開発担当者に聞く“飽きない味づくり”とは?『メルシャン×ファンケル カロリミット ノンアル梅酒テイスト』のおいしさの秘密
2019年資本業務提携を結んだキリンホールディングスとファンケル。連載企画「ファンケルとキリン」では、“食と医のキリン”と、“美と健康のファンケル”の両社がタッグを組むことで生まれるシナジーと、その可能性について探ります。
今回の #ファンケルとキリン でスポットを当てるのは、2月27日発売の新商品『メルシャン×ファンケル カロリミット ノンアル梅酒テイスト』。ファンケルとメルシャンだからこそかなった、ノンアル&糖類・カロリーゼロの梅酒には、両社の想いとこだわりが詰まっています。
「梅酒をもっと食事と一緒に楽しんでほしい」そんな想いから、試行錯誤の末に辿り着いた“飽きない味づくり”のこだわりとは?ファンケルの後藤彩子さん、メルシャンの山崎哲弘さんにお話を伺いました。
メルシャンとファンケルが追求する、おいしくて飽きない味づくりとは?
─今回は、メルシャンとファンケルで「飽きない味づくり」を目指し、日々研究を続けていらっしゃる開発担当のお二人にお越しいただきました。
山崎:今日はよろしくお願いします。私は、メルシャンで長年RTD(ふたを開けてすぐにそのまま飲める飲料、RTD=Ready To Drink)を始めとするリキュール系商品の開発に携わってきました。入社時に酒類技術開発センターに配属されて、現在は技術部の商品開発グループ 商品開発研究所に所属しています。
後藤さんは、これまでどのような開発をされてきたんですか?
後藤:私はもともとファンケルの総合研究所で、サプリメントや健康食品の研究、商品開発に携わってきました。2011年からは、青汁やサプリメント、健康食品の商品企画の業務に携わっております。
山崎:そうなんですね。私は、2001年ごろから梅酒の開発に関わっており、今に至ります。メルシャンで長年、梅酒開発に取り組んできたなかでは、梅の産地との関わり方や香りの研究など、いろいろと経験してきました。
後藤:メルシャンといえば、ワインのイメージが強いのですが、梅酒造りの歴史も長いですね。
山崎:メルシャンが梅酒を造り始めたのが1960年代、今年で60年近く経ちます。2000年代前半までは、メルシャンでも大手梅酒メーカーに代表する家庭で漬けこんだような青梅を主体とした梅酒を製造していましたが、2005年に和歌山県を訪れたときに偶然“桃のような香り”の梅に出会い、新しい梅酒の開発が始まりました。
後藤:桃のような香りですか?
山崎:そうなんです。ちょうど訪問した時期が6月で、梅のシーズンでした。私が知っている青梅は、もっと青々しい芝のような香り。「なぜこんな桃のような香りがするんだろう」と農家さんに聞いたら、「梅は、完熟すると黄色くなるんだよ。黄色くなると、こういう桃のような香りになる」と。これはまさに桃源郷という言葉そのものだと感動しました。
後藤:想像するだけでいい香りですね。
山崎:そのような“完熟梅の香り”がする、新しい梅酒の味を提案したいと研究開発を進めました。以来、完熟梅の味を追求して18年、ずっとこの香りを研究してきました。
─香りが味わいに大きく影響するというのはおもしろいですね。
山崎:メルシャンでは、味づくりにおいて「香り」をとても大事にしています。飲み物の缶や瓶を開けたときにまず印象に残るのは香りですよね。また、飲んだときに口に広がる香りや、鼻に抜ける戻り香も、「おいしさ」に欠かせない要素なんです。
もともとメルシャンは、ワインの「きいろ香」という、日本固有の甲州ブドウから柑橘系のさわやかな香りを初めて引き出した歴史があります。これに代表されるように、いろいろなカテゴリーで香りの研究に力を入れてきました。
梅酒造りでも、当時「きいろ香」を研究していたメンバーにいろいろと教えてもらいながら、香りの研究をしてきました。その研究成果が、和歌山県産梅を100%使用した『まっこい梅酒』のおいしさにつながって、さらには今回の『メルシャン×ファンケル カロリミット ノンアル梅酒テイスト』の味づくりにもつながったというわけです。
─ファンケルでは青汁をはじめ、さまざまな機能性表示食品やサプリメントなどを販売されていますが、梅酒のような嗜好品である飲み物とは、味づくりの点で違いがありますか?
