“緑茶らしさ”から自由になった『生茶』リニューアルの道のり。成功の鍵は、今を生きるお客さまに寄り添う「ライフティー」というコンセプト
2024年の春、ガラリと生まれ変わった生茶シリーズ。味わい、製法、デザイン、容器にいたるまでのすべてをリニューアルし、一日のさまざまなシーンにフィットするブランドとして大きな変化を遂げました。
新しくなった『生茶』のリリースに合わせて、ブランドのこれまでとこれからを考えていく連載企画「読む生茶~これからのお茶~」が今年もスタートします。
「生茶らしさを大事にしながら、“緑茶はこうあるべき”という固定概念から離れてみたこと。今を生きるお客さまにとって“緑茶はどういう存在になりえるか”を考え抜いたことが、成功につながったのかもしれません」と語るのは、ブランド担当の飯髙宏美。
4月のリニューアル発売から、わずか7週間で累計1億本※を突破し、ブランド史上トップクラスの販売数量を記録。その反響の裏には、どんな紆余曲折があったのでしょうか。前回のリニューアルから大きく刷新した背景や、デザインと味づくりへのこだわり、好調につながった試みについて聞きました。
『生茶』の価値をあらためて考えた1年前のこと
─リニューアルした『生茶』が、好調のようです。ブランド担当として、今の心境はどうですか?
飯髙:すごくうれしいですね。お客さまはもちろん、社内の反応も大きく変わったなと感じます。
─昨年のリニューアルから、大きな刷新を行った理由を教えてください。
飯髙:ペットボトル緑茶はコモディティ化が進んでおり、お客さまが価格や容量以外で魅力を感じづらくなっているという課題があります。しかしながら、昨年は緑茶の新しい価値を十分に見出すことができず、お客さまの心を動かしきれなかったのかなと。
お客さまにふたたび緑茶の魅力に気付いてもらうため、今回のリニューアルでは「生茶ブランドとして何ができるのか、原点に立ち返って考えよう」とチーム全員で腹をくくって取り組みました。
飯髙:開発に向けて、チームの雰囲気もガラッと変わったんです。リーダーが「生茶か生茶以外か、くらいの世界観をつくっていこう!」と言っていたのは、すごく印象に残っています。メンバーも、中味開発担当、デザイン担当、容器担当と、各分野が一丸となってリニューアルに挑みました。「生茶チームって、野球チームみたいだね」と言われるほどの熱気でしたね(笑)。
そばにあるとちょっといい気分になるお茶を目指して
─新しい『生茶』のコンセプトを教えてください。
飯髙:お客さまの生活に寄り添い、ちょっと素敵な気持ちになれるような飲みものになってほしいという思いから、「ライフティー」というコンセプトにたどり着きました。朝に買ったお茶を持ち歩いたり、デスクに置いておいたりするなかで、どういう味とデザインだったらお客さまの一日を彩ることができるのだろう、と。
─そのコンセプトはどうやって生まれたのですか?
飯髙:生茶チームで集まって、ワークショップをやってみたんです。社内だけではなく、社外の関係者も含めて「生茶らしさってなんだろう」とさまざまな視点から意見を出し合う作業を何度もくり返しました。
ワークショップを通じて、「お風呂のような安心感」とか、「森林浴のような自然の晴れやかさ」というワードが出てきて。そこから『生茶』は身近な存在であること、前を向けるようなかろやかさがあることを再認識しました。前回のリニューアルではそれが十分に伝えきれていなかったと思うので、今回は緑茶という固定概念に縛られず、もっと思い切って生茶らしさを表現してみようと。
─「緑茶らしさにこだわらない」というのは、新しい発想ですね。
飯髙:そうですね。緑茶だから緑色のパッケージじゃなきゃいけないとか、メーカーが主張したいロゴを大きく配置しないとダメだとか、そういう先入観を一度捨てて、お客さまにとって心地よい飲みものは何なのかをあらためて追求しました。
そこで着目したのが、“モノとしての価値”です。個性が尊重される世の中の流れもあり、お客さまは身につけるアイテムをとおして、自分らしさを表現していることに気付きました。日々持ち歩くペットボトル緑茶も単なる飲みものにとどまらず、自己表現のアイテムとしての価値があると感じたので、『生茶』の在り方も「ちょっと気分を上げてくれるモノ」にアップデートしてみました。
─『生茶』をモノとして捉えた自由な発想が、大きな刷新へと繋がったんですね。2023年のnoteの企画で、ブランド誕生時の開発担当・大西功一さんが言っていた「もっと自由に遊んでいい」という言葉に通ずるものがある気がします。
飯髙:そうですね。歴史があるブランドだからこそ、守らなければならないDNAがあるのですが、「今までのペットボトル緑茶にない新しさ」という部分では、今回は本当に自由にやらせてもらいましたね。
一方で、しっかりと仮説を立ててから調査を行うことも心がけました。昨年は自分の仮説に自信がなく、調査のなかでいい意見をすべて拾ってしまい、方向性を見失うこともあって。今回は仮説に自信を持つためにも、他社商品のリニューアルを予想して店頭での見え方を研究するなど、やれることはすべてやる姿勢を徹底しました。
DNAを引き継ぎながら、アップデートした『新・生茶』
─新しい試みによって『生茶』は随分とイメージが変わりましたね。
飯髙:パッと見て「素敵だな」と思えるシンプルなパッケージと容器、茶葉のおいしさがぎゅっと詰まった雫型のモチーフ、主張を抑えたロゴなど、モダンで上品な雰囲気をイメージしています。
発売後、SNSで「おしゃれになった」と写真を撮ってくれるお客さまも増えて、今までにない反応をいただけたことが本当にうれしかったですね。
今回のデザインに行き着いたきっかけは、何百種類ものデザインをお客さまに見せるなかで、「シンプルなデザインの緑茶があったらうれしいかも」という反応をいただいたこと。
一方で、「お茶っぽくない」というややネガティブな意見もあったので、お茶のおいしさを表現するために全体のバランスに気を遣いながらアップデートしていきました。フォントや細かい配置にもすごくこだわっています。
飯髙:ロゴの横に配置した「茶葉のいいところ、まるごと」というフレーズは、たくさんの候補の中からこれに決まったんです。お客さまが手に取ったときに、おいしさを表現する言葉があることで、「飲んでみたい」と思ってもらえるかなって。
個人的に気に入っているのは、背景にうっすらとプリントされた伝統的な日本の和柄模様です。遠くからだとわかりにくいかもしれませんが、手に取ると見えるさりげないディテールに品質感を感じてもらえるとうれしいです。
─味づくりに関してはどうですか?
