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私が仕事で大切にしている価値観は「DIO(Do It Ourselves)」。新たな価値をみんなで創っていく【#わたしとキリン vol.15 小西裕太】

キリングループでは、「よろこびがつなぐ世界へ」というコーポレートスローガンを掲げています。そのために社員が大切にしているのが、「熱意、誠意、多様性」という3つの価値観。
 
これらをベースに、各自が大切にしている第4の価値観をミックスすることで、社内では新たな取り組みがたくさん生まれてきました。
 
そんな社員たちの取り組みから、多様な働き方を考えていく企画が#わたしとキリン ~第4の価値観~です。

今回登場するのは、キリンビバレッジ株式会社マーケティング部ブランド担当シニアブランドマネージャーの小西裕太。『おいしい免疫ケア』をはじめとするヘルスサイエンス領域で商品全般のブランドマネジメントを担当しています。

商品開発の経験から、カテゴリーの創造が暮らしを変えていくことを実感したという小西。彼が大切にする第4の価値観には、決して一人では実現できない大きなビジョンがありました。


キリンは、生き物を大事にする会社

キリンビールの小西裕太

【プロフィール】小西 裕太
2012年キリンビール入社。京都にてキリンビールの量販営業を経験後、2013年キリンビールマーケティング部商品開発研究所に異動。『一番搾り』ブランドなどビール類の商品開発を手がけたのち、2016年オーストラリアのLION社へ異動。2018年から米国「ブルックリン・ブルワリー」の日本事業のマーケティングや国内外の『一番搾り』ブランドのマーケティングを担当。現在は、キリンビバレッジでマーケティング部 ブランド担当 シニアブランドマネージャーを担当。

─最初に小西さんが担当されているマーケティング部のシニアブランドマネージャーというお仕事について教えてください。

小西 裕太(以下、小西):キリンビバレッジにおけるヘルスサイエンス領域の全体を統括するマネージャーの役割です。各商品にブランドマネージャーがいますが、僕はカテゴリー全体を見ています。これからの健康のあり方を考え、それを各ブランドでどう表現していくかを考える役割です。

─健康というテーマを、どう社会やお客さまとつなげていくかを考えるポジションなんですね。

小西:そうです。ブランドが目指す世界を、商品の積み上げによって創り上げていく。そのために各ブランドの商品パッケージや中味の開発はもちろん、広告やPR活動などの企画を考えるのも僕の仕事です。

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小西:シニアブランドマネージャーになるときに会社から言われたのは、「キリンにはプラズマ乳酸菌をはじめとする独自の素材があるので、それをユニークネスにしてヘルスサイエンス領域の価値を創っていきたい」ということでした。

その言葉をきっかけに、なぜキリンが独自の技術を生み出せたのかを考えてみたんです。きっとそれが「キリンらしい健康」につながると思ったので。

─小西さんが見つけた「キリンらしい健康」とは、どのようなものだったのでしょう?

小西:キリンは、生き物を大事にする会社なんだなと。ビール醸造に欠かせない発酵技術は、微生物の力を引き出して上手く働いてもらうことですよね。免疫の技術もまた、プラズマ乳酸菌という微生物の力で人間が本来持っている力を引き出すことなんです。

そうやって生き物の力を借りて人間本来の力を引き出すことが、キリンらしい健康の考え方なのかなと思います。

小西裕太2

─小西さんは、もともと商品開発に興味があってキリンに入社したそうですね。

小西:はい。自分で考えたものを世の中に当ててみたいというパッションがあって。大学時代、経済学を学ぶなかで日本の経済が閉塞している状況を感じていたので、イノベーションを実現したいとも考えていました。その両方に取り組めるのが商品開発なのかなと。