後藤:そうですね。機能性表示食品やサプリメントは、「おいしくない」という先入観を持たれてしまうところからスタートすることが多いので、それをもっとおいしく、より気軽に生活に取り入れてもらうにはどうすればよいかという視点で商品開発を進めています。
例えば、青汁は昔からどうしても「まずい」というイメージを持つ方も多いので、いかにおいしくできるかを試行錯誤しますが、ただおいしいだけでなく、健康によさそうと感じていただける味にすることがポイントですね。また、毎日飲み続けられるような味にすることも重要です。
山崎:嗜好品も同じような考え方です。1杯で満足するのではなくて、もう1杯飲みたいと思ってもらえるには?という部分は最後までこだわります。
理想の土壌に出会うまで5年。農作物との向き合いかた
─そんな“飽きない味”のために、使用する梅にはどんなこだわりがありますか?
山崎:やっぱり香りですね。メルシャンが使用している南高梅は、熟すに従って青りんごのような香りから桃のような香りに変化します。
2006年から2010年にかけての5年間で、和歌山県の「うめ研究所」と生産農家(JA紀州)がタッグを組んで、毎年サンプリングしながら酸の組成、香りの組成を分析した結果、香りが一番強い時期に収穫すると、香りと味わいのバランスが一番いいということがわかったんです。
ここだ!というタイミングで農家さんに収穫してもらうのですが、相手は農作物。年ごとに品質のブレが生じるので、安定化させるのがとても難しい。毎年農家さんへ足を運び、調整を行っています。
後藤:ファンケルの青汁も、ケールの栄養とおいしさを両立できるように、というところからですね。国内の契約農家さんと一緒に土づくりからこだわり、最適なミネラルバランスの土壌で栽培していただいています。そのおかげで、ミネラル豊富なおいしいケールが育つんです。
新鮮なケールを使用しているため、味を一定に保つのは難しく、特に冷凍タイプは搾りたてを瞬間冷凍してお届けするので、継続して飲んでいる方は時期によって多少味の違いを感じるかもしれません。
その時期収穫したケールの味の変化を楽しみに、冷凍タイプを続けて購入されているお客さまも多くいらっしゃるんですよ。
山崎:土壌は本当に大事ですよね。同じ県内でも、土壌が全て同じではない。私たちも理想の栽培地域に出会うまで5年かかりました。山間部の傾斜地で栽培していますが、山の傾斜地で栽培された梅は、昼間にしっかりと光合成して、夜間に香り成分を実の中に蓄えます。
一般的に昼夜の温度差が大きい方が、より蓄えやすいといわれています。同じように栽培をしても環境、土壌、風土によって違うので、梅酒の研究を通じて農産物との付き合い方も学ぶことができました。
後藤:以前、私が紅茶の商品を担当したときにも、同じように寒暖差がある方が香り高いというのを聞いたことがあります。農作物がおいしくなるには、それぞれに合う環境、土壌、風土が大切なのですね。
「おいしさ」と「糖類・カロリーゼロ」をかなえたノンアル梅酒開発
─今回発売となる『メルシャン×ファンケル カロリミット ノンアル梅酒テイスト』ですが、カロリミットとノンアル梅酒のかけ合わせはどんな意図から生まれたのでしょうか?
山崎:梅酒は甘い飲み物というイメージが強いようで、お客さまからも「梅酒は好きでもっと飲みたいけど、甘さが気になる…」という声を以前から多くいただいて。梅酒を食事と合わせて、もっと前向きな気持ちで楽しんでいただけるにはどうすればいいか、今後の課題でもあったんです。
ワインのように、もともと甘さの少ない飲み物なら甘さに対する抵抗感がないと思いますが、どうしても「甘い飲み物=太る」という印象を持つ方が多いようです。そこで注目したのが、食事の糖や脂肪の吸収を抑える機能性表示食品『カロリミット』でした。
─味づくりにおいて大変だったところはありますか?
