お客様を笑顔にしたいなら、まずは私達が笑顔になること【#わたしとキリン vol.6 森下あい子】
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お客様を笑顔にしたいなら、まずは私達が笑顔になること【#わたしとキリン vol.6 森下あい子】

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キリングループでは、「よろこびがつなぐ世界へ」というコーポレートスローガンを掲げています。そのために社員が大切にしているのが、「熱意、誠意、多様性」という3つの価値観。

これらをベースに、各自が大切にしている第4の価値観をミックスすることで、社内では新たな取り組みがたくさん生まれてきました。

そんな社員たちの取り組みから、多様な働き方を考えていく企画が「#わたしとキリン ~第4の価値観~」です。

第6回目に登場してもらうのは、キリンホールディングスのR&D本部・飲料未来研究所に所属する森下あい子。日本初の糖質ゼロビールとして誕生した『一番搾り 糖質ゼロ』の開発を担当しました。

研究員としてお客様に新しい価値をお届けするための開発に取り組む森下は、2人の子を持つ母親でもあります。そんな彼女が大事にしている第4の価値観には、仕事を円滑に進め、目指す世界に近づくための秘訣が隠されていました。

【プロフィール】森下あい子
キリンホールディングス株式会社 R&D本部 飲料未来研究所 
2005年キリンビール入社。ビール工場品質保証担当、キリンビバレッジ本社品質保証を経験後、2010年より現在のキリンホールディングス株式会社R&D本部 飲料未来研究所へ。これまで主にビール類の技術開発に従事。2015年より、「一番搾り 糖質ゼロ」の技術開発を担当。

お花見での何気ない一言から始まった『一番搾り 糖質ゼロ』の開発

―森下さんが所属されている『飲料未来研究所』というのは、どのような部署なのでしょうか?

森下:「技術を通して、お客様に新しい価値をお届けする」というのが、私たちの大きなミッションです。お客様のニーズに対して、研究員としてどう応えられるかを、イチから考えて形にしていく職場になります。

そのなかで私が取り組んでいるのは、健康面での新しい価値を届けられるような仕事です。具体的にはアルコールを取り過ぎない世界を目指していて、特に糖質に焦点を当てた研究をしています。

―日本初の糖質ゼロビールとして誕生した『一番搾り 糖質ゼロ』も、森下さんのチームが開発したそうですね。開発までの経緯を教えてください。

森下:開発のきっかけは、友人の何気ない一言でした。育児休業中、友人たちとお花見をしていたときに、「ビールは大好きなんだけど、最近は体型とか健康のことが気になっちゃって…」という人がいたんです。

それを聞いて、「ビールが好きな方に、もっと気兼ねなく飲んでいただける世界を作りたい」と思いました。みんなで楽しく飲んでいるときに、「残念だけど」とか「しょうがない」という気持ちで、心から楽しめていない人がいるのは寂しいなと思って。

―それは何年前のことですか?

森下:2015年なので、7年前ですね。そこから『一番搾り 糖質ゼロ』の発売までには5年かかりました。

―実際の開発は、どのように始まったのでしょうか?

森下:当時は、発泡酒や新ジャンルのような麦芽比率が小さいものであれば、糖質ゼロの商品があったのですが、麦芽を50%以上使用する「ビール」のジャンルでは、そういった商品がありませんでした。ビール好きが求める麦の旨味を残しつつ、糖質をゼロにする方法はないだろうかと考え始めたんです。

―それまで日本に糖質ゼロのビールはなかった状況で、「麦芽のおいしさを残しつつ、糖質をゼロにする」というアイデアは、社内でどのように受け止められましたか?

森下:「自分もそういう商品が欲しかった」という意見もたくさんありつつ、「技術的なハードルが高いから誰も実現できなかった」というのも共通認識としてありました。だからこそ、チャレンジする価値はあるということで、プロジェクトが始まったんです。

ビール造りの工程をすべて分解して、まったく新しい商品を作る

―開発する上で大変だったのは、どんな部分でしたか?

