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変化をチャンスに。挑戦と経験を掛け算してたどり着いた、自分らしいキャリア

新しい環境に飛び込むとき、誰にでも不安や戸惑いはつきまとうもの。前例のない未開拓の領域ならなおさら、足がすくんでしまいそうになることも。

キリンでさまざまな経験や出会いを経て、“自分らしい仕事”を見つけた人たちのキャリアを紐解く特集企画「自分らしい仕事のつくりかた」

今回の登場人物は、「いつでも、変化はチャンスだと思って受け止めてきた」と話す、東京・埼玉営業部で担当部長を務める桑原美奈。幅広い知識を蓄えながら営業という仕事を多角的にとらえ、常に前を向き続ける桑原のルーツと信念を聞きました。


【これまでのキャリア変遷】

キャリア変遷のイラスト

─はじめに、キリンビバレッジに入社した理由を教えてください。

桑原: 就職活動をしていた学生の頃は、食品や飲料のメーカーへの就職を志望していました。もともと食べることが大好きで、飲食料のおいしさに加えて何か+αの付加価値を提供している会社で働きたかったんです。

自分なりに「この会社にとっての+αは何だろう」と考えながら、いくつかの企業を受けました。そのなかでキリンビバレッジを選んだのは、ちょっとした高校時代の思い出もあり、「おいしさ+ワクワク」を提供していると魅力を感じたからでした。

─素敵ですね!入社のきっかけにもなった「高校時代の思い出」も気になりますが…。

桑原: 高校時代、大学受験のために通っていた学習塾で缶コーヒーをはじめて飲んだんです。甘いコーヒーしか飲めなかったんですけど、眠気覚ましに頑張って飲んでいました(笑)。当時の缶コーヒーって、なんとなく大人の男性が飲むイメージで。そんなときに、キリンのコーヒーブランド『FIRE』から『WHITE COFFEE』という商品が発売されたんです。

白いボトル缶でデザインもかわいく、テレビCMに国民的人気アイドルが出演していたこともあって、女の子たちの間でたちまち話題に。私も『WHITE COFFEE』を飲むとなんだか気分が上がって、勉強も不思議と捗りました。これがあると気分が上がるという体験、そのときに商品から受け取ったのはまさに「ワクワク」でした。

そんな、私が感じたような「ワクワク」を、いつか誰かに届ける側になりたいと思うようになったんです。

「自分に何ができるか、なぜここにいるのか」

キリンビバレッジ首都圏統括本部・桑原美奈が笑っている様子

─キリンビバレッジに入社して、最初はどのような部署に配属されましたか?

桑原:入社後は自動販売機の法人営業をしていました。企業がオフィスに導入する際や、商業施設に設置する際の自動販売機の営業です。まだ完成前だったスカイツリーの建設現場にヘルメットを被って自動販売機を設置しに行ったこともありました。

法人営業では、自社商品を売り込む前に相手がどんな課題を持っているのか、その課題に対してキリンがどのように役に立てるのかを考えなくてはいけません。でも最初はどうすればいいかわからず、お客さまとの関係を構築するための切り口を模索する日々でした。

幸い優しい先輩方に恵まれ、アドバイスをいただきながら、なんとか目の前の課題を乗り切ることができました。なかでも、当時のリーダーとの出会いは今でも思い出しますね。夢を熱く語る大胆な人で、仕事の醍醐味やおもしろさを教えてもらいました。

そんな姿に心打たれて、当時の私は「このリーダーのためにも頑張ろう!」と思っていて、それが仕事における原動力の一つにもなっていました。自分がリーダーという立場を担うようになってからも、熱を持って自分が思い描くビジョンを語ることを大事にしています。

窓際で話しているキリンビバレッジ首都圏統括本部・桑原美奈の写真

─そのあと新規事業開発の部署、続いてスーパーマーケットなど量販企業を担当する営業部門へと異動を重ねることになるんですね。

桑原:そうですね。新規事業開発の部署では新しいビジネスモデルの検討やテスト展開を行っていたのですが、違う会社に入社したのかと思うほど、何もかも未知の世界でした。それまでの経験を活かすことができず、もどかしくて…。その期間は、正直すごく苦しかったです。

今振り返ると、私は正解を求めて仕事に取り組んでいたんだと思います。営業職では仕事を進めていくうえでの“基本”みたいなものがあったので、自分のなかに「正解を見つけないと」という固定概念が染み付いていたんですね。

