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今井真実さんと山口祐加さんのとっておきおつまみも!「#私の晩酌セット」投稿コンテストの結果を発表!

「個人的な晩酌のニヤリ」を見せ合ってはみんなでニヤリとしたい。

そんなコンセプトからスタートした「#私の晩酌セット」企画。私たち編集部が気になる方々にお声がけさせていただき、「晩酌セット」をテーマにした文章を寄稿いただくとともに、noteの皆さまにも「#晩酌セット」の投稿を呼び掛けました。

みなさんからの「#私の晩酌セット」はこちら

ひとつひとつの投稿がとても楽しく真似したくなるようなものばかり。もっと皆さまからの晩酌セットが集まれば、例年よりもお家時間が増えそうなこの年末年始を楽しく過ごすヒントになれるのでは、と思い「あなたの晩酌セット」を募集するコンテスト企画を開催しました。

今回は、審査員を務めてくださった料理家の今井真実さんと山口祐加さんとの審査会の様子をお届けします。受賞作品は実際におふたりに作っていただきました。おふたりが考案したとっておきのおつまみレシピもご紹介。

note編集部員とともに、これからの「晩酌セット」について語り合います。

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【プロフィール】今井真実
料理家。神戸市生まれ。作った人の手も心もお腹も「緩む」ように、作っている時も出来上がった時も嬉しくなるような料理を提案。企業へのレシピ開発、フード撮影の調理や盛付けのスタイリングなどを中心に活動している。不定期で、料理教室「nanamidori」を主宰。季節ごとの、梅仕事、味噌作り、ソーセージ作りのレッスンも人気。キャンプで焚き火をしながら塊肉を焼くのが1番のストレス解消法。

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【プロフィール】山口祐加
自炊料理家、食のライター。出版社、食のPR会社を経てフリーランスに。料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、出張社食、執筆業、動画配信などを通し、自炊する人を増やすために幅広く活躍中。著書に『ちょっとのコツでけっこう幸せになる自炊生活 』(エクスナレッジ)『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。』(実業之日本社)がある。好物は味噌汁。

「#私の晩酌セット」投稿コンテストの結果を発表します!

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編集部:今回の「#私の晩酌セット」企画では、お2人にも晩酌おつまみを紹介してもらいつつ、応募作品のすべてを見ていただきました。まずは、全体を通じての感想を聞かせてください。

山口:みなさん、すごくオリジナリティがあるなぁと思いました。ド定番なメニューがあんまりなくて、それが面白かったですね。

かといって、めちゃくちゃ凝っていて作るハードルが高いかといえば、そんなことはなくて。食材もスーパーで買えるし、簡単に作れるメニューが多かったのが、家飲みの晩酌おつまみって感じでよかったです!

今井:私もみなさんの作品を見させてもらって、すごく面白かったです。やっぱり飲むのが好きな人って、食べるのも好きなんだなって思いました(笑)。
あと、本当にみなさん、味の組み立てが上手で身近な食材でちょっと特別感を感じられるように工夫されていたりとか…そうやって思い思いの晩酌の時間を過ごしているんだろうなと感じました。

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あと、晩酌の風景やメニューにご家族との思い出が詰まっていたりして、ジーンとさせられたりもしました。読み物としても面白かったし、いい思い出をお裾分けしていただいているような感覚がありましたね。

山口:その人の人となりが見えてくるような記事が多かったですよね。食べ物って、やっぱり記憶とセットなんだなと思いました。

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編集部:では、早速ですが、お2人が選んだ受賞作品を教えてください!

山口:迷ったんですが、私は1番印象的だった『おじいちゃんの“砂肝”』という作品を選びました。

山口:料理好きなおじいちゃんが考案した砂肝のオリジナルレシピなのですが、85歳のおじいちゃんが慣れないワープロを頑張って練習しながらレシピを送ってくれたっていうエピソードとか、本当に素敵だなと思って。レシピの最後が「頑張ってね」って言葉で締められているのも、ぐっときました。この砂肝の話は、たぶん一生忘れないだろうな。

この料理が好きすぎて、高校生の時にお弁当に砂肝を入れてもらっていたっていう話も最高ですよね!

