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ボルドーワインは新時代へ。新しいボルドーワインを日本の食卓へ【フランスは今日もワイン日和】

メルシャン欧州事務所に赴任中の弊社社員、春日井 琢記より、パリでの生活や仕事を通じて感じた「ワインの楽しみ方」についてお伝えしていく連載企画。
第8回は、欧州事務所も関わった「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」についてお届けします。

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日本のお客さまのために世界の造り手とともに“共創する”「メルシャン・ワインズ」

みなさん、こんにちは。メルシャン欧州事務所の春日井です。

この2月で、パリにきてから2年が経ちます。この2年で、世界は大きく変わり、私たちの生活も変わりました。そのことをフランスで経験できているというのは、自分にとって貴重な時間であると、あらためて感じています。

まだまだ不安定な時期が続きますが、今年もこの連載を通して、「ワインがある日常」をみなさんと一緒につくっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

さて、2022年1回目の投稿は、欧州事務所も開発に大きく関わったメルシャンの新ブランド「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」についてお届けします。

「メルシャン・ワインズ」とは、世界の造り手とメルシャンの造り手が、日本のお客さまのために“共創する”をブランドビジョンに掲げています。

ブドウ収穫の様子


輸入ワインではあるのですが、既存のワインを輸入しそのまま販売するのではなく、日本のお客さまの嗜好にあった、物語のあるワイン造りに取り組むワイナリーを世界中から探し、メルシャンもワイン造りに参画して、世界とともに創るおいしさをお届けしていく商品です。

また、おいしいワインを造り続けるためには、持続可能なワイン造りをすることが一番大事であると考え、さまざまな「持続可能性の追求」をクレドで定義し、実現に向けて挑戦していきます。

「メルシャン・ワインズ」では、個性豊かな産地と造り手の物語に溢れた贅沢なワインシリーズの「ラグジュアリー・コレクション」、好奇心を満たし新たな体験が楽しめる「ディスカバー」、間違いのない品質を気軽に楽しめる「クオリティ」と、3つのシリーズで展開しています。

今回ご紹介するのは、ラグジュアリー・コレクションから発売する 「メルシャン・ワインズ ボルドー」です。
この商品開発に、私の同僚でもある欧州事務所勤務の矢野が携わっていますのでインタビュー形式で開発の裏側をお届けします!

メルシャンの矢野聖明

【プロフィール】矢野 聖明
1999年キリンビール入社後、キリンビール名古屋工場・福岡工場での醸造担当を経て、キリンビール マーケティング部商品開発研究所中味グループにて「のどごし<生>」、スプリングバレーのクラフトビールなどの中味開発を行う。
2016年からメルシャン品質管理部輸入グループにて、品質管理を担当。2019年10月から欧州事務所にてバルクワインの探索、交渉および中味開発、プリムール購入(ワインの先物買い)、品質管理を担当している。

新しいワイン造りへの挑戦

─1年以上かけて開発してきた「メルシャン・ワインズ ボルドー」が発売しますね。今までの輸入ワインとは違う、新しい挑戦ということで、発売までの時間は中身の濃い時間だったと思いますが振り返ってみていかがでしょうか?

矢野:この1年は、社内外のいろいろな人にお世話になりました。「メルシャン・ワインズ ボルドー」を通じて、“今のボルドー”をお客さまにお伝えしたいという想いで開発に取り組んできたので、こうしてお届けすることができて非常にうれしい気持ちです。

一方で、みなさんにどう感じてもらえるかという点で楽しみもありますが、不安な気持ちも正直あります。

─「メルシャン・ワインズ」のラグジュアリー・コレクションから、今後もさまざまな商品をお届けしていくと思いますが、なぜ第1弾としてボルドーを選ばれたのでしょうか?

矢野:開発当初は、いろいろなアイディアが社内から出ました。私自身、日頃の業務の中でプリムール(ワインの先物買い)の取引を担当している関係で、ボルドーでの業務に関わることが多いです。
ボルドーでは、今サステナブルな取り組みが積極的に行われていたり、ワインメーカーの世代交代が始まっていたりと、変化が起きています。

しかし残念ながら、日本ではそのような新しい情報があまり入ってこない。ネゴシアン(ワイン商)や生産者といったワイン関係者と話をしていても、ボルドーというと伝統偏重というイメージを持たれていたり、新陳代謝が滞っているといったネガティブな捉え方をされている部分があることが、浮き彫りになってきました。

メルシャンの矢野聖明

ボルドーに携わる立場として、「新しいボルドーを伝えていきたい」「市場を活性化させていきたい」という想いが強くなったというのが理由です。

「メルシャン・ワインズ ボルドー」の開発にあたり、現地のトレンドについて議論し、何度もボルドーに足を運びました。メルシャンがパリに欧州事務所を構える強みをうまく活かせたと思います。

─ “新しいボルドー”というコンセプトは、今回の「メルシャン・ワインズ ボルドー」のキーメッセージですが、具体的にどういうことを指すのでしょうか?