ただ、僕がやりたかったのは新しい味を作るというような改善的な商品開発ではなく、創造的な商品開発だったんですよ。

─よりイノベーティブな開発を。

小西:そうです。そういう点で考えると、キリンは「カテゴリーを創る」という志を持った会社だなと思っていて。

『午後の紅茶』では“ペットボトル入りの紅茶”というカテゴリーで、手軽に紅茶が楽しめる暮らしを創造し、『氷結®︎』では今までチューハイを飲まなかった人たちの生活のなかに豊かな時間を創りました。ビールテイスト飲料として、世界初のアルコール0.00%を実現したのもキリンでしたね。

そうやって新しいカテゴリーを創って、社会に新たな価値を問いかける開発をしているのがキリンだと思ったんです。

キリン 商品開発 手帳
商品開発の掟が書かれた手帳

─実際に入社してみて、新しいカテゴリーや価値を創っていこうという志は感じましたか?

小西:感じましたね。入社したときに商品開発の掟が書かれた手帳をもらったんですよ。

そこには、「学んでもいいが絶対に真似をするな」「主役になれ」「自分で価値を創ると思っている人だけが価値を創造できる」といったことが書かれていて、それは今も自分の指針になっています。

会社全体が商品を通して、時間や価値、生活を創るという意識がとても強かったし、先輩たちからもそんな姿勢を学びました。

カテゴリーを創ることは、暮らしを変えること

小西裕太3

─商品開発研究所では、どのような仕事をされていたのでしょうか?

小西:ビール類全般の開発ですね。ブランドマネージャーと連携して、社会やお客さまの気持ちを深く理解し、それをもとに商品のコンセプトを考えるんです。

そこからビールの中味を造るチームと開発を進め、デザイナーとパッケージを作り、広告代理店とどうやって商品価値を伝えるか考え、営業と一緒にどう販売していくかを考えていく。商品のコンセプトを中心に、それをみんなで形にしていくという仕事ですね。

一つイメージと違っていたのは、もっと自分のアイデアを世に問いかけていく仕事なのかと思っていたけど、その根幹には、必ず人がいるということでした。お客さまを見て、何を求めてるのかを感じとって、それをみんなで解釈して商品を作っていくというチーム戦なんだなと。

47都道府県の一番搾りのポスター
一番搾り“地元うまれシリーズ”『47都道府県の一番搾り』

─全国の47都道府県ごとに味の違うビールを造った「一番搾り“地元うまれシリーズ”『47都道府県の一番搾り』」の担当もされていたそうですね。

小西:はい。もともとこの企画は、全国9箇所にあるキリンビール工場ごとに製造された「一番搾り“地元うまれシリーズ”」という商品をもとにした企画だったんです。

「一番搾り“地元うまれシリーズ”」から感じたのは、地元で造られたビールは地域の人たちと価値を共有できるうれしさがあり、飲む時間をより楽しいものにしてくれるということでした。そのよろこびを全国のお客さまにも広げたいと思い展開したのが、「一番搾り“地元うまれシリーズ”『47都道府県の一番搾り』」です。

地域のことは地域の人が一番よくわかっているので、1地域あたり15名くらいの現場の従業員とお客さまに集まってもらって、一緒にコンセプトを考えました。それを47都道府県で実施するために、改めてコンセプトや価値が生まれる構造に目を向けてみたんです。

▼「一番搾り“地元うまれシリーズ”『47都道府県の一番搾り』」って?

47都道府県の一番搾りのパッケージ

小西:まずは「地元の誇りを、おいしさに変えて」というテーマを掲げ、それを実現するにはどうしたらいいのかを考えました。地域の人たちが地元のいいところや、その土地らしさを感じるのはどこなのかを知るために、地域を五感で表現してもらうというフレームを作り、共通理解を深めていく。

それらをギュッとまとめて商品コンセプトを作り、テーマからズレがないかを確認しながら、デザインや味を決める。そういった作業をチームで分担しながら47都道府県で実施しました。

─商品がリリースされて、全国のお客さまからの反応はいかがでしたか?

