『午後の紅茶』から国産素材を使った新シリーズが誕生!紅茶葉の生産者に会いに鹿児島へ
2024年12月3日、『午後の紅茶』から「国産」の素材を活かした新シリーズ『午後の紅茶 JAPAN BLEND&CRAFT』が誕生します。紅茶葉をはじめとする国産素材※1を使用することで、日本のモノづくりを応援し、その魅力を多くの人に知ってもらいたい。そんな想いが形になりました。
シリーズ第1弾は、「グレープティー」が登場。まろやかな国産紅茶の味わいが楽しめる、鹿児島県産茶葉(全茶葉のうち15%)と長野県産『ナガノパープル』(果汁0.1%)を掛け合わせた、特別なフルーツティーです。
今回は『午後の紅茶』ブランド担当の岩城が、商品に込める想いを語るとともに、国産紅茶の魅力やつくり手の想いを受け取るべく、鹿児島県紅茶葉の産地を訪ねました。
日本のモノづくりを応援したい。『午後の紅茶 JAPAN BLEND&CRAFT』が誕生!
―さっそくですが、なぜ今回『午後の紅茶』から新シリーズを出すことにしたのでしょうか?『午後の紅茶JAPAN BLEND&CRAFTグレープティー』のコンセプトや誕生の経緯を教えてください。
岩城:このシリーズは、“紅茶に国産素材や日本のモノづくりの知恵を活かして、紅茶の魅力やおいしさを提案しよう”というコンセプトで、シリーズ名「JAPAN BLEND&CRAFT」にもその想いが込められているんです。
これまでも『午後の紅茶』では、熊本県産いちご『ゆうべに』(果汁0.1%)と熊本県産紅茶葉を一部使用した『午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー』を販売し、熊本県産素材の認知度の向上につながったと、生産者の方々によろこんでいただけています。そこで、今回の商品でも国産素材の価値や魅力を広げるお手伝いができたらと思ったんです。
―そうして、鹿児島産紅茶葉と長野県産『ナガノパープル』を掛け合わせたグレープティーが誕生したのですね。シリーズ第1弾として、なぜブドウを選んだのでしょうか?
岩城:今回採用した長野県産『ナガノパープル』は、芳潤な甘みと濃厚な味わいで、巨峰と比べて酸味も柔らかくすっきりとした後味が楽しめます。この特長が、今回目指す味づくりにマッチしていたんです。
―今回目指した味づくりとは、どのような味なのでしょう。また、国産紅茶葉との相性はいかがですか?
岩城:「より多くの方に飲んでもらいたい」「普段、紅茶を飲まない層の人たちにも手に取ってもらいたい」といった想いから、できるだけ渋みや苦味が少なく、飲みやすい味づくりを目指しました。
国産茶葉を一部使用することで、全体的に丸みやまろやかさが増し、果汁のおいしさを引き立てる味覚設計を実現しています。紅茶の苦味や渋みが立ってしまうと、ブドウのよさが出しにくくなりますが、今回のブレンドでは果汁とのバランスがよく、調和のとれた味わいに仕上がっています。
また、一般的なグレープティーと比べ、甘くなりすぎず後味がすっきりしているので、大人の方や甘い飲料が苦手な方にも楽しんでいただけるかと思います。仕事中にもリフレッシュ感覚で飲んでもらえる一本になりました。
思考錯誤の末辿り着いた、国産紅茶葉のよさを引き出す“火入れ製法”
―開発のなかで、苦労した点やこだわった点はありますか?