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山口:あと、この方が作るときに、砂肝を800g用意したってのもすごくないですか。もはや焼き鳥屋の仕込みの量ですよね。

今井:すごい量ですよね!1度にたくさん作って、それをおつまみにして、1週間くらい晩酌を楽しむのかなっていう想像をしました。

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編集部:今井さんが選んだのは、どちらの作品でしょうか?

今井:私が選ばせていただいたのは、『和えて、飲む』という作品です。

今井:これ、「でも今は敢えて飲んでる。これを書くために」って書き出しで始まっているんですよ。おそらく、この方飲みながら書いているんじゃないかなって(笑)。これも晩酌の楽しみ方のひとつだよねと思って。

山口:楽しそうな雰囲気が伝わってくる文章ですよね。

今井:そうなんですよ。晩酌も、この企画も楽しんでいるのが、すごく伝わってきて。

しかも、好きな和え物として挙げているのが、白身魚とクレソンの和え物とか、蒸し鶏とカブの和え物とか、お酒のおつまみにぴったりな食材の組み合わせばかりなんですよ。だから、この方が晩酌で作っている菜の花と酒盗の和え物も絶対に美味しいだろうなと。

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今井:たぶんですけど、この方は家にたくさん調味料があって、それと旬の野菜を組み合わせて、さっと和え物のおつまみを作るのが上手なんじゃないかなって。「1品目に頼むのは和え物ばかり」と書かれているところからも、和え物に対するこだわりもすごく感じますよね。

山口:「和える」って、すごくいいですよね。工程がひとつひとつ分かれているから作業としても楽だし、組み合わせも自由じゃないですか。

今井:そうそう。「和える」は食卓でもできるのがいいですよね。とりあえず食材を茹でておいて、今日はマヨネーズかなとか、酒盗かなとか、気分に合わせて作ることができるので。

あと、1回の晩酌で色々味変するのも楽しいです。最初ビールだから、からし醤油とかマヨネーズで、次はワインに移るからオリーブオイルとお塩と、ちょっとパルメザンとか…そういう楽しみ方ができるのも和え物ならではですよね。

山口:わかります(笑)。うちではよく、茹でただけの里芋を用意して、私は塩だけで味付けして食べたり、途中で柚子胡椒を足したりしながら食べていて。母は奈良漬と一緒に食べたりしています。

今井:そうやって、その場で思いついた食べ方をやってみたりするのは、やっぱり面白いですよね!

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編集部:今回はキリンnote編集部で、特別賞を2作品選ばせていただきました。

まず1つ目は、『#私の晩酌セット』というタイトルでnoteを描いてくださったverdeさんの作品です。

編集部:こちらは、まず晩酌の風景が思い浮かぶなぁという印象を受けました。あとは、やっぱり食卓って、名前のない料理の連続なんだなと思ったんですよね。

おつまみを作るとなると、ちょっと構えがちになってしまうんですけど、もっと気軽でいいんだよって背中を押してもらったような気持ちになる作品でした。

今井:この方は、いろいろと食べてきた結果、「これでいい」ってところに辿り着いている感じがしますよね。「お家なら、こういう晩酌セットでいいよね」っていう、ラフさがすごく素敵だなと思いました。

山口:素敵ですよね。皆さんのいろんなストーリーが垣間見えてワクワクしますね!2作品目はどの作品ですか?