でも、新規事業開発では正解か不正解かではなく、いろんな角度から物事を考えることが求められていたのだと思います。その苦い経験も、今では大きな学びになっています。

その次に量販企業の営業に配属されたときも、新しい分野で挑戦できることに期待するいっぽうで、不安もありました。でも、そんな気持ちも少しずつ変わっていきました。その部署は、量販企業の営業を極めたベテランと新人社員で構成されていたので、そこに私のような中堅社員が加わることの意味や、自分の役割を見つけていこうと思ったんです。

つぎつぎと仕事が変わるたび最初は戸惑いましたが、このあたりから「自分にこの役割が回ってきたのには意味がある」と理解し始めたような気がします。

次世代の女性リーダー育成研修がキャリアを考えるきっかけに

キリンビバレッジ首都圏統括本部・桑原美奈が話している様子

─経験を重ねたからこそ、仕事での視野も広がっていったのでしょうか。

桑原: 自分に少し余裕が出てきたんだと思います。実は量販企業を担当する営業部署へ異動したタイミングで、女性リーダー職を育成するキリン・ウィメンズ・カレッジという研修プログラムに参加することになったんですね。そこで、自身の視野が広がり、視座が高まった感覚がありました。

女性はライフステージの移り変わりによって働き方が変わっていくので、この研修では早回しのキャリア形成という方針のもと座学やフィールドワークを行っていました。

そこでいろんなことを学ぶと同時に、たとえ身に付けたスキルや一つの知識が突き抜けていなくても、さまざまな分野を掛け合わせれば自分らしさを作れるという考えを持つようになったんです。

当時は、自動販売機の営業をしていた自分が量販店担当になって何ができるんだろうと悩んでいた時期で。でも考え方が変わったことで、自分の“タグ”を増やしていくようなイメージで、新しいことに挑戦し続けながら私らしい仕事のやり方を見つけようと思えたんですよね。

キリン・ウィメンズ・カレッジ参加者の集合写真
キリン・ウィメンズ・カレッジに参加した当時の写真

─キリン・ウィメンズ・カレッジの経験を経て、ご自身のキャリア観に変化はありましたか?

桑原:キャリアの方向性が定まったことは大きな変化でした。それまでは、自分自身がこの会社で女性営業職として働き続けられるのかという不安を抱えていました。

今では多くの女性がキリンで活躍していますが、当時はまだ周りを見渡しても女性の先輩が少なくて、ロールモデルも限られていたんです。でもこの研修に参加して、自分と同じような悩みを抱える女性社員が多くいることを知りました。

特に営業職でいうと、男性のロールモデルは山ほどあるわけだから、女性のロールモデルも、もっといろんなパターンがあっていいよねと。前例がないなら自分がそのロールモデルの一つを目指そうと覚悟が決まったのもその頃です。

トロピカーナ社への出向で、営業の奥深さを知った

キリンビバレッジ首都圏統括本部・桑原美奈が話している様子

─そこから一転、キリン・トロピカーナ株式会社(以下、トロピカーナ社。現キリンビバレッジ株式会社)への出向ですね。

桑原:はい。トロピカーナ社への出向を聞いたときは、とにかくびっくりしました。私はそのときどきの仕事を好きになって「続けたい」と思いながらも、驚きの人事異動を受けてきたタイプで。不安はありつつ、 新たなことに挑戦するチャンスをもらったと力が入りました。

─実際に出向してみて、大変だったことやうれしかったことを教えてください。

桑原:それまでと大きく違ったのは、営業とマーケティングが一つの部門で完結するチーム体制だったこと。ブランドの根本的な部分を議論して、どのようなマーケティング施策を打ち、店頭ではどのようにお客さまに商品を届けるのか…。営業とマーケティングを、一本の線でつながったものとして体感できたのは大きな学びになりました。

トロピカーナ社の同僚との集合写真
トロピカーナ社時代のチームメンバーと

桑原:マーケティングの勉強もしましたし、それまで知らなかった分野に触れる毎日は、とても新鮮で充実していました。

それまではお客さまに商品を届ける最前線で活躍したいという想いがあり、営業に携わってきました。でもこのとき、広い視野を持って「マーケティングの一環としての営業」という役割を知ることができたんです。この経験を通して得た感覚を営業職に持ち帰りたいと強く思いましたし、自分の目指す営業の解像度が上がった気がします。

