差出人は高等学校の教頭先生。ある日、お客様相談室に届いた一通のメール【こんにちは。お客様相談室です。】
お客さまと一番近い場所に立ち、お客さまとキリンをつなぐ「お客様相談室」。
キリンを支える縁の下の力持ちとして、お客さまにキリンを好きになっていただけるよう、誠実なコミュニケーションを大切にしてきました。
昨年度よりスタートした連載「こんにちは。お客様相談室です。」は、実際にいただいたお客さまからのお問い合わせと担当スタッフのやりとりを紹介する企画です。
本年度からはリニューアルをして、お客様相談室に届いたお客さまとの心温まるエピソードをご紹介していきます。
今回は、『午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー』にまつわるエピソードをお届け。
また、お客様相談室の知られざる工夫や取り組みなどの裏側と、昨年度に引き続き、毎月一人ずつ「お客様相談室」のスタッフもご紹介していきます。お客さまと向き合い続けるスタッフの想いにも注目してみてくださいね。
差出人は高等学校の教頭先生。ある日、お客様相談室に届いた一通のメール
お客様相談室に一通のメールが届きました。
差出人は、東京都内のとある学校の教頭先生。
「当校の生徒が『午後の紅茶』の取り組みを小論文にまとめ、コンクールで最優秀賞を受賞した」というご報告をくださったのです。
小論文の題材に選んでいただいた『午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー』は、復興支援につながる特別な『午後の紅茶』です。
▼『午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー』開発背景についての記事はこちら
熊本県産のいちご「ゆうべに」と熊本県産紅茶葉を使用し、1本の売上につき3.9円が熊本の復興支援のために活用される商品です。
受賞された生徒さまは、紅茶を飲んでいるときにふと目にとまったペットボトルのラベルから『午後の紅茶』に寄付の仕組みがあることを知り、「小さな行動一つひとつが大きな支援につながり、解決のための一歩になる」と思いをめぐらせてくださったとのこと。
これはぜひ開発担当者にも伝えて、お礼と受賞のお祝いメッセージを届けたいと思いました。
そこで社内のマーケティング部に共有し、メールをくださった教頭先生と生徒さまにも開発者からのコメントを伝えることに。結果として、とてもよろこんでいただけたのですが、うれしい輪はそれだけにとどまりませんでした。
なんと量販店を担当する営業から「この生徒さまの小論文を店頭POPとして活用できないか」と要望があったのです。
その後、学校やご本人、保護者さま、小論文コンクール主催者の方への承諾を経て、無事に店頭POPの設置が実現。商品の開発部門や地域コミュニティの活動を推進する部署などからもよろこびの声が集まったと聞いています。
「あなたのおいしいが、誰かへの応援になる」
商品に込められたメッセージがお客さまの心に届き、それがきっかけでお客さまの行動が評価されたこと、そして、お客さまとのやりとりから社内にもよろこびの輪が広がったことで、私自身も幸せな気持ちになりました。
お客様相談室にお寄せいただくのは、お問い合わせだけではありません。
今回のようなうれしいご報告にも一つひとつ向き合うことで、私たちが大事にしている考え方を、より多くの皆さまと共有できるのだと実感しました。
【キリンお客様相談室の裏側】
お客さまとの通話録音を聴きなおしている!?
― お客さまに寄り添うためにチーム全体で行なっている工夫や取り組みはありますか?
お客様相談室:お客さまとのやりとりのあと、通話録音を聴きなおして、対応を振り返っています。
目的は大きく分けて二つあります。一つ目は、自分自身のお客さま対応を聴きなおし、課題を見つけて改善につなげるため。二つ目は、他のメンバーのお客さま対応を聴いて、「素敵だな」と思う点を参考にするためです。
実際に電話でお客さま対応をしているときは、お客さまの話をお聴きしながらその情景を想像したり、「どのようなご案内ができるだろうか」「資料を確認しなくては」「他にお伝えできることはないかな」など、同時並行でさまざまなことを考える必要があります。
そんななかで自覚しきれない自分の対応の「癖」を振り返るのは、正直なところ気が重い作業です。不思議なもので「うまくいっている」ところよりも「できなかった」ことの方が目立っているような気がしてしまいます。
でも、落ち着いて聴き返してみると、言葉遣いやご案内の改善点が見えるだけでなく、「もっと違う質問をしたら別の会話につながったかもしれない」「あ、あのお話を伝えればよかった」「話しかける時の言葉のバリエーションを増やしてみよう」といった気付きや発見も少なくありません。
「お客さまの立場で聴いた時にどう感じるか」を意識することで、録音を聴く前に自分自身を振り返ったときとはまた違った課題に気付くことができるのだと思います。
そんな気付きをそのあとのお客さま対応に活かせるよう、チーム全体で取り組んでいます。
【今回のお客様相談室スタッフ紹介】
お客様相談室 酒類チーム フロント業務担当 S
お客様相談室は、チーム一丸となって、日々お客さまの声と向き合っています。そんなお客相談室スタッフに、お客さまとの対話で大切にしていることや、記憶に残っているお客さまとのやりとりについて語ってもらいました。
―記憶に残っているお客さまとのやりとりはありますか?