岩城:国産紅茶は、海外産に比べてまろやかさや甘みがある一方で、日本の気候とも関係しており香りが出にくいという特長があります。そのため、香りをどう引き出すかが一番の課題でした。紅茶は発酵によって香りがつくられますが、その工程がとても難しいんです。
そこで、「火入れ」という日本茶でよく使われる伝統的な製法を採用することで、ふくよかな国産紅茶ならではの香りを引き出すことができました。紅茶葉を事前に火入れするという製法は、キリンでも初めての試み。その過程では、さまざまな試行錯誤を繰り返しました。
さらに、味覚のアクセントとして、隠し香に「山椒」を使っているのもポイントです。爽やかな柑橘のような香りが、『ナガノパープル』の香りや味わいをより魅力的に立たせることができました。そのおかげで、すっきりとした後味で、爽やかなブドウの香りが鼻に抜けるおいしさを感じられると思います。
―パッケージの斬新さも目を惹きますね。一見、『午後の紅茶』だと気付かれないような。
岩城:日本のモノづくりのクオリティの高さや、国産品を使用した素材へのこだわりをストレートに伝えることを目的にパッケージ開発を行いました。シリーズ名の「JAPAN BLEND&CRAFT」が際立つようなデザインにしたことで、結果としてロゴマークはコンパクトに、スタイリッシュなパッケージに仕上げています。
実際、社内でも「かっこいいね」「大人っぽいね」といったポジティブな反応をいただいて。グレープの紫を基調にすることで、いい意味で“ペットボトルに閉じない、いいモノと捉えていただけるパッケージ”に仕上がっているので、商品棚でも目立ってくれるのではと期待しています。
生産者のモノづくりへの想いに触れる。鹿児島の茶園を訪ねて
ここからは、紅茶葉の農家さんに発売前の『午後の紅茶JAPAN BLEND&CRAFTグレープティー』※2をいち早く味わっていただこうと、鹿児島県・頴娃町にある茶園「お茶の高香園」へ。
代表の高吉秀光さんを支える二人の息子、正人さんと英明さんを訪ね、茶園や工場を見学させていただきながら、茶葉づくりへのこだわりや、茶農家の現状についてお話をうかがいました。
岩城:今日は発売前にお二人に飲んでいただきたくて、サンプルをお持ちしました!ぜひ飲んでみてください。
正人:では、さっそくいただきます!うん、最初に口に含んだ瞬間は甘い香りがしますが、後味はさっぱり。それでいて、紅茶の風味もちゃんと感じられますね。
英明:ブドウの香りも爽やかでいいですね。甘すぎず、すっきりとして飲みやすい。とてもおいしいです。子どもにも好まれそうですね。
岩城:ありがとうございます。シリーズ第1弾として、自信を持っておすすめできる商品が完成しました。
正人:私たちはずっと紅茶葉をつくってきました。実際に飲んでみて、これまでの苦労が報われた、認められたような気持ちになれてうれしいです。昔から知っている『午後の紅茶』に自分たちが育てた茶葉が使われる日が来るなんて、発売が楽しみですね。
岩城:うれしい感想をいただけてなによりです!
日本の土地だからこそできた、国産紅茶ならではのまろやかな味わい
岩城:もともと、緑茶のみを生産をされていたお二人が、紅茶葉をつくり始めたのはいつ頃からなんですか?
正人:私たちがつくり始めたのは15年前。それまで父が手探りでずっとつくっていたんですが、当時は紅茶なのか烏龍茶なのかよくわからないお茶ができあがっていました(笑)。そこで、ちゃんと紅茶づくりを学ぼうと弟が農業大学に通い始めて。それから本格的につくり始めたんです。
英明:うちは基本的に緑茶をつくる工場だから、その機械を使って紅茶もつくれないかなと考えていました。農業大学で学んで、それを実践して…試行錯誤を繰り返しました。
岩城:当時、周りで紅茶をつくられている方はいましたか?