飯髙:中味の開発では、コストを一旦気にせずにおいしい緑茶をつくろうと、さまざまな手法を試すことから始めました。緑茶らしい味わいを感じながらも、苦みや渋みを抑えた飲みやすさが、『生茶』発売当時からのDNAであり、お客さまからもご好評いただいている部分なので、そこは変えずに新茶のようなあまみを強化する方向で進めましたね。
飯髙:実はお茶感をしっかり出すと、苦みや渋みも一緒に出てしまうので、緑茶らしい味わいと飲みやすさを両立するのはとても難しいんです。そこで採用したのが、「凍結あまみ製法」という新技術です。抽出した茶液を凍結・凝縮することで、“新茶のようなあまみ”を引き出しているのですが、このふわっと感じるあまみの変化には、私も初めて飲んだときびっくりしました。まさに新茶のようなやさしいあまみが感じられる味わいになったと感動したのを覚えています。
─思い切って変える部分と、変えない部分のバランスが難しいのですね。
飯髙:そうですね。緑茶は、香り・あまみ・旨み・苦み・渋みなど、ほんの少しの変化で印象が大きく変わるので本当に難しくて。
特に、お茶らしさを感じる部分は人によって違うため、さまざまな調査でお客さまの反応を見たり、中味開発担当と思考錯誤したりしながら、今回の中味にたどり着きました。お客さま調査では、ブランド史上最高評価をいただいた味わいになっているので、ぜひ体感してみてほしいです!
人生のどの瞬間にも、『生茶』が寄り添えるように
─今回のリニューアルで、あらためて感じた『生茶』の価値はどういうものですか?
飯髙:「ライフティー」というコンセプトどおり、日々の生活にフィットしながら、ちょっと気分を上げてくれる飲みものです。
今までは仕事や食事の合間に飲んでいただくことが多かったのですが、見た目を大きく刷新したことで、散歩や身体を動かすようなシーンでも飲みたくなるという声もあって。動く時間も休む時間も、一日を通じてともに過ごせる存在になれているのかなと感じています。
シンプルなパッケージをはじめ、余白のある佇まいに生まれ変わった新しい『生茶』だからこそ、多くのお客さまの生活に寄り添い、彩りを与える存在であってほしいですね。
─来年は25周年という節目を迎えますが、今後の『生茶』についてどんなことを考えていますか?
飯髙:今年、特に手応えを感じたのが大きく刷新したパッケージなので、来年はそれを『生茶』の魅力として認識してもらうためのコミュニケーションを、さらに強化していきたいと思っています。ここまで大きく変化したからこそ、ちゃんと自己紹介をしていかなければ伝わらない。来年は、その点をさらに意識して取り組みたいですね。
─緑茶文化全体として、こうなったらおもしろいなと思うことはありますか?
飯髙:今は飲みものの選択肢がどんどん広がっている時代なので、より新しい提案をしていきたいという気持ちがあります。
例えば、『生茶 カフェインゼロ』や『生茶 リッチ』など、年齢やシーンに応じて選べる商品を増やしていくこと。お子さんにはカフェインゼロ、緑茶をじっくりと味わいたいときはリッチなど、それぞれのライフスタイルに寄り添う選択肢があれば、「ライフティー」というコンセプトにもより近づいていけると思うんです。『生茶』が子どもから大人まで幅広く接点を持てるブランドであり続けたいですね。
─人生の変化に合わせて、『生茶』を選んでいけるということですね。
飯髙:そうですね。今を生きるお客さまの生活に寄り添い続けるブランドでありたいと思っています。
実は、「生茶か生茶以外か、くらいの世界を作ろう」と言って引っ張ってくれたリーダーの実家はお茶屋さんなんですよ。その方が「『生茶』は緑茶のおいしさや豊かさを伝えていくブランドになる」と言っていたことを常に自分の中の指針にしています。
緑茶は限りない可能性を秘めていると感じるので、毎日やりたいことがありすぎて大変ですが(笑)。これからも楽しみながら『生茶』を広げていきたいです。
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