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熟成途中のボルドーワインを試飲。2020年ヴィンテージワインの出来は?【フランスは今日もワイン日和】

メルシャン欧州事務所に赴任中の弊社社員、春日井 琢記より、パリでの生活や仕事を通じて感じた「ワインの楽しみ方」についてお伝えしていく連載企画。
第6回は瓶詰め前のワインを試飲する「プリムール・テイスティング」ついてお届けします。

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規制が緩和され活気が戻ってきたパリ

パリの街並み

みなさん、こんにちは!メルシャン欧州事務所の春日井です。

パリでは5月19日より、さまざまな規制が段階的に緩和され、約7カ月ぶりにレストランやカフェがテラス席のみの営業が再開しました。6月9日からは収容人数の50%までという条件付きで屋内も営業が可能になり、街に活気が戻ってきました。

パリの街並み

明るい時間からパリジャンたちがカフェで楽しそうにコーヒーやワインを飲みながら談笑している光景を見ると、「これがパリだよな!」と気分が上がります。

このように徐々に規制が緩和されてきている今日ですが、4月に「プリムール・テイスティング」という行事に参加するためにボルドー地方へ出張してきましたのでその様子をお届けします。

ボトリング前のワインの出来を確かめる「プリムール・テイスティング」

ボルドー地方ヘは、パリのモンパルナス駅から「TGV」と呼ばれる高速列車を使って2時間ほどで到着。久々の出張ということで、ワクワク感と少しの緊張感を感じながら向かいました。

ところで、みなさんは「プリムール」という言葉をご存知ですか?

一般的な赤ワインですと、秋に収穫されたブドウを樽で育成し、ボトリングして出荷されるまでに2~3年かかります。その後、輸入業者や卸売り業者といった流通を経て、お客さまの手元に届きます。

ただ、ボルドー地方では、樽で育成している途中のワインを事前に予約購入できる販売方法があり、これを「プリムール」と言います。しかし、すべてのボルドーワインが対象ではなく、メドックをはじめとした格付けを獲得しているシャトー(ワイナリー)のものが対象となります。

プリムールが開始される前に、2020年ヴィンテージのワインはどんな出来なのかを確かめるため、プリムール・テイスティングが開催されています。仲介業者やワイナリーがプリムールの開催者向けに行っているもので、私は今回それに参加するためにボルドーに訪問しました。

プリムール・テイスティングの様子

例年であれば、プリムール・テイスティングは、ホテルの予約も取りづらいほど世界各国からバイヤーやジャーナリストといったワイン関係者がボルドーに集結します。多くのレストランでワイン関係者のワイン談義がされるなど町全体がにぎやかになるのですが、今年はコロナの影響で訪問者は限られていました。

毎年5月頃に、ネゴシアンからプリムール取引に関するオファーのメールが届き始めるので、それを見ながらワインを購入していきます。つい最近、2020年ヴィンテージワインの取引が終了しました。

先ほど、プリムール・テイスティングはネゴシアンやワイナリー主催で開催されるとお伝えしましたが、どの会場でも感染対策は徹底されており、時間別での事前予約だったり、他のグループと一緒にならないよう部屋が細かく別けられていたりしました。

私もいくつかの会場に訪れたので、ここでは3つほどピックアップをしてお伝えします。

いざ、「プリムール・テイスティング」へ!

プリムール・テイスティングの様子

まずは、UGC(ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー。ボルドー・ワインのプロモーションを目的とした団体)主催のテイスティングです。ボルドー市内の中心地にあるインターコンチネンタルホテルで開催され、多くのボルドーワインをテイスティングすることができました。

私もソムリエ試験などで目にしたことはあるものの、飲んだことのないワイナリーが多かったので、この場所で産地ごとに試飲できたことは非常に勉強になりました。

ネゴシアンのオフィス

2つ目は、「ネゴシアン」と呼ばれる仲介業者のオフィスに訪れて、おすすめのワインをテイスティングさせていただきました。ボルドー地方では、シャトーがネゴシアンに瓶詰されたワインを販売して、ネゴシアンはそれらのワインを流通業者に販売します。

ネゴシアンは、あらゆる最新の情報を持っており、今のワイン業界のトレンドも熟知しているので情報交換も行います。 なにより私が感動したのが、このかっこいいオフィス!テレワークが定着してきている時代ですが、こういうオフィスで同僚とディスカッションのもいいなと純粋に思いました。

ネゴシアンのオフィス

最後にワイナリーの様子をお伝えします。

団体やネゴシアンのもとに訪問をして、そこで何百というワインを試飲することをお伝えしましたが、ネゴシアン同行のもと直接ワイナリーに足を運んで、テイスティングをさせてもらう場合もあります。
この場合は、ワイナリーのオーナーや造り手から詳細にいろいろなことを教わり、より深くそのワインのことを知ることができます。

今回の出張では、このようにそれぞれ違った場所でプリムール・テイスティングをすることができたので、とても勉強になりました。

気になる2020年ヴィンテージのブドウの出来ですが、ボルドーの多くの地域で非常にいい出来と言われています。私もテイスティングをしましたが、どれも凝縮感のある素晴らしいものでした。今から発売が楽しみです!

もう7月ということで、フランスはバカンスシーズンに突入です。今年も昨年同様に国内中心の旅行になるのか、それともEU内の移動に対する規制が緩和され、国外旅行を楽しむ人が増えるのかはまだわかりませんが、とても気持ちいい季節なので、私自身も健康に気をつけながら、2回目の夏のバカンスを楽しめればと思います!