森下:ビールの糖質をゼロにするだけでもかなり難しかったんですけど、私たちはおいしさも追求しなければならなかったんです。その両立が本当に大変でした。最終目標は「おいしくて、糖質ゼロのビール」を造ることだったので。

麦芽50%以上で糖質をゼロにする方法を研究し続け、結果的に試験醸造は350回以上行いましたね。しかも、醸造ってすぐに終わるわけではなく、1回の試験結果が出るまでに1ヶ月近くはかかってしまうので、長い道のりなんです。

―5年に渡る開発期間で、行き詰まったことはなかったのでしょうか?

森下:実は、2018年くらいに「これはもう無理だ」と判断して、マーケティング部と話をしたことがありました。研究所内でさまざまな試作をして、ある程度のところまではいったんですけど、あとちょっとの距離が詰められなくて。関わっている人が多かったので、早めに「できない」という結論を伝えようと思ったんですよね。

事情を説明したところ、その人から言われたのは「お客様が待ってるよ」という一言でした。その言葉で、もう一度頑張ってみようという気持ちになったんです。

―いくつもの難しい壁を越えて『一番搾り 糖質ゼロ』の発売が決まったときは、どんな気持ちでしたか?

森下:嬉しい以上に、とにかくホッとしたのを覚えていますね。工場をはじめ、本当に多くの部署の方が関わっていたので。最後までやり切れたことと、「これでやっとお客様にお届けできる」という気持ちでホッとしました。

―リリース後、お客様からの反応はどうだったのでしょうか?

森下:「こんな商品待ってたよ!」という声をたくさんいただくことができました。商品開発のきっかけになった友人にも、商品発表会の日に「あなたの一言から、こんなビールを造ったんです」と伝えました。本人は「そんなこと言ったっけ?」という感じで覚えてなかったんですけど(笑)。それだけ何気ない一言だったんだろうなと思います。

産休・育休を経て変わった働き方のスタンス

―そもそも森下さんがキリンに入社しようと思ったのは、なぜだったのでしょうか?

森下:大学生のときに初めて一人暮らしを経験して、けっこう寂しい想いをしたんです。だけど、友達とご飯を食べるのは楽しいし、そういう時間の傍らには、いつもお酒があったなと思って。私もそういう楽しい時間や思い出を作るお手伝いがしたくて、キリンに入社したんです。

最初は技術職として取手工場に配属になりました。キリンの技術職ってビール造りをしたくて入ってくる人が多いんですけど、私は品質保証の仕事がやりたくて。というのも、当時は食品偽装の問題などがあった時代で、安心安全を届ける意味でも品質保証の仕事に興味があったんです。

―実際に品質保証の仕事をやってみていかがでしたか?

森下:工場での品質管理は、データを見ながらいつもと違うところを見つけて、大きな事故に繋がらないように改善するというのが役割です。それをやる上で大切なのは、普段から現場に行って状況を見ておくことだったり、働いてる人たちとコミュニケーションを取って、何かあったときにしっかり話し合える関係性を築いておくことでした。そこで学んだ人間関係の基本は、開発の仕事で他部署と関わるときにも役立っています。

―品質保証から開発の部署に移ったのは、何かきっかけがあったんですか?

森下:きっかけは産休・育休ですね。取手工場のあとは本社の品質保証部にいて、そのときに1人目の子どもを出産しました。ちょうどそのタイミングで品質保証の組織改変があったので、産休・育休明けに改変した部署に戻るのが良いのか、自分で仕事の管理をしやすい研究所にいったほうが良いのかを、リーダーや人事部が一緒に考えてくれたんです。当時はまだ子育てをしながら働いている人が少なかったので、いろんな検討をしてもらって、結果的には研究所へ異動することになりました。

―生活環境も部署も変わるとなると、きっと働き方自体が大きく変化してきますよね。

森下:そうですね。1番の変化は、子育てという絶対に必要なことができて、働ける時間がすごく短くなったことでした。だから、短い時間でも成果を出せるよう、最短距離で仕事を進めるという意識に切り替えました。慣れるまでは大変でしたけど、チームの人たちも協力してくださったので、私としてはすごく働きやすかったです。

―今は、出産後も職場復帰される方は増えているんですか?