小西:「うれしい」とか「地元のことをわかってくれている」という反応をもらえてうれしかったですね。この企画を通じて、ビールで地域を誇りに思える時間を作れたという手応えがあって、同じビールの開発でも今までにない価値を生めるような仕事をしたいと考えるようになりました。

商品開発からカテゴリーや価値の創造に関心が移り、暮らしを創るという意識が強くなっていったのは、この頃だったと思います。新しいカテゴリーを創ることは、お客さまの暮らしを変えること。そして、暮らしのなかに新しい価値を創ることは、すなわち新しいカテゴリーを創りだすことなんだなと。

その土地の暮らしが、求めるビールを形作る

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─海外赴任になったのも、その頃ですか?

小西:商品開発を3年担当したあとは、オーストラリアにある「ライオン」というグループ会社のビールメーカーに出向しました。当時、海外のビールは個性豊かなものが多く、個性があるということは暮らしが反映されているはずだと思ったんです。そういうビールが、どうやって造られているのかに興味がありました。

向こうのリーダーに言われて印象的だったのは、「beer is cultural lens」という言葉でした。要するに「ビールというレンズを通して見ると、その国の文化が見えてくる」という意味で、その言葉にとても納得できたんです。

ビールが暮らしを創るというのは言い過ぎだけど、その地域での暮らしや文化がその土地らしいビールを生むんだなと。やっぱり、お客さまの暮らしをよくしていきたいという想いからビールが生まれてくるんだと思いました。

─たしかに、その土地のビールって気候や雰囲気に合っていると思いますし、それは『47都道府県の一番搾り』にも通じる話ですね。

小西:まさにその通りで、それがビールの原点なんだと思いました。

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ライオン時代、週に一度会社のバーで開催されていた、家族や友人とともに自社ビールを楽しむイベント。その際に注ぎ手のボランティアとして参加した小西

小西:「ライオン」のあとは、日本に戻って、アメリカに本社がある「ブルックリン・ブルワリー」のブランド担当に異動したんですけど、そこでも同じようなことを感じました。

「ブルックリン・ブルワリー」では、「cultural connector」という言葉をよく耳にしました。「ビールを通じて違う文化とつながれる」という意味で、オーストラリアのビールを通じてその国の文化に触れた経験と一緒だなと。

ブランドとは生まれるべくして生まれるんだと思いましたね。地域や会社の想いが風土になって、それがブランドになっていくんだなって。

─意図的に作るものではなく、自然に熟成されていくものだと。

小西:まさにその通りです。ブルックリンは昔から造船が盛んで、工業の街なんです。だから、「俺たちはモノを造る人間の集まりだ」という意識があって、それが街の第一層になっています。

そのあとに多くのアーティストが引っ越してきて、自分を表現するという第二層が積み上がり、次はベンチャー企業がやってきて事業を作るという第三層が形成されていきました。

そのすべてに共通しているのが、自分たちがいいと思ったことや自分らしさを肯定する街であることです。

その精神は「ブルックリン・ブルワリー」にも流れていて、誰に対しても「あなたらしさを肯定する」ということをとても大事にしています。ビールの前ではみんな同じで、ビールを通じて異文化とつながることができる。そして、そのすべてを肯定する。

一言で表すと、「博愛のビール」なんです。それはブルックリンという土地だからこそ生まれたビールなんだなと思います。

ブルックリンブルワリーの本社
「ブルックリン・ブルワリー」本社

─2020年には『一番搾り』のアシスタントブランドマネージャーになられていますよね。『一番搾り』は特定の地域ではなく、日本全国で造られているビールですが、「ライオン」や「ブルックリン・ブルワリー」での経験を通して商品の捉え方は変わりましたか?

