“世界初”から10年、『生茶』がカフェインゼロをつくり続ける理由。カフェインを摂れないライフステージでも緑茶のおいしさを提供したい
お客さまの生活に寄り添う「ライフティー」をコンセプトに、茶葉のおいしさを進化させながら、シンプルで洗練されたデザインに生まれ変わった『生茶』。
今年も、ブランドのこれまでとこれからを考える連載企画「読む生茶~これからのお茶~」がスタートしました。
今回スポットを当てるのは、9月24日にリニューアルした『生茶 おいしいカフェインゼロ』。
2014年に世界初のペットボトル入りカフェインゼロ緑茶飲料(※)『キリン やさしさ生茶 カフェインゼロ』を発売して以来、キリンはカフェインゼロの『生茶』をつくり続けてきました。
『生茶』ブランドがカフェインゼロの緑茶にこだわる理由、そして今回のリニューアルの背景について、ブランド担当の東 啓介と商品開発担当の佐藤 伊純が語ります。
※100ml当たりカフェイン含有量0.001g未満のPET容器詰め緑茶飲料、2014年2月SVPジャパン調べ
世界初のカフェインゼロ緑茶の誕生。『生茶』ブランドの挑戦
─2014年に発売された、世界初のペットボトルカフェインゼロ緑茶飲料『キリン やさしさ生茶 カフェインゼロ』が生まれたきっかけについて教えてください。
東:キリンでカフェインゼロの開発が始まったのは、2007年ごろです。当時、カフェインゼロのお茶といえば、麦茶やブレンド茶が主流で、カフェインを控えたい方に応えられるような緑茶飲料は、まだ世の中になかったんです。ただ、お客様相談室に寄せられるお問い合わせの約2割がカフェインに関するもので、既存の選択肢以外でカフェインゼロを求める声はたしかに存在していました。
そこで、妊産婦の方やお子さんでも飲める緑茶をつくろうと。2009年には、カフェイン50%オフの『やわらか生茶』を発売し、これがのちに『キリン やさしさ生茶 カフェインゼロ』へとつながっていきました。日本のお客さまに馴染み深い緑茶でカフェインゼロを実現させたいという思いが、『生茶』ブランドにはあったのだと思います。
─緑茶でカフェインゼロを実現させるというのは、やはり技術的なハードルが高かったのでしょうか?
東:そうですね。緑茶のおいしさを保ちながらカフェインゼロを実現するのは、とてもハードルが高かったと聞いています。というのも、従来の方法では、カフェインを抜くことができても、緑茶としての香りや味わいが薄まってしまうんです。それを解決したのが、おいしさを保ちながらカフェインを除去する「カフェインクリア製法」でした。
▼「カフェインクリア製法」を開発した塩野貴史の記事はこちら
「カフェインクリア製法」とは、天然由来の素材を使って、緑茶の抽出液からカフェインを選択的に吸着・除去する技術。100種類以上の吸着剤を一つひとつ試すのに1年かかり、カフェインと緑茶の分離工程を確立するのには、さらに1年以上の月日を要しました。
試作品として、カフェイン90%オフの商品も存在していたみたいです。ただ、開発にかかる時間は長くなっても、お客さまに満足いただくために、カフェインゼロを実現することにとことんこだわったそうです。結果として、着想から4年がかりで世界初のカフェインゼロ緑茶を生み出すことができました。
─それだけ難しい研究だったんですね。今回『生茶 おいしいカフェインゼロ』の開発に携わった佐藤さんは、当時の開発について、先輩から聞いた話はありますか?
佐藤:実験室レベルで実現できても、工場規模で安定した生産を行うには、さらなる調整が必要なため、とても時間がかかる大変な工程だったと聞いています。
─世界初のカフェインゼロ緑茶を実現してから10年、『生茶』のカフェインゼロはどのように変化してきたのでしょうか?