編集部:もうひとつは、『晩酌初心者が作るズボラおつまみ』という記事です。

編集部:これを書いてくださった方は、ご自身があまりお酒を飲まれないようなんですけど、旦那さんが飲むのが好きなようで。

だけど、一緒に晩酌の時間を過ごすようになって、この方にとっても「心安らぐ、居心地の良い空間になった」と書かれていました。そうやって静かに流れるお2人の空気感が素敵だなと思いまして 。

前半はレシピが紹介されてるんですけど、最後にこの方の心情が書かれていたことで、一気に風景が浮かび上がってきました。きっと、それこそが言いたかったことなんだろうなと思って、グッときちゃいましたね。

山口:うんうん。晩酌って、飲む人だけのものではないんだなと思いました。

受賞作品を再現!山口さんが選んだ『おじいちゃんの“砂肝”』

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編集部:では、お2人にはそれぞれが選んでくださった受賞作を実際に作っていただきます! まずは、山口さんが選んでくださった『おじいちゃんの“砂肝”』からいきましょうか。

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山口:今日はnoteに書かれていたように、800gの砂肝を用意しました!

今井:実際、目の前にしてみるとすごい迫力ですね(笑)。

山口:まずは下ごしらえをしていきます。お店の開店準備をしているような気持ちになるなぁ(笑)。

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山口:「生姜は大量に入れます」と書かれているので、たっぷりと入れましょう。風味づけで入れるのですが、こういう料理をするときにはニンニクを入れる場合もあるし、両方入れることもありますね。

今井:この方のレシピが生姜だけになっているのは、お弁当に入れることも考慮しているのかもしれませんね。

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山口:あー、すでに美味しそうな香りだ(笑)。下茹でして、アクを抜いたら、煮ていきます。味を見ながら、煮汁の量を調整していきます。

今井:「一気に調味料を染み込ませないのが、優しい味にするポイントなのかもしれない」と書かれていましたよね。

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山口:そうですね。あとは煮るときに一味も入れると書かれていたので、入れて煮込んでいきましょう。あとは味がしみるのを待つだけです!

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山口:パクパク食べられると書いてあったので、生姜たっぷりで味付けは薄めに仕上げました。ご本人にも食べてもらいたいですね(笑)。

受賞作品を再現!今井さんが選んだ『菜の花と酒盗の和え物』


編集部:今井さんには、まず『菜の花と酒盗の和え物』を作っていただきます。

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今井:まず、沸騰したお湯に塩を少々入れて菜の花を茹でます。葉物の野菜は、葉の部分と茎の部分で茹で時間が少し違ったりするんですけど、私はせっかちなので一気に入れてしまいますね。

それで、葉の部分から先に上げていく感じです。最終的には、太い茎に火が通っていれば大丈夫なので。

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今井:このメニューのポイントは、お湯から上げた菜の花をギュッと絞りすぎないことだと思います。カラカラの状態より、水分が残っていたほうが、酒盗が水に溶けて乳化するので、いい感じの和え衣になると思います。

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今井:今日は記事内で使用されていた、神奈川県小田原市にある『しいの食品』さんの酒盗を用意しました!酒盗の量は書かれていなかったんですが、ちょっと控え目にしておきましょう。あとは、食べるときに、好みに合わせて追加してもらえばOKです!

山口:おー楽しみです!先ほど話した、和え物ならではの自由な楽しみ方ですね。

今井:そうですね!お皿の上で、好みの味に仕上げてもらったらいいと思います。

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今井:こういう、さっとゆでて和えるだけでできる気の利いたおつまみは、晩酌にもってこいですよね。今回は、菜の花にほんのり塩味をつけて、酒盗を隠し味のように使ってお互いの香りを活かしました。

山口さんが作る今年の晩酌セット「ガーリックシュリンプ ぐずぐずブロッコリーのソース」

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編集部:続いては、「#私の晩酌セット」をテーマにしたオリジナルの1品をお2人に作っていただきます。おうちで忘年会を楽しむ方にもおすすめしたい、とっておきのおつまみレシピだそうで。では早速、山口さんから。どんな料理を作ってくださるのでしょうか?

