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一人ひとりの1ミリを集めて、企業と社会の価値創造へ。「1ミリ変える、ストーリー。」はじめます

60年以上続いてきたグループ報「きりん」は、紙媒体の冊子メインからWebファーストへと移行し、インターナルブランディングWebサイト「KIRIN Now」を新たに開設しました。

前回の記事では、社内向けに作られたグループを社外に発信するという新たな試みについての想いを、グループ報の編集を担当するコーポレートコミュニケーション部の東向と髙島に語ってもらいました。

今回のグループ報のリニューアルでは、Webへとプラットフォームが変わるだけでなく、続々と新しい企画が誕生します。そのなかの一つとして、CSV(※)の実践を加速していくために生まれた企画が「1ミリ変える、ストーリー。」です。
本企画ではCSV戦略部の二人も制作チーム参加。さらに今後noteでも記事を発信していくことになりました。

世界を動かすために、“1ミリ”を変えようと取り組むキリングループのCSV活動を、どのように伝えていくのか。編集部の3人が、新企画「1ミリ変える、ストーリー。」のイントロダクションとして、企画に込めた想いを語ります。

※Creating Shared Valueの略。お客さまや社会と共有できる価値の創造。

キリンの髙島

【プロフィール】髙島 与佳たかしま あたか
2014年キリンビール入社。メルシャンの量販営業を経験後、2018年4月中国(珠海・上海)にトレーニーとして駐在。クラフトビールの営業、マーケティングを担当した後、2019年10月よりキリンホールディングスコーポレートコミュニケーション部にてインターナルコミュニケーションの担当者として、インターナルブランディングWebサイト「KIRIN Now」やグループ報『きりん』の企画・編集を担当。

キリンの須賀

【プロフィール】須賀 香菜美(すが かなみ)
2011年キリンビール入社。実家が福島県にあり、東日本大震災の年に入社したことから、企業と地域貢献の可能性について模索を始める。福岡工場での研修を経て、千葉支社に配属。ホテルなど業務用の酒類営業を4年間経験。その後、2016年にCSV推進部(当時)へ異動。「TK(遠野×キリン)プロジェクト」に1年間関わったのち、横手市におけるホップを通じた地域振興の土台づくりを手がける。

キリンの高橋

【プロフィール】髙橋 宏明(たかはし ひろあき)
2015年にキリン株式会社に入社。4年半、東北と首都圏でキリンビバレッジの営業を経験後、2020年の4月CSV戦略部へ異動し、現在は海外ESG評価対応やCSV Report作成業務を担当。


社内で共感を生むための新企画「1ミリ変える、ストーリー。」

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─これまで紙で出していたキリンのグループ報が、Webに変わるそうですね。

髙島:紙のグループ報は年に4回出していたんですけど、紙で作っているのでどうしても情報のタイムラグが生まれてしまうのが課題だったんです。
もっとスピーディーに情報発信をする方法を考えた結果、Webに移行することにしました。

Webになることで「いいね」やコメントをつけられたりと、これまで一方通行だったものが相互コミュニケーションをとれるようになるのも理由の一つです。

─Webになるこのタイミングで、「きりん」から『KIRIN Now』へアップデートすると聞きました。

髙島:アップデートするにあたって、内容をもっともっとパワーアップしていこうと考えています。企画もそれぞれ1から見直したり、紙で出していたものをWebに最適化したり。
『KIRIN Now』のコンセプトが、「ワクワク・続々」なので、これまで以上に従業員が読んでワクワクする情報を、続々と発信し、お届けしていく予定です。

─ワクワク!楽しそうな企画になりそうですね。

髙島:ですが、「経営ツールとしての情報発信」というところは引き続き意識しています。長期経営構想である「キリングループ・ビジョン2027(以下KV2027)」や中期経営計画の達成に貢献する情報発信という軸は、『KIRIN Now』でもぶらさずやっていきます。

キリンの髙島

─今回のリニューアルで生まれた新企画「1ミリ変える、ストーリー。」は、どんな内容になるのでしょうか?