東:時代に合わせて「デカフェ」「カフェインゼロ」と商品名を変えてきましたが、発売時の商品名「やさしさ生茶」にも表現されているように、カフェインゼロの『生茶』の根底には、お客さまのこころとからだを思いやる“やさしさ”があると考えています。
この「やさしさ」を大切にしながら、変わりゆくお客さまの生活やカフェインへの意識を捉え、よりおいしく緑茶を楽しんでいただけるように、時代に応じたアップデートを重ねています。
新発売『生茶 おいしいカフェインゼロ』のリニューアルに込めた想い
─9月24日に新発売された『生茶 おいしいカフェインゼロ』について、リニューアルのコンセプトをあらためて教えてください。
東:2024年は『生茶』ブランド全体として、“現代的で気分が上がるアイテムとしてお客さまの生活に寄り添う”というコンセプトをもとにリニューアルを行いました。カフェインゼロに関しても、カフェインを控えている方々の生活に寄り添えるものを目指しました。
リニューアルにあたって、『生茶』チームでワークショップを実施したり、過去の膨大なお客さまデータを読み返したりして、『生茶』の価値を紐解くところから始めたんです。そのなかで「現代的」「気分が上がる」といったキーワードが出てきました。
▼『生茶』の価値について語った記事はこちら
それらをヒントに、カフェインゼロの『生茶』の方向性を見直したことで、カフェインを控えているお客さまに、より受け入れられる商品にブラッシュアップできたと考えています。
─たしかに、新しい『生茶』と通ずる洗練された印象がありますね。
東:お客さまの気分を上げられる洗練されたものになっているかどうかは、特に重視したポイントです。印象的だったのは、お客様調査で出会った妊産婦の方が、「本当は好きなものを飲みたいし、ネイルとかもしたいし、何も我慢しない生活を送りたい」と率直にお話してくださったこと。
その言葉を聞いて、我慢が多い日々のなかで少しでも気分が上がるアイテムにしなければと思いましたし、自分の中でお客さまに対する解像度が一気に上がったというか。そうやって一人ひとりの生活や本音を具体的にイメージしていったことで、現在のデザインに落とし込むことができました。
─ちょっとした飲料のパッケージ一つでも、その日の気分に影響しますよね。
東:そうですね。やっぱりカフェインゼロなどの機能的な商品には、「おいしくなさそう」とか「我慢して飲むもの」といったイメージが付きがちです。そこで、日常に寄り添えるデザイン性と味への期待感をいかに高められるかが重要でした。
具体的には、緑茶らしいナチュラルで有機的な雰囲気を表現するために、少しくすんだアースカラーを採用し、素材感のあるテクスチャーを入れています。また、「おいしい カフェインゼロ」とネーミングを変更することで、少しでも味への知覚的な懸念を払拭しようと試みました。
また、お客さま理解を深めるなかで、この商品をベビーカーのドリンクホルダーに入れて、お子さんと歩いているお客さまの姿をイメージしたりもしましたね。最近はベビーカーもおしゃれになってきているので、そこに馴染むシンプルで品質感のある雰囲気を目指したいなと。
─デザイン性を高めることで、カフェインゼロとしての“わかりやすさ”から離れてしまうという懸念もありましたか?
東:それはすごく悩んだところでした。大前提として、緑茶なんだとしっかり認識される必要がありますし、カフェインゼロという機能性も伝えなければいけない。しかし、緑を強調しすぎると従来のデザインに戻ってしまいますし、スタイリッシュにしすぎるとお茶らしさが失われてしまう。そのバランスを取るのが難しかったです。
前回のパッケージは、「カフェインゼロであることがわかりやすい」と評判だったのですが、今回大切にしたのはお客さまの気分を上げること。チームでディスカッションを重ねながら、最後まで細かい調整を加えたことで、最適解にたどり着けたと感じています。
─味わいはどう変化していますか?
佐藤:カフェインを控えている方の中には、「本当は緑茶が飲みたいけれど、これでいいか」と、ほかのカフェインゼロの商品を選ぶ方もいると思うんです。そんな方にも緑茶をしっかり味わっていただきたいという思いから、味覚の強化に重きを置いて開発しました。
具体的には、リニューアルした『生茶』で採用している「凍結あまみ製法」をカフェインゼロでも採用しています。これによって、まろやかな余韻とほどよいあまみが感じられる、より豊かな緑茶の味わいを実現しました。
─実際に中味を開発した佐藤さんが、特に苦労したところはありますか?
佐藤:何種類もの原料を選定して、カフェインゼロを達成しながらも、しっかりとした味わいをつくり出すのが一番難しいところだったかなと思います。特に、塩野さんが開発された「カフェインクリア製法」という技術を使いながら、工場で安定して生産できる配合にしつつ、緑茶本来の味わいを強化することがリニューアルの重要なポイントでした。
完成した『生茶 おいしいカフェインゼロ』では、緑茶の味わいや茶葉のあまみをより感じられるものになっているので、ぜひ飲んでみてほしいです。
お子さんから大人まで。『生茶』が広げる緑茶の選択肢
─『生茶 おいしいカフェインゼロ』の魅力を伝えていくために、何か考えていることはありますか?