山口:私は「ガーリックシュリンプ ぐずぐずブロッコリーのソース」を作ります!イタリアのプーリア地方の料理で、ブロッコリーを煮崩してパスタソースにするのですが、今回はそのソースをエビに絡めます。プーリア地方は南イタリアに位置していて、海産資源が豊かなエリアなので魚介系は何でも合うと思います。

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●「ガーリックシュリンプ ぐずぐずブロッコリーのソース」の作り方

【材料(2人前)】
ブロッコリー…1/2個
殻付きエビ…250g
にんにくチューブ…5cm
オリーブオイル …大さじ4
塩…小さじ1/2

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山口:まずは火が通りやすいようにブロッコリーを細かく刻んで、水100mlと一緒に蓋をして蒸し焼きにします。

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山口:ブロッコリーは形がなくなるまで炒めます。

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山口:殻をむいて背わたを取ったエビを、ブロッコリーのソースの中に入れて、オリーブオイルとニンニク、塩で炒めます。

オリーブオイルはたっぷりと。炒め物ではなく、ブロッコリーはソース状にしたいので、水より粘度の高い油分を多めに入れています。

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山口:あとは蓋をして、少し蒸します。エビにしっかり火が通れば完成です!

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山口:この料理は白ワインとよく合うので、今日は白ワインのようなフルーティーさを味わえる『グランドキリン WHITE ALE』と一緒にいただきたいなと思います!


今井さんが作る今年の晩酌セット「豪快骨付きポークソテー」


編集部:今井さんが作ってくださるオリジナルメニューを教えてください。

今井:私が作るのは「豪快骨付きポークソテー」です。子どもたちも喜ぶようなメニューなので忘年会シーズンにもぴったりです!

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豪快骨付きポークソテーの作り方

【材料】
豚骨付リブロース…2枚(約700g)
塩…7g(重量の1%)
にんにく…3かけ
オリーブオイル…大さじ2

今井:まずお肉は先に塩をふっておきます。今回は分厚いお肉を使用するので、予め塩を振ってなじませます。カリッと仕上がって、匂いもよくなるんです。

お肉を焼くときの塩の量の目安は、だいたいグラムに対して1%くらいです。700gのお肉を焼くなら、塩は7gですね。

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今井:それでは焼いていきます。ニンニクチップを作っていきますね。スライスしたニンニクが焦げやすいので、適度なところで切り上げてください。柔らかめだと食べられるけど、焦げちゃうと食べられないので。

焦がしてしまうのを防ぐために、ニンニクの厚さをまばらに切っておいて、薄めのものがキツネ色になったら上げるという手もあります。そうすると、カリカリと柔らかめ、両方の食感が楽しめますよ。

山口:ニンニクチップを作った油でお肉を焼くんですね!この時点で美味しそう!

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今井:最初はお肉を立てて脂身から焼いていきます。脂のところを焼き切ると、臭みがなくなるので。カリカリベーコンのように焼き色がついたら倒して片面ずつ焼きます。

山口:分厚いお肉を中までしっかり焼くコツはありますか?

今井:弱めの中火で、じっくり焼いていくのがいいですね。強火で焼くとお肉が反っちゃうんです。骨つき肉の場合は、そんなに反らないですが、背から焼いたほうが仕上がりはきれいになると思います。中央に肉汁が浮いて赤色からピンク色になったら裏側も4分ほど焼きます。

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今井:あとは、お肉からも油が出てくるので、それをかけながらじっくり焼いてください。

焼き加減は好みによりますが、今日は中身がほんのりピンク色の状態にします。目安は、白っぽくなり肉汁が浮いてくる頃。爪楊枝を刺して少し赤みがかっても透明感のある肉汁が出れば大丈夫です。

焼きあがったらお皿に移し、コンロのそばに置いておくかアルミホイルをかぶせておきます。余熱でじわじわと熱が入り、肉汁が落ち着くので、切り分ける頃にはちょうどいい状態になりますよ。

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今井:胡椒も焦げやすいので、最後にかけるといいと思います。はい、これで完成です! ジューシーで豪華なお肉には、上品なうまみの『一番搾り』を合わせていただきたいと思います。

完成した4品の晩酌セットを実食!