髙島:キリングループは、企業と社会が共有できる価値を作るために、独自の技術や資産を活用して、「酒類メーカーとしての責任」を果たし、「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」という3つの軸で、社会課題解決に取り組んでいます。
そういった、CSVに取り組んでいる従業員にフォーカスし、それぞれのストーリーを発信していくという内容です。

まさに“今”CSVにまつわることに取り組んでいる従業員の想いを中心に、それぞれの葛藤やそれでも頑張ろうと思えるその源の部分をしっかり伝えることを、この「1ミリ変える、ストーリー。」でできないかなと考えています。

─今回は、CSV戦略部の方も編集部として制作に関わっているんですよね。

須賀:はい。CSV戦略部の従業員は、本当に熱い想いを持っているんですが、想いを共有する機会ってあまりないんです。私たちも制作に関わることで、CSV戦略部の代表として、”今”の想いをよりリアルに伝えたいと思っています。

髙島:それがまさに今回の企画を立ち上げたきっかけなんです。これまで、「こういうものがCSVで、こういう活動をしています」と事実を伝える記事や公式文書的なものはもちろんあったんですけど、どうしても結果がメインになりがちで、その裏にいる人の想いは見えにくくて。

でも、よくよく話を聞いてみると熱い想いを持った人が多く、取材していると共感して温かい気持ちになったり、やる気につながったりするんですよね。自分のヒントになることも多いです。

だからこそ、私たちの中だけに留めておくなんてもったいないと感じました。共感を生むには、事実だけではなくて、今まさに取り組んでいる人の想いを伝えることこそ重要だと思っています。

─なるほど。社内だからこそ、想いに共感して刺激を受けることは多そうですね。「1ミリ変える、ストーリー。」という名前にはどのような意図があるのでしょうか?

髙島:社会課題の解決に向けて従業員の「1ミリ」が集まって、社会への大きいインパクトにつながればいいな、という想いをタイトルに込めました。

私たちが行っている日々の仕事で、1日で世の中大きく変えるのは難しいし、おそらく無理だと思うんです。だけど、1ミリでもいいから何かをポジティブに変えていくために、必要な努力をコツコツ愚直にやっているというのが、キリンだなという風に私は感じています。

キリンの髙島と須賀

須賀:私たちもこのタイトルには納得でした。私たちCSV戦略部の課題感を髙島さんがじっくりヒアリングし、想いを汲んだうえでつけた名前なので、思い入れが強いです。

行動の背景にある「想い」をリアルに伝え、CSV活動への共感度を上げる

キリンの須賀

─須賀さん、髙橋さんが在籍されているCSV戦略部は、どのようなことをやられている部署なのでしょうか?

須賀:ミッションを簡単にお伝えすると、まずは2027年世界のCSV先進企業に向けて、キリングループのCSV戦略や方針を策定してグループ会社へ展開し、社会的価値と経済的価値の向上に貢献していくことです。

また、お客さまや投資家などに対して、しっかりとESG(※)の観点も含めたコミュニケーションをしていくこと。さらに、CSV実践の加速に向けた、社内の組織基盤の強化にも取り組んでいます。

※環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)のこと。

─さまざまなグループ会社と密接に関わっていくという意味では、特殊な部署ですよね。CSV戦略に対して、社内の反応や浸透具合はいかがですか?

須賀:社内で行ったCSVに関する調査では8割近くの共感を得られているものの、深い理解と実践はまだまだ課題を感じています。

「KV2027」で、「2027年に世界のCSV先進企業となる」と掲げているんですが、共感されているものの、深い理解と実践はまだまだだなと感じています。

直近では、グループ会社もいろんな取り組みをスタートしていたりはするものの、従業員一人ひとりを見渡したときに、やっぱり業務として遠く感じている人が多いのが事実です。
CSV“経営”というネーミングからも、どうしても自分とは関係のないもので本社や経営層がやればいいんじゃないか、みたいに思われてしまったりすることもあります。

─ちなみに、2027年までにどういう状態になったら「CSV先進企業」と認められるのでしょうか?

