
10年前の氷結®が、人と人をつなげていく。「氷結® 復刻版」が誕生します
2001年に発売されて以来、たくさんのファンの方々から愛され続けてきた「氷結®」。
シチリア産レモン果汁を主に使用した、爽やかでみずみずしい果汁感が特長の「キリン 氷結® シチリア産レモン」や、グレープフルーツ果汁による華やかな味と力強い飲みごたえが楽しめる「キリン 氷結®ストロング グレープフルーツ」など、それぞれのフレーバーがお客さまの大きな愛によって支えられてきました。
「氷結®」は、このたび、新たな取り組みを始めました。テーマは10年前の「氷結®」。2010年当時のデザインとおいしさを目指してつくった、「氷結®」の歴史を楽しめる復刻版「氷結®」。
今回は、そんな「氷結®」の新たな取り組みに一番近くで関わってきた商品開発担当の嶋村と、中味開発担当の宮下に話を聞きました。
「デザイン」から、氷結®らしさを表現していく
商品開発(RTDカテゴリー戦略)担当・嶋村
―唐突ではありますが、「氷結®」らしさを一言で表すと、どうなると思いますか?
嶋村: 「氷結®」らしさを一言で表すのはすごく難しいですが、デザインの領域では工夫した点がふたつほどあります。それらは「氷結®」らしさにつながっていると思います。
―工夫した点とは、どんなところでしょうか?
嶋村:ひとつは、「ダイヤカット缶」の形状を活かした缶の表面のデザインです。「氷結®」の缶には、ダイヤ型のようなスジが入っていますが、これは「ダイヤカット缶」といいます。開けたときに氷のようにパキパキッと音がすることや、冷たさや爽快感のある印象などが「氷結®」にぴったりであるため、発売時より採用させていただいています。
―たしかに。「氷結®」と言えば、この缶のイメージがあります。
嶋村:ありがとうございます。また、凹凸の表面は光を反射しキラキラと輝いて見えるのがポイントです。これは、お酒を飲むときのワクワク感であったり、期待感のようなものを表現できたらと思い、このようなデザインになりました。
嶋村:もうひとつの工夫は「氷結®」らしい“果汁感”の表現です。たとえば、現在販売されている商品であれば、真ん中に大きく果実としぶきのような表現がありますよね。これは”みずみずしい果汁感”を表現しています。
嶋村:また、よく見ていただくと分かるのですが、今回復刻した2010年バージョンの缶は”すっきりとした果汁感とシャープでキレのあるお酒感のバランスのよいおいしさ” という当時の「氷結®」の味に合わせて、シルバーとブルーのシンプルなクロスをあしらっています。
それに比べて、現在販売しているものには2010年バージョンと比べてより明るい印象になるように、ブルーとシルバーのクロスの色味を変更しています。みずみずしい果汁感と爽快感が楽しめる、今の「氷結®」のおいしさをデザインでも表現し、様々な方に楽しんでいただきたいという思いでつくりました。
―そんな風にデザインを見たこと、これまでなかったです。
嶋村:チューハイや、ひいては「氷結®」の楽しみ方は人それぞれ違いますよね。私たちは、時代によって変化していく、その時々のお客様のニーズに合わせた表現で「氷結®」をつくっています。
今回の復刻版は、そんなところにもぜひ注目してみていただきたいですね。いわば“自分の子ども”のように愛が詰まった商品なので。
人それぞれの「おいしい」に寄り添う、氷結®の真髄
中味開発グループ・宮下
―次に、中味開発担当の宮下さん。よろしくお願いします。
宮下:よろしくお願いします。
―今回、「氷結®」の復刻版を発売することになった上で、大変だった点はありますか?
宮下:そりゃもう、たくさんありましたね(笑)10年前の味を忠実に再現するということが、こんなにも難しいことなのかと実感しました。「氷結®」が復刻版を発売するのは、実は今回が初めてです。これまでは、多くの新フレーバーを開発し、多くのお客さまに楽しんでいただいてきましたが、復刻版を作ったことは一度もありませんでした。
―そう聞くと、たしかに様々な味の種類はあっても復刻版って無かったですよね。
宮下:そうなんです。10年前の味を再現するためには当時の「氷結®」に使われていた原材料と全く同じものを使い、全く同じ作り方でそのものを作れば一番良いのですが、実際はそうはいかず、現在では入手が困難になってしまった原材料があったり、当時とは作り方が変わったりしています。
嶋村:デザインとはまた少し違った悩みですね……。
―そういった時には、どうするんですか?
宮下:今手に入る原材料や今できる作り方を最大限応用応用して、当時の味を再現します。今回の「復刻版」の味については、私たち中味開発グループが当時のレシピを解析して、いわば“味のプロフェッショナル”として責任を持って作り上げました。
ちなみに、今から10年前。2010年当時に販売されていたものは、シャープであったり、キレのような、やや“お酒感”が強い印象でした。
―なるほど。時代に合わせて、味もデザインも変化していっているんですね。
宮下:お客さまが求めている味を表現するという意味で、その視点はとても大切にしています。10年前当時の味わいはお客さまの思い出の一つになっているのかもしれない。だからこそ、復刻版の開発はとてもやりがいのある仕事でしたね。
―今の「氷結®」らしさと、当時の「氷結®」らしさがある、と。
宮下:そうですね。今の「氷結®」と、かつての「氷結®」の楽しみ方は、同じお客様であっても違っているかもしれない。ブランドらしさは、私たち作り手が決めることではなく、それぞれのお客さまが決めることなのだと思っていて。「氷結®」は20年の時代を過ごしてきたブランドですが、その在り方に一本筋は通しながらも、お客様のニーズに合わせて進化できる柔軟性が重要だと感じていますね。
嶋村:うんうん。
―お客さまそれぞれに「氷結®」がある、ということですか。
宮下:飲んでくださる方、お客さまがいる限り「氷結®」は移り変わっていくものだと思います。「氷結®」を通じて、みなさまがワイワイお話を楽しんだり、盛り上がったりしてくださるのなら、それはきっと一番素敵なことですね。
人と人がつながるための商品として「氷結®」がそこにあったなら、それほど嬉しいことはありません。私たち中味開発チームは、そんなお客さまたちに“味”で寄り添っていけたらと思っています。
―あくまでお客さま目線を忘れない、ということですね。ちなみに、「氷結®」と現行の商品の味って全然違うんですか?
宮下:違いますよ。私は、進化していると思っているのですが。ぜひ、飲み比べてみてください。
文:三浦希
写真:きょーいち