫量は年々減少しています。
新しい後継者が何人か入ってきていることは素晴らしいことですが、これから5年、10年先を考えたとき、農家はさらに減っていくことも考えられる。新規就農者や栽培の定着といったところは、これからも考えていく必要があります。
河口:これは日本産ホップの課題ではあるけれど、見方を変えると、日本の農業全体の問題でもあると思っています。高齢化や後継者問題といった日本産ホップ農家の現状は、その縮図のよう。
今後も維持していくために、「ホップの里からビールの里へ」というスローガンを掲げて、我々も遠野市の行政と連携しながらさまざまな取り組みを行い、盛り上げているところです。
尾崎:そうですね。就労者や東北全体の人口の減少、輸入品の高騰など、一部の地域だけでなく、国内の農家全体が関わっている問題なんだなと改めて実感しています。遠野というエリアの状況を知って、よりそういった社会課題に対して、私の中でリアルに感じ始めています。
重田:私も今回初めて遠野を訪れて、改めて遠野のホップ栽培や生産者が抱える課題についてより考えさせられるようになりました。
これをお客様にきちんと伝えるにはどうコミュニケーションを取ればいいか、これからも考えていきたいと思っていますし、ブランドとしても、キリンとしても、もっとこれらの現状をよくしていきたい。そんな想いを持って、これからも関わっていきたいと思っています。
生産者、つくり手、街の人々が心待ちにする『とれいち』の発売
―東北の地に大変ゆかりのあるビールとのことですが、東北の方々にとって『一番搾り とれたてホップ生ビール』はどんな存在でしょうか?
河口:東北のお客さまは、『一番搾り とれたてホップ生ビール』に対する期待感が高い分、香りや味わいへの評価もシビアです。香気がしっかり保たれている品質でないとご満足いただけません。だからこそ、つくる我々も熱が入りますね。
実は、『一番搾り とれたてホップ生ビール』は、仙台の店舗ではすぐなくなってしまい、あまりお目にかかれません。売れるスピードが他のエリアに比べて速いんですよ。それくらい注目していただいている商品なんです。
大河原:農家さんも、自分たちが作ったホップがここに使われていると知っているので、特別な想いがあるようです。また、『一番搾り とれたてホップ生ビール』が樽で飲めるのも東北だけ。関東では飲めない。
だからやっぱり東北にとって『一番搾り とれたてホップ生ビール』は特別なもの。発売後は、転勤で仙台から出て行った人もわざわざ樽生の『一番搾り とれたてホップ生ビール』を飲みに戻ってくる方もいるようです。
尾崎:先日量販店の方との会話で、「今年は『一番搾り とれたてホップ生ビール』はどう?」という話題になりました。「我々にとってあれは自分たちのビールだから」というような表現をされていて。
“地元のビール”というよりも、“私たちのビール”と思ってくれていることに驚き、嬉しく思いました。
河口:本当に東北の方々の『一番搾り とれたてホップ生ビール』愛はすごいですよね。それだけ仙台の方にとっても思い入れのある商品。嬉しいですよね。
日本産ホップのおいしさや生産者の想いをお伝えすることで、生産者側の社会的課題解決とキリンビールとしての事業を両立するといった存在価値があると認識しています。まさに『一番搾り とれたてホップ生ビール』はCSV(※)を象徴した商品。
工場のメンバーもそういう商品の製造に携われることに誇りを持ちながら取り組んでいますし、仙台工場にとっても特に思いの込もった商品だと感じます。
東北だけでなく全国に届けたい。『一番搾り とれたてホップ生ビール』の魅力とみんなの想い
―生産者も街の方々も、特別に感じている『一番搾り とれたてホップ生ビール』。この魅力をどんな風に届けたいと考えていますか?
河口:ホップの旬なおいしさを届けたいというのが1番の思いです。本来、自動でできる工程も凍結ホップを使うために人の手でしかできない工程がたくさんある商品。本当に手がかかっています。お客様が手に取っておいしいと感じてもらえたら、我々の苦労も報われます。
大河原:キリンのブランドである『一番搾り』とキリンのホップ「IBUKI」の特長、凍結という日本産技術のすべてが掛け合わせされた商品。ホップ担当からすると、これは「IBUKI」の特長を出していただいている商品でもあります。それを感じていただけたらいいですね。
尾崎:営業としては、『一番搾り とれたてホップ生ビール』としての価値はきちんと伝えるけれど、これからは『一番搾り』の価値にどう還元させるかというところまで考えていけたらと思っています。
そもそも「一番搾り麦汁」だけで造ったおいしさに、みずみずしい日本産ホップの美味しさがプラスオンされているので、『一番搾り とれたてホップ生ビール』をきっかけに『一番搾り』のおいしさにもう一度気づいてもらいたい。
その上で、『一番搾り』ブランドを育てるための、『一番搾り とれたてホップ生ビール』という位置づけで表現していきたいというのが、営業としての思いです。
重田:『一番搾り』が目指しているところは、「『一番搾り』の缶を見たら笑顔になる」という“嬉しさ”。『一番搾り とれたてホップ生ビール』は商品としてそこに近いし、それが魅力でもあります。
『一番搾り とれたてホップ生ビール』を飲みながら、嬉しいなと笑顔になってもらえたら。農家の方やつくり手、醸造家、営業の方、みんなの思いが詰まってできたひと缶。動画や店頭ツールを通じて、その想いに触れてもらえたら嬉しいです。
ここまで丁寧においしさに妥協しないというところは、『一番搾り』のDNAでもあり、キリンのDNAでもあります。これをきっかけに、「つくり手の顔や笑顔が思い浮かぶ」、「ビールから農家の方やつくり手の想いも感じられる」など、『一番搾り とれたてホップ生ビール』を飲みながら、背景に想像が膨らむような存在になれたらと思います。
そしてその先には、こういった商品を手に取ることで世の中のためにもなるんだというところまで伝わったら嬉しいですね。
「ビールってあったらいいな。これからも必要だな」と、ウェルビーイングやビールの新しい価値にもつなげていけると思うんです。みんなで想いを込めて、このバトンをつないでいけたらと思っています。
『一番搾り とれたてホップ生ビール』が11月1日(火)から発売中
つくり手の想いと喜びが詰まった遠野産ホップでつくる『一番搾り とれたてホップ生ビール』が、11月1日(火)より全国発売しています。
今年で発売19年目を迎える『一番搾り とれたてホップ生ビール』は、「飲みやすく、飲み飽きない」理想のビールの“おいしさ”を実現した『一番搾り』からの限定商品。今しか飲めない特別な『一番搾り』をお楽しみください。