キリンの須賀と高橋

須賀:それが難しいんですよね(笑)。自分たちで「CSV先進企業です!」と名乗るのは違うと思いますし。世界から「CSV活動といえばキリンだよね」と社外的な評価を獲得はしているのが理想ですね。そうなるためには少なくとも従業員一人ひとりが、業務の中で、CSV活動を業務として実践している姿というのは最低限必要だなと思います。
そういった姿に到達するためにも、まだまだ私たちとしてやることが山積みですね。

髙橋:そもそも「世界のCSV先進企業」って抽象的な表現なんですよね。だからこそ理解するのが難しくて、従業員が自分事として受け入れにくいんだと思います。従業員に浸透させるためには、もう少し分かりやすい表現で伝えていく必要があると感じています。

─今後、より社内のなかでCSV活動への共感を集めていくためには、どんなことが必要になると思いますか?

須賀:結局は人がやることなので、やはり実際に取り組んでいる人への共感は大事だと思います。想いの部分は、見えにくいからこそ、ヒントになる部分も多いと思いますし、我々もぜひ聞きたいです。

髙島:人が動くときって、論理的に説明して納得して動くときと、論理とかよくわからないけど、とにかく想いに動かされるときと2種類あるかなと思っていて。

論理的な方は、実際にCSV戦略部で働いている髙橋と須賀の方が伝えやすいと思うので、今後も続けていただきつつ、エモーショナルな部分やパッションとかは「1ミリ変える、ストーリー。」で読者の心に響くものがあれば、嬉しいですよね。

キリンの髙島

須賀:そういうエモーショナルな部分って、とても大事ですよね。結局「やろう」って思ってもらうには、論理的にいいことだけを言っても心には刺さらないんです。

髙橋:そうですね。理解から行動に移すためには、想いの部分で共感をしてもらわないといけない。そうなるとやはり結果ではなくて、行動を起こさせた気持ちの部分がちゃんと覗けないと、自分事化できないと思うんですよね。

例えば、各従業員が自身の業務と直接かかわりのない部署の取り組みを聞いても、なかなか自分事にならないと思うんです。でも「なぜ、それをやろうと思ったのか」という気持ちの部分を知ることで「それはわかるな」とはなり得る。そこの想いの部分に、この「1ミリ変える、ストーリー。」の企画がしっかりハマってくれればCSVも加速するんじゃないかなと思っています。

キリンの高橋

─今回、グループ報だからこそ伝えられるリアルな部分も多いのではないでしょうか?

髙島:そうですね。インタビューを受ける方も、グループ報だからこそ話せることってたくさんあると思うんです。それをリアルな姿として伝えたいですし、きれいに作られたものよりも本当に出てきた言葉のほうが、すごくグッとくるものがあって共感しやすいと思っています。
グループ報では、外からは見られないような、リアルで泥臭い部分を伝えたいですね。

髙橋:たしかに。きれいな言葉だとどこかリアルじゃないんですよね。

キリン社内報編集担当の3人

髙島:意外にも、グループ報は会社のオウンドメディアでありながら、経営側から一方通行でこれを伝えなさいと指示されることはなく、経営と従業員の間に立って、私たちが取材したことをストレートに伝えることができるんです。

当たり前のことですが、ちゃんと倫理的とか人権が守られた状態であれば、これを書いちゃダメとかいうことはないので。そこはある程度自由に感じます。

須賀:いい感じに共感を生むようなレベルのフランクさがいいですね。

髙島:だからこそ取材対象者が感じていることをリアルに伝えたいですね。CSVの取組みの裏に隠された、ドラマチックなものを伝えていきたいなと思います。

従業員の新たな「1ミリ」を後押ししたい。

キリンの須賀

─「1ミリ変える、ストーリー。」は、従業員の皆さんにとってどのような存在になっていくとよいかなど考えてらっしゃいますか?