山崎:一番大変だったのは、『カロリミット ノンアル梅酒テイスト』のメイン成分でもある「難消化性デキストリン」です。これが入ると、味にもたつきが出てくるんです。
さらに糖類・カロリーゼロにしながらも梅酒の甘みやコク味を表現するためには、甘味料を使わざるを得ないのですが、それも後味のキレの悪さにつながります。これらの味わい上の課題をどう解消してスッキリと飲ませてあげられるかというところが、一番難しかったです。
後藤:「難消化性デキストリン」はいろいろな商品に使われていますが、おっしゃる通り、ファンケルでも味のマスキングが難しい成分の一つですね。
─どうやってその課題をクリアしたのですか?
山崎:メルシャンでは研究の成果を活かした商品開発をモットーにしていますが、過去の完熟梅の香りの研究でみつけた、ある香りの成分を添加することでスッキリとした後味にすることができたんです。この味わい上の課題をクリアするのに、半年以上もかかってしまいました。
後藤:そのおかげで、「おいしさ」と「糖類・カロリーゼロ」の両方を叶えてくれるカロリミットノンアル梅酒が完成したのですね。優しい味で口の中に程よい甘さと完熟梅の香りが広がって、とてもおいしいです。今日お話を伺えたおかげでよりそう感じられます。
山崎:商品担当からは開発当初、「ノンアルで梅酒らしさを再現してほしい」と依頼があり、梅酒を長年つくってきた身として、今回あらためて「梅酒らしさってなんだろう」と考えました。
コク味や香り立ち、程よい酸味、適度な苦味のバランスをあらためて考えながら造り上げたのがこの商品です。原点を振り返るきっかけにもなりましたね。
後藤:ファンケルとしては、『カロリミット』は食事をおいしく、楽しむためのブランドなので、商品化するにあたり「食事に合う」という点は大事にしたいと思っていましたが、見事にそれを叶えた商品だなと。
甘すぎず程よい炭酸感で、食事に合わせても違和感がないんです。今日飲んでみても、あらためてとてもいい商品ができたなと感じました。
日常的に、食事と一緒に楽しんでもらえるノンアル梅酒に
─どんな方に飲んでもらいたいですか?
後藤:梅酒は好きだけど、糖やカロリーが気になって手をだしにくくなっている方に飲んでいただきたいです。『カロリミット』を感じていただくためにも、ぜひ食事のときに飲んでもらいたいと思います。私自身も食事のときは、ビールや酎ハイ、ワインなど甘さが少ない飲み物を選ぶことが多いんですが、これはすごくさっぱりしておいしいし、食事に合うノンアル梅酒だなと思います。
梅酒に惹かれつつも、「甘いから控えよう」と思っている方や、「梅酒が飲みたいけど食事とは合わないな」と思っている人たちにまず一度試してみてもらいたいです。
山崎:梅は食材として日本人に馴染みのあるものですし、実はチューハイのフレーバーとしてもレモンの次に多くの方に好まれています。柑橘系のチューハイを飲みながら食事をする方が多いなら、梅のフレーバーも食事と合わせることができるんじゃないかと。日常的に楽しんでもらえたら、うれしいです。
─あらためて、今回のコラボをどう感じていますか?
後藤:メルシャンといえばワインのイメージでしたが、農家の方々と協力しながら研究を重ねて生み出す梅酒づくりは、ファンケルのこだわりとも近いものがあると感じています。今後もいろいろな商品を開発できたらと思いました。
今回、食事の糖や脂肪の吸収を抑えてくれる『カロリミット』ブランドを最大限に活かしながら、食事に合わせたくなるおいしいノンアル梅酒が完成し、大変うれしく思っております。食生活に取り入れやすい商品であることで、さらに多くの方にお試しいただけそうですね。
山崎:最初にこの商品の話を聞いたときは、このコラボによく気づいたなと。ノンアル梅酒自体はすでに競合他社から発売されていますが、ノンアル梅酒に『カロリミット』を掛け合わせることで、よりお客さまのニーズに寄り添った商品になったなと思いました。
その点で、今回は特にキリングループらしい提案ができたと思っていますし、あらためてファンケルとキリンのシナジー効果を感じました。これからもいろいろな素材でコラボして、よりよい商品づくりができればと思っています。