正人: 15年前は少なかったですね。つくり始めても、なかなかうまくいかず、続けられない農家がほとんどでした。国産紅茶は発酵の作業が難しいんです。
発酵に必要なのは温度と湿度。この条件が揃う時期に製茶することと、工場内の温度・湿度の管理を徹底しています。工場に入っていただくとわかりますが、かなり蒸し暑いですよ。
英明:毎日汗だくですが、これも発酵させるためのこだわりの一つです。紅茶は、茶葉の水分を抜く「萎凋」という作業で香りをつくって、「発酵」の工程で赤い色を出します。もともとは渋みがあり、海外のような紅茶を目指していましたが、いろいろと試行錯誤するなかで、「この紅茶は、日本だからこそつくれる味なんだろうな」と今は感じています。
岩城:私たちも商品開発を進めるなかで、あらためてそう思いました。海外の紅茶ももちろんおいしいですが、国産紅茶ならではのまろやかさや甘みは唯一無二。たくさんの人に飲んでいただき、「国産の紅茶ってこんなに素晴らしいんだ」と気付いてもらえるとうれしいです。
岩城:茶畑のなかにいると、なんだかエネルギーに満ち溢れていて、すごく元気をもらえますね。お茶の葉って、こんなにも力強いんだなと。茶畑に一歩足を踏み入れた瞬間、茶木の跳ね返す力に驚きました。香りもいい。この茶葉から国産紅茶がつくられて、私たちの商品につながっているんだと思うと、とてもうれしくなります。
英明:おっしゃる通り、茶の木は結構強くて、薄い洋服だと破れることがあるんですよ。木を植えてから40年以上経った今でも、たくましく根を張っていて、茶葉もよく育つ環境です。
岩城:40年以上も!本当に、茶葉って生き物なんだなと感じました。
減りつつある鹿児島の茶農家と、これからの課題
岩城:鹿児島の茶園産業は、現在どのような状況なのでしょうか?
正人:鹿児島県の茶園では、どんどん機械化が進んでいます。一方で、後継者不足により産業は縮小しているのが現状です。機械化や効率化が進められない茶農園は、どんどん辞めてしまっていますね。
英明:鹿児島の茶畑は、静岡やほかの県と違って急斜面ではなく平地が多いので、機械を使った作業がしやすく、そのため減少速度は少し緩やかではあります。それでも、辞める農家が多いのは事実。空いた茶畑を借りて生産量を増やしていますが、一つの茶農家が管理する畑の面積が広くなっています。そのため、機械化や効率化を進めて収量を上げることが、今の大きな課題です。
英明:だからこそ、こういった国産茶葉のPRの機会が増えることで国内需要がもっと高まれば、茶葉をつくる人たちも活気がついてくるんじゃないかと思います。
正人:国産紅茶が注目を浴びることで、後継者が増えて産業自体がもっと盛り上がってくれるといいですよね。
そう思うと、海外の紅茶もいいけれど、やっぱり日本の紅茶もしっかりと打ち出していきたい。だから今回のように商品に使ってもらい、出口が見えることは、私たちのモチベーションにもつながります。
英明:『午後の紅茶 JAPAN BLEND&CRAFT グレープティー』が発売されたら、自分の子どもたちにもちょっと自慢できるかもね。「これ、父ちゃんが育てた茶葉が使われているんだよ」って。
正人:そうだね。日本全国で販売されるのもありがたいですし、たくさんの方に広まってくれることを期待しています!
商品を通して、生産者とのつながりを大切に紡いでいきたい
―最後に、ブランド担当の岩城さんに、『午後の紅茶 JAPAN BLEND&CRAFT』に込める意気込みをうかがいたいです。
岩城:今回茶園を訪れて、ブランドとしての使命感をひしひしと感じています。あらためて、原料となる茶葉や果汁を生産してくださっている農家の方々や産地を、これからも応援し続けたいと思いましたし、国産素材のよさをもっと多くの方に知ってもらいたい。紅茶の魅力はもちろん、生産者の皆さんの想いがたくさん詰まった商品だということを、より一層力を入れて伝えていかなければと思います。
このシリーズが、お客さまにとって国産素材の素晴らしさを再確認するきっかけとなるよう、大切に育てていきたいです。