小西:変わりましたね。前は「『一番搾り』ってキリンのおいしいビールだな」と思っていました。だから今までは、普通ではない価値を足すことを考えて企画を練っていたんです。だけど、いろんな経験をしてみて、「キリンのおいしいビールって何だろう?」と考えるようになりました。

それで『一番搾り』の歴史を紐解いてみたら、「仕事じゃビールはつくれない。」という昔のキャッチコピーと出会ったんです。効率を優先するのではなく、不器用でも本当においしいビールを造る。それこそが毎日にうれしい時間を作っていく。

その姿勢こそが、『一番搾り』を生んだのだなと再確認しました。そうして人の生活に向き合って造られたビールだからこそ、『一番搾り』は生活の匂いがするのかなと思ったんです。

暮らしのなかのちょっとしたよろこびや幸せを生み出せるブランドなんだと思ったら、純粋にすごいなって。『一番搾り』を広げることは、生活におけるビールの価値を取り戻すことになるのではないかと再解釈しました。10年かかって、やっと本質を掴めた気がしましたね。

─それは「ライオン」や「ブルックリン・ブルワリー」で新しい視点を手に入れたからこそ、見えてきた価値だったんでしょうね。

小西:そうですね。だから、やっぱりお客さまを見て商品を作ることが基本なんだと思います。街を見ることが目的というよりは、お客さまの生活や社会全体を見ることが街を見るということなんでしょうね。今はそんな風に思っています。

お客さまとの共有価値を創れる会社であるために

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─『わたしとキリン』という企画では、キリンが掲げている3つの価値観(熱意、誠意、多様性)に加えて、社員の方それぞれが大切にしている第4の価値観について伺っています。小西さんが仕事をする上で大切にされている、第4の価値観を教えてください。

小西:今までのキャリアを振り返ったときに、一番強く影響を受けたのは「ブルックリン・ブルワリー」での経験でした。そこでよく言われたのが、「DIO(Do It Ourselves)」という言葉だったんです。つまり「自分だけでやるのではなく、自分を含めたみんなでやろう」という意味です。

「DIY (Do It Yourself)」が自分のオリジナル商品を作ることだとすれば、「DIO」はお客さまと共有価値を創ることです。

「ブルックリン・ブルワリー」の場合は、ブルックリンという街に対する愛着がブランドのコアにあって、それをお客さまと一緒に共有し、表現することを目指しています。だから「DIYではなく、DIOなんだ」って言われて、めっちゃいいなと思ったんですよね。その価値観は今も大事にしています。

─みんなで考えることで価値を高めていくということなんですね。

小西:自分の頭の中で生まれる価値なんて知れているので、その外側に転がっているものをみんなで見つけに行きたいなっていう。外側にある可能性を忘れた瞬間に、新しい価値が失われてしまうので。

そもそもお客さまを見て商品を作ること自体が、相手の気持ちを基準にしたアプローチじゃないですか。だったら、みんなで一緒に考えたほうがお互いにズレがなくなるんじゃないかなって。それもDIOだと思います。

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─「DIO」という価値観を大切にして、今後はどんな仕事をしていきたいですか?

小西:常にお客さまの暮らしをいい方向に変えられるような価値を創るリーダーになりたいです。それには一人で取り組むのではなく、周りのいいところを引き出していきながらみんなで取り組んでいきたいです。

そこにつながる話ですが、イノベーションにチャレンジする人を支えたいと思うようになったのが、ここ最近の変化です。新しいチャレンジって怖いけど、チャレンジすること自体がすごいことなので、勇気を出してチャレンジする人を応援していきたいなと思っています。

─それは、キリンという会社をもっとチャレンジしやすい環境にしたいということなのでしょうか?

小西:そうですね。やっぱりキリンは、新しいカテゴリーを創って人々の暮らしを変えてきた会社だと思うので、これからもそうあり続けてほしいなと思います。

イノベーションって簡単なことじゃないですけど、チャレンジしないことには起こせないので。だから、チャレンジした人ほど報われるというか、そういう人が幸せになれるような会社にしていきたいなと思っています。

文:阿部光平
写真:上野裕二
編集:RIDE inc.