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編集部:料理が並んだら、一気にテーブルの上が華やかになりましたね!では、食べながら感想などを伺っていきましょう。まずは、乾杯しましょうか!

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山口・今井:カンパーイ!

山口:最初は、砂肝からいただきます!うん、美味しい。薄味なので、これは本当にパクパクいけちゃいますね。

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今井:わー、ごま油がきいてて美味しい!しっかり柔らかくなってるし、優しい旨味があふれてる。唐辛子の存在感もあって、ビールも進みますね。

山口:そうですね。白いご飯にも合いそう!確かに、お弁当に入れるのアリですね。

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編集部:続いては、菜の花をいただきましょうか。

今井:これはお酒に合う味ですね。美味しい。やっぱり菜の花をギュッと絞らずに、ある程度の水分を残しておいたので、噛んだときに酒盗の味わいがじゅわっと広がりますね。

山口:本当だ。これ、あまり思いつかない組み合わせですけど、すごく美味しい!菜の花のフレッシュな香りで、酒盗の生臭さが消されているので食べやすいです。

今井:あと菜の花の根元にあるぬめりが、酒盗のぬめりに絡んでいるのもいいですね。味だけでなく、食感としてもいい組み合わせだなと思います。

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編集部:では、山口さんがオリジナルメニューで作ってくれた「ブロッコリーソースのガーリックシュリンプ」をいただきましょう。

山口:うん、これは間違いないですね(笑)。手前味噌ですけど、大変美味しいです。

今井:わー!美味しいー。ぷりぷりしたエビの食感と、柔らかいブロッコリーがコントラストになってて、すごく合う。しかも、背ワタを取った切れ目のところにブロッコリーのソースがちゃんと入っていて、濃厚な味わいになってますね!

山口:これ、もっとニンニクを入れて、ペペロンチーノっぽくしても美味しいんですよ。唐辛子きかせたりして。

今井:彩りも良くていいですねー!

編集部:最後は、今井さんが作ってくださった「豪快骨付きポークソテー」です。

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今井:食べやすい大きさにカットしますね。

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山口:分厚いのに、すごく柔らかい。美味しいー!オーブンで焼いたら、こうはならないですか?

今井:オーブンのほうが難しいかもしれないです。塩だけでも十分に美味しいんですけど、よかったらアボカドとワサビと醤油で作ったソースも試してみてください。

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山口:これ、めちゃくちゃ美味しいですね!お肉との相性も最高!

今井:こういう変化があると、晩酌がもっと楽しくなりますよね。これだけでも、いいおつまみになりますし。

今井さんと山口さんが考える「これからの晩酌」

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編集部:「#私の晩酌セット」の企画は、コロナ禍の6月から始まって、今回の企画をもって完結ということになるのですが、お2人はなかなか外に出られない状況になって晩酌に変化はありましたか?

今井:私は、もうご飯の時間しか楽しみがなくなってしまったので、ひたすら家族で何を食べるかを考えて、毎食エンターテイメント化しましたね(笑)。みんなで、麺打ちから初めて、うどんやパスタを作ったりとかして。だから、大変な期間だったけど、晩酌も含め、楽しく過ごすことを心がけていました。

山口:私は普段、手間のかかる料理は作らないんですよ。でも、自粛期間中に初めてコロッケとか作ってみて、めんどくさいけれどその分ちゃんとおいしいなと、自分で作るおいしさと楽しさを再確認しました。

今井:今までよりも料理の楽しみが広がりましたよね。これまでやってこなかった料理とかも作ってみようと思うようになりました。

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山口:あと、最近はオンラインで誰かと繋がりながら料理をするのが楽しくて。今晩作る料理を決めて、食材を用意してオンラインで集合!みたいな。

今井:それは楽しそうですね!