念願だった「おいしさ+健康」を提供する仕事

キリンビバレッジ首都圏統括本部・桑原美奈が話している様子

─トロピカーナ社への出向から、キリンビバレッジ本社に復帰したあとについても聞かせてください。

桑原:営業部に所属し、『iMUSE朝の免疫ケア』という商品の立ち上げを担当しました。会社としても、初めてチルド領域(※)に直接取り組んでいくという新たなチャレンジだったので、商物流をどうするか、市場をどのように捉えてアプローチしていくか、などの営業戦略を立てていくことを行いました。

※チルド領域…牛乳、ヨーグルト等の冷蔵品。

先ほど、学生の頃は「おいしさ+α」を提供する会社を探していたとお話ししましたが、「おいしさ+健康」は私が特にやりたいことだったんです。その気持ちを忘れかけていた頃に、偶然にも「おいしさ+健康」をコンセプトにしたこの商品を担当することになり、「あの頃願っていたフィールドに今立てている」と運命的なものを感じました。その初心を再認識してからは、より強い気持ちを持ってさまざまな困難を乗り越えていけたように思います。

─念願の仕事だったんですね。具体的に、どのような困難があったんでしょうか?

桑原:まず前例がなかったので、誰に何を聞けばいいのかわからないくらい、社内に知見がなかった。情報や知識が限られたなかで、でも発売日だけは決まっていて、どんどん判断を進めていかなくてはいけない。

とてもハードでしたが、そんななかでも役割を超えて助けてくれた周りの人たちのおかげで、なんとか無事に発売日を迎えることができました。そのときの経験もあり、私自身も困っている人がいたら手を差し伸べることができる人になりたいと思うようになりました。

『iMUSE朝の免疫ケア』の発売までにはいろんな壁がありましたが、苦労したからこそ大きな自信にもつながりましたし、私にとって思い入れの強い商品になりました。これからも「おいしさ+健康」を軸にした商品に携わりながら、未来のビジネスユニットの柱になるような新しい市場も開発したいと考えています。

新しい環境には、挑戦するチャンスが転がっている

キリン中野本社から見える景色

─これまでのキャリアを通して、桑原さんが考えるご自身の“強み”とは?

桑原:変化をチャンスとして前向きに受け止め進んでいく力、飛び込んだ先の人たちを巻き込んで同じ方向を見てくれる仲間にする力は、自分の強みかもしれません。私にとっては未知の分野への異動も多く、変化に対する耐性がついたと思います。

また、さまざまな部署に配属され、マーケティングや事業運営など営業以外の分野から営業を考えることができたのは、自分のなかの多様性の広がりにつながっています。

これまで新しい環境に飛び込むことが多かったので、その組織のなかでの自分の役割や価値を常に考えながら行動してきました。この思考のルーツを辿ると、もしかしたら幼い頃から続けていたチームスポーツでの経験が大きいのかなと。

野球、ソフトボール、ハンドボール、ラクロスといろんなものを経験してきましたが、スポーツの種類やチームが変わっても、そこでの自分の役割や存在意義を考えながらプレイするクセが自然とついていて。それまでの経験や知識を活かしながら、どうチームに貢献するかという視点は、これからも持ち続けていたいですね。

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修羅場は成長の母。キリン・ウィメンズ・カレッジで教わったというこの言葉を体現してきた桑原。どんな苦境に立っても、“チャンス”ととらえて前進し続けるその姿勢は、「挑戦すること」が自分らしさを育むカギとなることを教えてくれます。

「自分らしい仕事のつくりかた」では、キリンで働く“自分らしい仕事”を見つけた人たちのキャリアストーリーを紹介しています。次回をお楽しみに。

キリンビバレッジ首都圏統括本部・桑原美奈プロフィール写真

【プロフィール】桑原 美奈くわばら みな
2006年にキリンビバレッジ株式会社入社。自動販売機を担当する営業職として九州に配属。その後、キリンビバレッジ本社に異動し新規事業開発やスーパーマーケットなど量販企業の営業を担う。キリン・トロピカーナ株式会社(現キリンビバレッジ株式会社)に出向し、チルド担当を経験。現在はキリンビバレッジ株式会社首都圏統括本部に復帰し、東京・埼玉営業部の担当部長を務める。

文:平井莉生、庄司楓(FIUME Inc.)
写真:上野裕二
イラスト:Daisueke Takeuchi (daisketch)
編集:RIDE inc.

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