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透き通った爽やかさでみんなを元気に。『キリンレモン』の93年の歩みと愛され続ける理由

2021年3月16日。
とめどなく流れるTwitterのタイムラインを彩る、レモンとケーキの絵文字。

この日は、『キリンレモン』が発売されてから93回目の誕生日。生誕祭への参加を呼びかける一件のツイートが投稿されるやいなや、またたくまに拡散し、1時間半で国内トレンド3位にまでのぼりつめました。

ユーザーから次々と投稿される『キリンレモン』との思い出話を中心に、総リツイート数約1.3万件と「#キリンレモン生誕祭」は、企業のTwitterキャンペーンとしては大いに盛り上がりました。

今回の生誕祭はなぜここまで反響を呼んだのか。そして『キリンレモン』が長年愛される理由について、93年の歴史を遡りながら、あらためて考えます。

長い歴史のなかで、一貫して守り続ける品質へのこだわりから、長年続くブランドだからこそ意識的に変化させてきたことについて、ブランドマネージャーの松井のり子に話を聞きました。

キリンビバレッジの松井のり子

【プロフィール】松井 のり子
キリンビバレッジ株式会社 マーケティング部
生茶のブランドマネージャーとして2020年リニューアルを担当した後、この春より炭酸カテゴリーのブランドマネージャーに着任。


「#キリンレモン生誕祭」の反響から見えたファンとの関係性

キリンビバレッジの松井のり子

─93年目にして、初めてSNSで開催された「#キリンレモン生誕祭」。実施のきっかけを教えてください。

松井:『キリンレモン』は、今年で93歳になりました。つまりほとんどの方の幼少期にはすでに側にいて、みなさんの学生時代から現代までを見守ってきた炭酸飲料です。

身近な存在の『キリンレモン』だからこそ、お客さまがたくさんの思い出を持っているのではと思い、『キリンレモン』の誕生日である3月16日に、みなさんのエピソードをお聞きしたくて「#キリンレモン生誕祭」を企画してみました。

─具体的にどんな企画だったのでしょうか?

松井:誕生日当日に、キリンビバレッジのTwitter上で、「キリンレモン生誕祭」として長い間親しんでいただいた感謝の気持ちを込めて、プレゼントキャンペーンのお祝いの投稿をしました。この投稿を、「#キリンレモン生誕祭」とつけて引用リツイートをすると、『キリンレモン』の商品が抽選で10名さまに当たるというものでした。

このキャンペーンは、午前9:30に一本だけ投稿したんです。コメントには、「ぜひ『キリンレモン』の思い出を教えてね」と添えることにしました。「#キリンレモン生誕祭」をつけて投稿することは、キャンペーンに参加するための条件だったんですが、思い出を投稿するのは必須じゃなかったんです。でも、お客さまからの『キリンレモン』との思い出の投稿が予想以上に多くて、最終的にリツイートは約1.3万件まで伸びました。

─すごい反響ですね。なぜそこまでツイートが伸びたのでしょう?

松井:そうですね。タイムライン上に流れるお客さまの思い出ツイートが共感を生み、それを見た他のお客さまがまた思い出をつぶやく。そんな共感の連鎖で、瞬間風速的に盛り上がっていった印象があります。

─ひとつの投稿で、これだけお客さまの反応があったのは、うれしいですよね。ここまで盛り上がると思っていましたか?

松井:いえ、全然想像してなかったです(笑)! ここまで発話してくれる人がいたことに驚きました。そもそも、お客さま一人ひとりとの思い出がここまである事自体がすごいですよね。それだけ『キリンレモン』が多くの方の人生に関わり、長年愛されてきた商品だからこその盛り上がりだと思っています。

ただのプレゼントキャンペーンとしてではなくて、「思い出を共有するイベント」になったというのは、すごくうれしかったですね。

キリンレモン

─『キリンレモン』との思い出があってこその反響だったんですね。コメントの中で、特に印象に残っているものはありますか?

松井:「子どもの頃に、おばあちゃんの家にあった」や「部活帰りに友達と飲んだ」というコメントが多かったですね。あらためて、『キリンレモン』は人と人とのつながりや思い出を結ぶ、記憶の中に存在しているブランドになっているんだなということを実感しました。

他にも、『キリンレモン』がこんなにも高齢だと思われていなかったようで「意外と大先輩だった!」というコメントも結構ありました(笑)。『キリンレモン』の93年の歴史をお伝えできる、よい機会になったと思います。

「品質本位」を守りながら進化し続ける。『キリンレモン』93年の歩み

キリンビバレッジの松井のり子

─『キリンレモン』の変化といえば、バラエティに富んだパッケージデザインですよね。

松井:そうですね。透明の瓶で聖獣麒麟をあしらったものから始まり、ペットボトル飲料になってからは英語表記のロゴを使用したこともありました。そのあと、小さい容器の『チビレモン』が発売されたりして、時代に合わせてパッケージは随分変わってきました。歴代のボトルを見ると、大人っぽかったり若々しかったり。その時代が見えるようで面白いですよね。

キリンレモンパッケージの歴史

─ブランドの顔であるパッケージのリニューアルは、ブランドにとって大きなイベントだと思うのですが、変化にはどのような理由があるのでしょうか。

松井:長く続いているブランドだからこそ、どうしても『キリンレモン』という言葉にも聞き慣れてしまって、新鮮さを感じなくなってしまうこともあると思うんですよね。

だからこそ、『キリンレモン』をあらためて新しいものとして受け入れていただこうと、中身も含めてアップデートしているというのが、一番の理由ですね。

キリンレモン

松井:マンネリ化せずに、その時代に合った新しいものとして常に感じてもらうためにも必要な変化だと考えています。

最新パッケージは、『キリンレモン』が90歳になるタイミングで原点に立ち返ろうとリニューアルしたもので、発売当初の聖獣を大きくデザインし、ボトルも当時の瓶をイメージした形状になりました。

─パッケージのほかに、時代に合わせて変化している部分はありますか?