山口:1人暮らしで、人にも会えなかったりすると寂しいじゃないですか。でも、みんなでオンラインで繋がりながら料理して、そのまま一緒に飲むみたいなこともできるなって気づいたのは、おうち時間が増えたからこその変化だなと思いますね。

今井:私は、それまで料理教室をやっていたので、レシピは外に出さないようにしていたんですよね。でも、こういう状況下になってからnoteでレシピを公開するようになって、それをきっかけに山口さんとも出会えたっていうのは、大きな変化でしたね。

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山口:私、このコロナ禍で思ったんですよね。食べることと、飲むことが好きで本当によかったなって(笑)。

今井:私も同じことを思いました。この先のことを考えるともちろん不安はあるけど、落ち込んでいても仕方がないし、美味しい食事とお酒があれば幸せだなって。巡り巡って、それは料理の本質なのかもしれないですね。料理は幸せになるためにあるというか。

山口:そうですね。今は海外旅行に行くとか、みんなでバーベキューをするとか、そういう大きな幸せを叶えるのが難しい状況じゃないですか。だけど、日常の中には小さな幸せがあるってことを実感できる期間になったと思います。そのうちのひとつに、料理とか食べることの楽しさはあるよなって。

そういう日常の幸せを見つめ直すって意味でも、「#私の晩酌セット」コンテストはいいきっかけになりました。

今井:いろんな方の文章やレシピを見させてもらって、「私が今いる場所や、過ごしている時間は、かけがえのないものなんだな」ってことを改めて感じましたよね。

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山口:みんな大変な思いをしているけど、こうやって1度立ち止まることになったのは、大事なことを考え直すいい機会になったと思うんですよね。

今井:1度立ち止まって考えるという意味では、晩酌は象徴的ですよね。1日を振り返ったり明日からのことをゆっくり考えたりする時間ができて、ひとつひとつのことを本当に大切に思うようになりました。忙しい毎日に追われているとゆったりと晩酌する時間も持てませんから。

晩酌も適当に済ますんじゃなくて、「今日の晩酌を楽しもう」っていう気持ちになったというか。普段当たり前にある「食事」に意識を向けると生活が楽しくなりますよね。

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山口:私も、「生活がこんなに楽しかったんだな」っていうのは、本当に思いますね。洗い物とか買い物とかかも、忙しいと億劫になるときもあったんですけど、時間がある中でやっていたら案外楽しいなって。

忙しいとか、時間がないってことに、ずっと自分は騙されてきたんだなって気づきました。これからの生活で忙しさに騙されることはなくなりそうです。この期間に多くの人が感じたことかもしれないですね。

今井:自分の好きなこと、大切なものを再確認できましたからね。

山口:そうですね。今後も世の中がどういう状況になっていくかわからないですけど、確信できたことはブラさずに生活も、料理も、晩酌も楽しんでいこうと思います!


受賞作品のおさらい


審査員賞(今井さん)

■kaoruさんの「和えて、飲む #私の晩酌セット

審査員賞(山口さん)

■サカナナさんの「おじいちゃんの"砂肝"」


キリン特別賞(2名様)

■あずきさんの「晩酌初心者が作るズボラおつまみ【#私の晩酌セット】」

■verdeさんの「#私の晩酌セット」

※賞品発送のご連絡は2021年1月上旬を予定しております。もうしばらくお待ちくださいませ。

改めて、今回のコンテストを通じてたくさんの晩酌セットを届けていただきありがとうございました!山口さんが仰っていた「オリジナリティがあるのに凝り過ぎていない」という言葉にあるように、背伸びしないちょうどいい心地よさが漂う晩酌の雰囲気がたくさん届きました。

この企画を立ち上げた時は、今年がこんな1年になるとは思ってもみませんでした。しかしながら、こんな1年だったからこそ、「晩酌」という小さな時間の大切さを見出せた気がします。

1年を省みるこのタイミングだからこそ、晩酌を通して暮らしの中にある大切なことを振り返ってみてはいかがでしょう?

文:阿部光平
写真:土田凌


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