お客様相談室S:あるお客さまから「『SPRING VALLEY』が大好き」とのメールをいただいたときの対応が深く印象に残っています。
そのお客さまの文章は、商品への愛情であふれていて、「ずっとこの商品を造り続けてください。ありがとう」と結ばれていたんです。うれしくて心が震える思いでした。
「この気持ちをお客さまへすぐにでも伝えたい」と、はやる気持ちを抑えて、まずはお客さまのことをゆっくり丁寧に考えるところからはじめました。
ご連絡をくださった背景などを想像し、お客さまと同じ景色を見ることを心がけ、「これからも健やかに長く、私どもの商品をお楽しみいただきたい」という気持ちを込めて、さらにお客さまがお返事を読んでくださったあとのお気持ちも想像しながら書いた返信のメール。
それから数日後のこと、室内に共有されたお客さまへの対応アンケートの結果に、とてもうれしい内容が記されていました。
「親切丁寧な返信に涙が出る思いです」
メールでのやりとりは、電話のように会話しながらお客さまの背景などをお聞きすることができません。また、お客さまの事情でメールという手段を選んでいるのかもしれないので、メール対応では極力、いただいたメールの文章からお客さまのお気持ちを汲み取り、お客さまに寄り添った対応につなげられるよう、あらゆる想像力を総動員してお返事を考えています。
そんな背景もあり、メール対応は電話とは違った緊張感があります。
それでも、アンケートに書いていただいたコメントを読んで「頑張って対応してよかった」というホッとした気持ちと、「キリンのお客様相談室が目指している『健やかな暮らしのサポーター』に少し近づくことができたかな」という誇らしい気持ちになりました。
これからも、お客さまに良質な体験をご提供することを目指して、お客さまの心に残る対応を心がけていきたいとあらためて思ったできごとです。
―お客さま対応をするうえでの心がけ、大切にしていることを教えてください。
お客様相談室S:電話に出る前にマスクの中で口角を上げることと、明るく元気な第一声をセットで行うように心がけています。
どんなに経験を重ねても、お客さまからお電話をいただいた際の「一言目」は緊張します。
新人のころは、思ったような対応ができなかったときに落ち込んだ気持ちをなかなかリセットできず、暗い気持ちのまま次の対応に臨んでしまっていました。
でも、気持ちを引きずったり、自分の感情に左右されたりした状態での対応がうまくいくはずありませんよね。「これではお客さまに対して失礼だな」と、気がついたんです。
「お客さまにとって、このお問い合わせは最初で最後かもしれない」
それからは、一件一件を丁寧に、誠実に、真摯に対応することを大切にしています。
―Sさんにとっての「いい時間」とは?
お客様相談室S:バドミントンで汗を流すこと。もう10年以上続いている趣味で、今では生活の一部です。
バドミントンは、瞬発的な反射神経だけでなく、相手の配球を読んだり試合運びを考えたりすることも大切。そのために、ただ目の前の試合に集中する感覚もたまりません。
ダブルスを組むパートナーと協力して気持ちよく得点ができたときは、最高にうれしい瞬間です。
「こんにちは。お客様相談室です。」では、お客様相談室に届いたお客さまとの心温まるエピソードをご紹介します。
ほっこりするエピソードやお客様相談室の裏側など、お客さまとキリンお客様相談室とのつながりを感じていただければうれしいです。
次回もお楽しみに。
ライター:山越 栞
イラスト:aya.m
編集:RIDE inc.