東:緑茶のおいしい原体験をつくっていくという意味で、「ファーストグリーンティー」というキーワードが出てきています。
カフェインゼロなので、お子さんでも安心して飲める点に注目し、「初めて飲んだ緑茶ってカフェインゼロの『生茶』だったよね」と思い出せるような、『生茶』ブランドの入口になったらいいなと思っています。
─そこから、年齢やライフステージによって選択肢が広がっていくということですね。
東:そうですね。お子さんが大きくなり、ライフステージが変わるにつれて、『生茶』や『生茶 ほうじ煎茶』、さらには『生茶リッチ』など、『生茶』との接点を広げていけたらいいなと。
ミクロな視点ではお客さまの一日に寄り添い、マクロな視点ではお客さまの人生に寄り添える。ちょっと壮大に聞こえるかもしれませんが、お客さまと一緒に歩んでいけるブランドの一要素として、カフェインゼロはとても重要な役割を担っているなと思います。
─お子さんや妊産婦さんに限らず、カフェインの摂取量を気にする方は増えていますよね。
東:そうなんです。夜はカフェインを避けるという方も一定数いらっしゃいますし、逆に朝はスイッチを入れるためにカフェインを摂るという方もいます。一日の時間帯によってほしいものが変わってくると思うので、「こころとからだを大切に、ゆったり過ごそう」というときのカフェインコントロールに活用していただけたら。
─佐藤さんは、開発者としてカフェインゼロをどのように楽しんでほしいですか?
佐藤:個人的には、麦茶やブレンド茶が喉を潤すためにゴクゴク飲めるものだとしたら、緑茶ってもう少し嗜好品の要素が強いのかなと思っていて。今回のカフェインゼロの緑茶もその魅力を損なわず、味わい深く楽しんでいただけるかと。
また、東さんが言っていたように、疲れた夜にホッとリラックスしたいときや寝る前なども、カフェインゼロなら安心して飲んでいただけるかと思います。選択肢がなければ飽きてしまいますが、『生茶』でちょっと気分が変えられたらうれしいです。
新しい時代とともに、ブランドも変わり続ける
─これからの『生茶』について、お二人が考えていることはありますか?
東:『生茶』ブランドは、「お客さまの日々に寄り添い、毎日の気分を上げる存在になりたい」という想いを、“きもちよさ、と生きていく。”という言葉に込めて、新たなコミュニケーションを開始しています。お客さまの何気ない日常のなかで、「生茶っていいね」と思っていただけるブランドを目指したいと思っていますし、チームとしてさまざまなアクションを自由な発想で考えているところです。
佐藤:中味に関しては、時代とともに求められるものが変化していくと思うので、それにしっかり対応しながら、新しい技術を活用して味覚をよりよくしていきたいですね。革新性を持ってアップデートしていくというのも、『生茶』ブランドらしさなのかなと思います。
東:そうですね。時代がどんなふうに変化していくかは未知数ですが、ペットボトル緑茶の枠にとらわれず、今を生きるお客さまに対して、「緑茶や日本茶ってこんなに楽しいものなんだよ」と提案できるブランドでありたいですね。
─さらに革新的な『生茶』が登場したら、おもしろそうですね。そのぶん、開発のハードルも上がりそうです。
佐藤:そうですね(笑)。でも、今まで市場になかった商品が登場すれば、お客さまの選択肢がさらに広がるかもしれません。マーケティング部と連携してアイデアを形にすることはもちろん、お客さまが今求めているものを開発していきたいと思います。そのためにしっかりとヒアリングをしながら、ニーズを探っていきたいですね。
東:お客さま起点での商品づくりを目指して、引き続きよろしくお願いします!
リニューアルした『生茶 おいしいカフェインゼロ』が全国で発売中!
持ち歩くだけでちょっといい気分になれる洗練されたパッケージデザインと、カフェインゼロでありながら本格的な緑茶の味わいを楽しめる『生茶 おいしいカフェインゼロ』が、9月24日よりリニューアル発売中です。
緑茶でホッとしたいとき、妊産婦さんやお子さんはもちろん、カフェインの摂取量を調整している方など、どんな方も安心してお楽しみいただけます。