森下:今はもうほとんどの方が産休・育休後に復帰していて、女性が働く上では良い環境ができてきているなと感じます。

ただ、私は限られた時間でギュッと働いている分、休日は電池切れになってしまうことが多くて…。スポーツ少年団に入っている子どもたちの試合を見に行けず、申し訳ないなと思うこともあるので、もうちょっと働き方の見直しは必要かなと思っています。

でも、『一番搾り 糖質ゼロ』が発売されたときに子どもたちが「ママは、こういう仕事をしてたのか。大変だったんだね」って理解してくれたのは嬉しかったです。商品で自分の仕事を示すことができた瞬間でしたね。

みんなが嬉しい世界を実現するために、造り手として「笑顔」を忘れない

―この『わたしとキリン』という企画では、熱意、誠意、多様性というキリン全体の価値観に加えて、社員さんそれぞれが大事にされている“第4の価値観”を伺っています。森下さんの“第4の価値観”は、どんなものですか?

森下:私が仕事をする上で大事にしているのは“笑顔”です。開発の根幹には「笑顔があふれる世界を作りたい」という想いがあり、一緒に働く人たちと衝突や困難があっても、最後はみんなで笑えるような働き方をしたいなと思っています。

―『一番搾り 糖質ゼロ』の開発は、そういう仕事になりましたか?

森下:そうですね。途中で諦めそうになりながらも最後までやり切れたのは、一緒に働いていた研究所のメンバーが同じ想いでいてくれたからだし、大変なこともあったけど最後はみんな笑顔でしたね。長い開発期間の途中で異動になってしまったメンバーもいたんですけど、そういう人たちも喜んでくれたのは嬉しかったです。

同じ方向を見て、一緒に考えて行動できるメンバーがいたのは、自分にとって大きなモチベーションになりました。部署を超えて人と協力するときには、工場時代に学んだ、現場を知り、日常的にコミュニケーションをとるという経験が役立ったと思います。

―チームを作っていくのって合理性だけでは難しくて、根幹にあるのは人間関係じゃないですか。そこを円滑にしていくためにも、笑顔や明るい雰囲気っていうのは大事ですよね。

森下:そう思います。お客様にワクワク感を届けるためには、我々研究員自身がワクワクしながら仕事に取り組んでいないとダメですよね。だから、お客様を笑顔にしたいなら、まずは私達が笑顔になるような働き方をするのが重要だと思っています。

―“笑顔”という価値観を大事にしながら、今後はどういう仕事をしていきたいですか?

森下:まずはこれまでと変わらず、お客様に多くの笑顔を届けられるような商品を作っていきたいと思います。それと、今度は子どもも一緒に楽しめる商品に繋がる技術開発をしていきたいですね。そうすることで「笑顔があふれる世界」はもっと広がっていくと思うので。

ここの研究所は、自分たちでやりたいことを提案できるので、メンバーひとりひとりが熱い想いを持ってプロジェクトを進めています。だからこそ、最後まで熱意を持って働ける環境だと思うし、様々な角度から「笑顔があふれる世界」を目指していきたいですね。

編集部のあとがき

この記事をチェックしている時は北京オリンピックの最中で、ちょうどカーリング女子チームが決勝トーナメント進出を決めたところでした。試合中の、真剣さの中に弾ける選手たちの笑顔を見ていて、森下さんが仕事の上で大切にしている「笑顔」の話が重なりました。

開発の難しさはもちろん、そこから商品化するまでの過程には、途方もない数のハードルがあります。数々の苦難を教えてくれた森下さんが、仕事の上で大切にしていることを「笑顔」であると話された背景を思うと、そこにはなみなみならぬ強い意志のような、覚悟のようなものを感じます。

哲学者アランの『幸福論』には、「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」といった言葉があります。カーリングチームの選手の皆さんも森下さんも、大切にしている「笑顔」には、多くの壁にぶつかったからこそ辿り着くことができたひとつの境地なのだと改めて感じました。

文:阿部光平
写真:土田凌

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