矢野:ここ10年で、ボルドーでも大きな変化がありました。大きく分けて二つのポイントがあると考えています。

一つは、ワインの香味のスタイルの変化です。
以前は、ロバート・パーカー氏や、ミッシェル・ロラン氏といった有名コンサルトが熟度の高いブドウで抽出を高め、いわゆる濃厚なワインが高く評価をされてきました。

ただ、時代は変わり、バターを控えた料理や和食の流行があり、また造り手の世代交代も起きました。ワインの造り手も、自分たちがその土地でワインを造る意義を考えはじめ、その結果テロワールの表現、品種の選択、樽の使い方、抽出の方法に変化が起きていきました。この流れはボルドーにもあります。

二つ目は、サステナビリティです。
約10年前から、資金力があるトップシャトーがサステナブルな農業に取り組み始め、ボルドー委員会も国際競争力を高めるために、「AOCボルドー(原産地呼称制度の基準をクリアしているボルドーワイン)」を中心に、各農業が認証を取得できるようにサステナブルに関する農業のプログラムを用意してサポートを開始しました。

ワイン畑のブドウ

2030年には、「AOCボルドー」にある農家は、なにかしらサステナブルな取り組みを実施していることを目標としています。実際にサステナブルな取り組みを行っている農家は、2014年から2020年で2倍になり、確実に成果が現れていることがわかります。

辿り着いた共感できるパートナーとの出会い

─フランスはサステナブルが進んでいるなと、私も住んでいて感じます。食や農業に関心を持っているフランス人は多いですし、また自給率も高いですよね。「メルシャン・ワインズ」のラグジュアリー・コレクションでは、どのワイナリーと取り組むかが大切なポイントとになってくると思います。今回ヴィニョーブル・マンゴー社と取り組みをしましたが、どのような経緯があったのでしょうか?

矢野:どの造り手と一緒に取り組むかは非常に考えました。
「メルシャン・ワインズ」では、マスター・オブ・ワイン(MW)のサム・ハロップさんにもコンサルトとして参画していただいています。彼とも何度も意見交換をし、またボルドーのマーケットを熟知しているネゴシアンにも訪れ、自分の想いを話しヒントを得たりしました。

数多くのワイン生産者と対話するなかで、最終的にはヴィニョーブル・マンゴー社のジュリアン・マンゴーさんと一緒に取り組みをさせていただくことにしました。なぜ、ジュリアンさんに決めたかというと、すでに彼自身が“新しいボルドーワイン”を意識しており、自分の商品でもそれを表現していたというところが大きいです。

ジュリアン・マンゴー 

【プロフィール】ジュリアン・マンゴー  
1964年設立の3世代にわたる家族経営ワイナリーのヴィニョーブル・マンゴー社3代目でありワインメーカー
AOCボルドーとラランド・ド・ポムロールに22ヘクタールの自社畑を所有し、環境に配慮した畑仕事(HVE3認証)を実践、10年以上前から除草剤や健康を害する農薬は一切使用していない。スペインやチリでのワイン造りの経験もあり、伝統を守りながらも常に新たなチャレンジをしている新進気鋭の造り手。

矢野:「メルシャン・ワインズ ボルドー」は、「マルベック」というブドウ品種を主体としています。「マルベック」は果実味があるので、エレガントで飲みやすい新しいボルドーのスタイルを表現するのに適しているブドウ品種だと思います。
彼自身は3代目として父から継いだ畑をどのワインに表現するかずっと考えており、試験した結果、「マルベック」の栽培に行きついたのだそうです。

「マルベック」と言うと、ボルドーでは一般的にブレンドされて使用されることが多いのですが、彼はマルベック単一でワインを造っています。

この行動力にも感銘を受けましたし、彼とディスカッションをすると「Nothing impossible」とよく言っているんですよね。常にチャレンジをして新しいものを造りたいという想いがある熱い造り手です。

ジュリアン・マンゴーとメルシャンの矢野

また、「メルシャン・ワインズ」が重視するサステナブルという観点からでも「HVE(農業事業者を対象とした環境認証では最高レベルの認証)」の最高レベルであるLevel3を所有するなど、環境対策についても積極的に取り組んでいます。

ワインの楽しさを伝えていく

─「メルシャン・ワインズ ボルドー」の味わいの特徴や、おすすめのフードペアリングについて教えてください。

矢野:「メルシャン・ワインズ ボルドー」の最終的なブレンド比率は、マルベック50%、メルロー50%となりました。
果実味を前面に出して、スムーズなタンニンのミディアムボディになっています。樽の使い方・熟成方法にもこだわっており、樽の香りをワインにつけるというよりはボディ感を支える役割を意識しました。

最終的には、メルロー50%のうち、樽を使用したメルローを30%ブレンドしていますが、初めは樽を使用し熟成したワインの割合をもう少し低くしたブレンドにもトライしました。こちらはバランスが悪かったので断念しました。

ボルドーの赤と言うと、味のしっかりした肉と相性が良いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「メルシャン・ワインズ ボルドー」は、果実味があり、エレガントなスタイルですので和食にも合います。

例えば、照り焼きや、豚肉の香草焼きも良いかなと思います。どちらかと言うと、さっぱりした肉の方が引き立つと思います。素材が上質だとよりおいしさを引き出してくれますよ。

フランスだと、いろいろなチーズが手に入るので、私自身もよくワインと合わせるのですが、熟成期間が少し短いコンテなんかもおすすめです。

メルシャン・ワインズ ボルドー

─私もテイスティングしましたが、従来のしっかりと力強いボルドーのスタイルではなく、果実味の感じるエレガントで飲みやすい新しいボルドースタイルを感じることができました。日常の食事にも合わせやすそうですね。最後に、noteを読んでくださっている読者のみなさまへメッセージをお願いします。

矢野:初めにお話しさせていただいた通り、この「メルシャン・ワインズ ボルドー」を通して、“今のボルドー”をお客さまに体感していただきたいという想いで開発に取り組んでいました。ラベルには、私とジュリアンの想いを書いております。

Découvrez  notre nouvelle définition du Vin de Bordeaux.
ー私たちの新しいスタイルのボルドーワインの世界へようこそー

この私たちのメッセージをこのワインで感じてくださると、うれしいです!

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