松井:変えている部分だと、「味」もそうですね。時代に合わせて甘くしたり、スッキリさせることでアップデートさせているんです。

─「味」を決めるうえで、意識していることってあるんでしょうか?

松井:『キリンレモン』“らしさ”は、常に大切にしています。

─『キリンレモン』らしさですか?

松井:はい。「らしさ」は味を考える中で共通認識として、私たちが持っている部分で。言語化するとなると、なかなか難しいんですが(笑)。

中味をリニューアルするときは、社内で「これは『キリンレモン』らしくないんじゃないか」、「これは『キリンレモン』“らしい”の範疇に入っているね」というようなやりとりをしながら開発をしています。

具体的には、以前はもう少し甘さも味わいも濃い目でしたが、現行の『キリンレモン』は炭酸飲料らしいキレ感と、柑橘由来のレモンらしいスッキリとした爽やかさをより感じられるようにチューニングしているのが特長です。

キリンレモン発売当初のポスター
発売当初の広告ポスター
子どもが『キリンレモン』の瓶を抱えている様子を描いている

─パッケージや中味を変えていく一方で、守り続けてきたことはあるのでしょうか。

松井:モノづくりの精神からも、見た目からも伝わる「ピュアな印象」は、『キリンレモン』が一番大事にしている変わらない軸の一つです。

絶対ニ人工着色ヲ施サズ」と掲げて誕生した当時のDNAを引き継ぎ、90年経った今でも、発売当初の「着色料不使用」、「透明であること」にこだわっています。

『キリンレモン』発売当初のバックラベル
『キリンレモン』発売当初のバックラベル

炭酸飲料と聞くと「子どもに飲ませたくないもの」といったイメージを持たれやすいですが、今も昔も『キリンレモン』は炭酸だけど子どもから大人まで安心してお楽しみいただけます。

─あとは、変わらないことと言ったら、CMソングでもおなじみの「キリンレモンのうた」もそうですよね。

松井:そうですね。私も、「キリンレモンのうた」が子どもの頃から大好きで。去年、歌をメインにしたCMをやりましたが、それをきっかけに時代を超えて現代の子どもたちが街で歌っていたり、インスタに歌をあげてくれていてすごくうれしかったですね。それこそ、社員の子どもがオンライン会議中に後ろで歌っていました(笑)。

この歌、1961年からCMで流れているんですよ。聴けばみんなが『キリンレモン』を思い出すってすごいですよね。だからこそ、余計に懐かしさや思い出、記憶とリンクするのかもしれません。歌ってそれだけ印象に残りますよね。

この国で暮らすみんなを、透き通った爽やかなおいしさで元気にする

キリンビバレッジの松井のり子

─いよいよ100周年が見えてきました。『キリンレモン』が、今後目指すところを教えてください。

松井:安心して飲める炭酸飲料ってすごく貴重だと思うんですよね。だからこそ、一貫して品質にこだわることや、時代が変わってもいつも身近な存在であることは常に考え方の真ん中に置いておきたいですね。

キリンビバレッジの松井のり子とキリンレモン

松井:生誕祭を振り返ると、やはり『キリンレモン』だったからこそ、あれだけ盛り上がったと思うんです。歴史が長いからだけでは片付けられない、お客さまとの間にある絆のようなものを感じました。それは単純に昔から慣れ親しんできたからかもしれないし、『キリンレモン』が持つ人格がそうさせているのかもしれません。

─人格があるからコミュニケーションが取れると。

松井:そうですね。『キリンレモン』は、昔から知っている古い友達みたいな存在だと思うんです。

ずっとそこにあるからこその安心感や親しみがあるような。一貫した信念を守って、その時代に合わせてお客さまに寄り添っていくという、『キリンレモン』とお客さまとの関係がそう感じさせるんだと思います。

『キリンレモン』とお客さまとのコミュニケーションによって生まれた絆は、これからも大事にしていきたいです。

─お話を伺って、社員の方からの愛情も感じました。

松井:そうですね。93年も前にできたキリンの代表的な商品なので、社員も長年愛情を注いで育てているブランドです。

『キリンレモン』は、「この国で暮らすみんなを、透き通った爽やかなおいしさで元気にする」というブランドスローガンを掲げています。このスローガンには、キリンレモンはいつも身近な存在としてお客さまのそばにいるブランドであり、お客さまに安心・信頼して手に取ってもらいたいという想いがこめられているんです。そして、その時代のニーズや嗜好に合わせて進化し続けていく存在を目指しています。

これからも、長年培ってきたお客さまからの信頼に応えて選んでもらえるブランドでありたいですね。

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「品質本位」の精神で透き通った爽やかさを大事にしてきた『キリンレモン』。「#キリンレモン生誕祭」の反響の裏側には93年間のお客さまとの絆がありました。これからも、世の中を見つめながら時代とともにパワーアップしていきます。

そして、この春『キリンレモン』がさらなる進化を遂げました。昨今の健康志向の高まりから、お客さまに高評価をいただいている『キリンレモン 無糖』がリニューアルして登場。

キリンレモン

レモンの爽やかな香りを強化し、甘くないのに『キリンレモン』らしいを追求しました。パッケージも、『キリンレモン』のブランドカラーである黄色のラベルが目を引くデザインに。

「無糖の炭酸水は物足りない」という方にも、無糖好きの方にもぜひ飲んでほしい、香り高い一本です。

文:山城さくら
写真:木村文平
編集:RIDE inc.

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