甘酢が夏の青身魚をおいしくする「酢の物」と「梅しそ巻き」【今夜のラガーのおとも。#5】
発売から130年、多くの人に愛されてきた「キリンラガービール」。このビールをよりおいしく愉しむために、料理研究家の瀬尾 幸子さんと“最良のおとも”を考えていく新連載がスタートしました。
思わずのどが鳴り今夜にでもつくりたくなる、それでいてシンプルで家庭的な“普段着のおつまみ”を、瀬尾さんならではの視点からご紹介します。
第5弾は、お酢と青身魚を使ってつくる2種類のおつまみです。
自分の体に寄り添うおつまみ選び
暑い日が続く夏。食欲が落ちるときもあれば、スタミナ料理が欲しくなる日もありますよね。私はそういう毎日のコンディションに合わせて、おいしいだけではない、自分の体を整えてくれるようなおつまみを選ぶようにしています。
たとえば、さっぱり冷たいものを食べたくなるこの時期ですが、口当たりの冷たさだけでメニューを選んでいては夏の暑さを乗り切る体力がつきません。旬の新鮮な食材を上手に使い、体が欲しているものを満たしてあげることが大切。そこで今回ご紹介するのが、旬の青身魚とお酢を使ったおつまみです。
フライや煮付けもいいけれど、暑さでバテてきた体には、お酢を上手に取り入れた料理がさっぱりとおいしくてちょうどいい。そんな風に、ビールだけでなく自分の体とも寄り添ってくれるおつまみをレパートリーとして持っておくことが、日ごろの家飲みには大切なのだと思っています。
具材だけでなく調味料としても活きる夏野菜
最初にご紹介するのは「青身魚の酢の物」。この料理の主役と言ってもいいくらい、良い仕事をしてくれるのがキュウリ。夏を感じる、爽やかで青々しい香りが持ち味。実はこのキュウリの香りが青身魚との相性バッチリなんです。
まずは、鬼おろしを使ってキュウリをおろします。スライサーで薄く切るのではなく粗みじんにする。ここがポイント。それはキュウリがこの料理における具であり、調味料となるから。鬼おろしがなければ、みじん切りやたたきにしても構いません。
ここにショウガのみじん切りも足します。皮のすぐ下がもっとも香りが強いショウガ。だから、皮ごと使わなければもったいない!みじん切りにすると辛味も抑えられ、香りが引き立ちますよ。
今回の青身魚はイワシを使います。イワシの旬は初夏と秋。鮮度が落ちるのが早い魚のため、切り身でも刺身でも、少し生臭さを感じるようなときは、お酢を回しかけて身を洗います。お酢には殺菌効果もあるし、臭いも抑えられる。そして、どのみち甘酢で和えるわけですから一石二鳥!ですね。
初夏から盛夏にかけて脂が乗ってくるアジでもおいしくいただけるので、ぜひお試しを。
粗みじんにしたキュウリ、ショウガ、そこに甘酢、イワシを入れてざっくりと混ぜ合わせれば、できあがり。どうです、簡単でしょ?
鬼おろしを使うことでざらざらと砕かれたキュウリが放つ、青々しい香り。それが甘酢とたっぷり絡まることで、具としても調味料としても活かされるというわけです。
ネギやミョウガを入れたいところですが、それではキュウリの香りが引き立ちません。相性のいい食材だけでシンプルにさっぱりいただく。これが夏の酢の物。そうやって素材を知り料理していくと、どんな些細な一皿でもつくるのが愉しくなりますよ。
イワシと粗おろしきゅうりの酢の物
同じ甘酢でもう一品!「イワシの梅しそ巻き」
続いてご紹介するのは、火を入れた温かい一品。梅肉と大葉をイワシの切り身でくるくる巻いてフライパンで焼く、こちらもまた簡単なおつまみです。
先ほどの酢の物もそうですが、漁港や市場ではなく身近なスーパーで買うイワシやアジは、ひと手間加えてあげるとよりおいしい。このおつまみでは、梅肉や大葉で香りを足す工夫をしています。
イワシはとても身がやわらかく崩れやすいため、焼くときもやさしく箸で返しましょう。全体に焦げ目がついたところでフタをして蒸し焼きに。
だいたい火が通ったところで、酢の物で使った甘酢をここでも使います。甘酢に片栗粉と水を加えて投入し、あんにしました。お酢の酸味があるので塩分を加えなくても味がまとまり、香ばしさ、梅しその風味と相まってビールにもよく合います。
少し体力が落ちてきたなと感じるとき、こんなやさしい味わいのおつまみとラガーを用意して、自分の体と向き合いながら、旬を愉しんでみてはいかがでしょうか?
イワシの梅しそ巻き甘酢あん
※こちらの記事はキリンのオンラインショップ「DRINX」からの転載記事です。
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