須賀:次の一歩を踏み出すための後押しになれたら嬉しいですね。「こういうことを考えてCSVに取り組んでいるんだ。自分でやるならこんな感じかな」みたいに、前向きな気持ちになってもらうためのツールでありたいです。

髙橋:あと、それに加えて、キリングループの従業員がたくさんいる中で、「ああ、こういう人がうちの会社にいるんだ」と知ってもらうことでグループの帰属意識とか一体感みたいなところも盛り上げられたらうれしいです。もちろんそこから、自分もやってみようと次の一歩を踏み出す人が増えることが理想です。

須賀:そうですね。すごい事業が広いですし。自分の仕事をしていると、自分の会社ばっかりになりがちだから「ああ、こういう仕事をしている人もいるんだ」と知れるだけでもすごく新鮮ですよね。

キリンの髙島

髙島:うちの会社の人って、まじめでまっすぐな人が多いなと私は思うのですが、はじめから完璧を目指しがちなところがあるなと感じていて。それもすごいことですが、CSVに関していうと、私は完璧な状態からスタートする必要はまったくないかなと思うんです。

この企画で取り上げる方のなかに、見るからにパーフェクトな方がいたとしても、内側の葛藤であったり苦悩であったりとか、うまくいかなかったこともあるのではないかと思います。そこをぜひ紹介させていただいて、それを読んだ方が、「完璧な状態じゃないかもしれないけどそれでもやってみたい」とか「自分も参加してみたい」という風に思ってもらえるといいなと思っています。完璧よりも大切なことは一歩を踏み出す、行動してみるということではないでしょうか。

─今回、社内だけでなくnoteにも転載されますが、社外の方にはどのようなことを伝えたいですか?

キリン社内報編集部の3人

髙橋:そうですね。お客様をはじめとしてキリングループの商品に関わる方々に「CSVといったらキリンだよね」と認識してもらいたいと思っています。この企画を通して、キリングループの社員はこれだけ社会のことを考えて日々の業務に取り組んでいるんだ、ということが伝われば嬉しいですね。

須賀:同じく、キリングループが社会課題の解決に本気で取り組もうとしている、もしくは取り組んでいるところが伝わるといいなと思います。

「CSV経営」って「社会課題の解決」を「企業にとっての成長の源」とすることなんですよね。未来に地球を残していくために、事業を通じて社会課題の解決に本気で取り組んでいる。そして、その中には従業員がいて、その思いがキリンをつくっているところが伝わるとすごくうれしいなと思っています。

髙島:この企画をnoteにして、社外の方に届けたいと思った一番の理由に、泥臭さを含めたリアルを見せることで、本当の意味で、キリンという組織をもっと知りたくなったり、いいなと思ってくれる人が増えてほしいという想いがあります。

たとえば、プロに密着するドキュメンター番組とか、甲子園とか、私も含めて好きな人が多いと思うんですけど、成功しました、勝ちましたという結果以上に、出演者の内面や努力している姿、バックステージに込められた努力の軌跡みたいなものにグッと来ると思うんです。ドキュメンタリーのようにもなると思うので、noteの読者の方たちにも楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。

そしてなによりキリングループのCSVが将来的に世の中を良くしたとき、その「1ミリ」を動かした従業員の想いが、少しでも世の中の人に伝われば嬉しいですね。

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noteで公開!グループ報『KIRIN Now』企画「1ミリを変える、ストーリー。」

CSV活動に取り組んでいる従業員にスポットを当てた、グループ報「KIRIN Now」の新企画『1ミリを変える、ストーリー。』がKIRIN公式noteにて公開されます。

第1回は、協和発酵バイオ株式会社 R&BD 部マネージャーの簗島 謙太郎です。赤ちゃんの発育や健康維持に重要な役割を果たす「ヒトミルクオリゴ糖(HMO)」の研究を続ける簗島。事業化が難しいとされていた素材で製品化するまでの苦労や葛藤について語ります。

文:山城 さくら
写真:上野 裕二

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