海岸で拾った空きびんの商品名を教えてください。お客様相談室に届いた一通のメール【こんにちは。お客様相談室です。】
お客さまと一番近い場所に立ち、お客さまとキリンをつなぐ「お客様相談室」
キリンを支える縁の下の力持ちとして、お客さまにキリンを好きになっていただけるよう、誠実なコミュニケーションを大切にしてきました。
連載「こんにちは。お客様相談室です。」は、実際にいただいたお客さまからのお問い合わせと担当スタッフのやりとりを紹介する企画です。
本年度からはリニューアルをして、お客様相談室に届いたお客さまとの心温まるエピソードをご紹介していきます。
今回は、海岸で拾った空きびんに関するお問い合わせと、ご友人の還暦祝いのご相談にまつわるエピソードをお届け。
海岸を散歩していたら、見たことのない空きびんを拾った。商品名を知るためにお客様相談室に届いた一通のメール
ある日、キリンビバレッジお客様相談室に、こんなタイトルのメールが届きました。
「昔の商品と思われるびんの販売時期、商品名をご教授ください。現在販売されている商品に関するお問い合わせではなく、申し訳ございません。」
差出人は、趣味でシーグラスの収集をしているという方でした。海岸を散策していたところ、未開封の空きびんを見つけ、陽の光に透かしてみたら、聖獣麒麟のような姿が浮かび上がったとのこと。
メールの本文には、びんの特徴がかなり詳細まで記されており、お客さまの「このびんの正体を知りたい」というお気持ちが伝わってきました。
すぐにキリンビバレッジの各部署へ確認をしてみましたが、残念ながら特定することはできませんでした。
その翌日、特定できなかった旨を謝罪し、可能な範囲でお写真の添付をお願いすると、びんの画像が添付された返信をいただきました。
「今度こそは」と、キリンビバレッジだけではなく、キリンビールの部署にも確認の範囲を広げ、キリングループを挙げての調査が始まりました。
すると、キリンビールのスタッフから「これは『こきりん』かもしれない」という声が。
『こきりん』は、1983年にキリンビールから発売された、内容量250mlの小びんのビールです。
たしかに、お客さまからお送りいただいた写真のびんの特徴は、『こきりん』シリーズとかなり似ています。
そこで、より詳しい情報をお客さまにお伝えするため、 キリンビバレッジのお客様相談室から、キリンビールのお客様相談室に担当を引き継ぎ、『こきりん』の空きびんであることをお伝えしました。
その後、お客さまから予想外のお返事が届いたのです。
なんと、今回のやりとりに感銘を受け、お客さま個人のnoteでこのエピソードを発信したいとご提案くださったのです。
そうして書いていただいた記事がこちら。
お客さまからは「返信は不要です」とお気遣いいただいていたにも関わらず、あまりにもうれしい内容に900字近くの想いを綴ったお礼のメールを送ってしまいました。
お客様相談室にお問い合わせくださるまでに、ご自身でこんなにも調べていただいたこと、結果として、AIで解決できなかった疑問の解決に私たちがご協力できたこと。
「これから先、いくつかの選択肢があったときには、KIRINの商品を選ぶだろう。これが素晴らしいユーザー体験というものなのか」
お客さまがnoteに書いてくださったこの言葉に思わず目頭が熱くなり、身が引き締まる思いでした。
発売時から『本麒麟』を愛してやまない友人の還暦を祝いたい。お手紙の返信に同封した世界で一つの感謝状
ある日、キリンビールお客様相談室に届いた一通のお手紙。
普段は、メールやお電話でのお問い合わせがほとんどなので、お客さまの筆跡が届くお手紙は、私たちスタッフのなかでもある意味特別な存在です。
内容は、「発売以来一度も浮気せず、毎日の晩酌に『本麒麟』を飲んでいる友人の還暦をお祝いしたい」というもの。
『本麒麟』をそんなにもご愛顧いただいていることに感謝とよろこびを感じながらも、ご本人ではなく、「友人に何かしてあげたい」というお問い合わせは珍しく、印象に残りました。
さらにお手紙には、数年前のご友人のお誕生日に、娘さんたちからメッセージ入りの『本麒麟』をお贈りし、大変よろこばれたとも綴られていました。
還暦ともなれば、それ以上に特別なお祝いをして差し上げたい。何より、ご友人を想うお客さまのお気持ちにもお応えしたい。
担当者となった私にも気合いが入るとともに、プレッシャーを感じたのも本音です。
自分以外のチームメンバーにも知恵を借りようと相談したところ、先輩から「感謝状を贈るのはどうか」というアイデアをもらいました。
そこで、お客さまからいただいたお手紙からあれこれと想いを馳せながら、世界でたった一つの感謝状を作ることに。
感謝状の文面を書くことは、お手紙の文面を書くのともまた違い、限られた字数の中でいかに「感謝」を伝えられるかが大切になります。これは私にとっても初めての挑戦でした。
そんな背景から完成したのがこちらです。
お手紙をくださったお客さまには、この感謝状と共に特製の「しおり」を同封し、ご友人にお贈りいただくようお伝えしました。もちろん、感謝状にはご友人が愛してくださっている『本麒麟』の画像も添えて。赤いパッケージが、還暦のお祝いにもぴったりだと思いました。
こうして、「どうかよろこんでもらえますように」と送ったお手紙には、後日こんなお返事が。
筆跡からも感じられるお客さまのうれしそうなお言葉に、私自身もとても充実した気持ちになりました。
キリンのお客様相談室は、「No Rule」という価値観を大事にしています。
それはつまり、お客様相談室のスタッフ全員が、誠実に、丁寧にお客さまに寄り添い、想像力をふくらませて考え尽くす姿勢のことです。
だからこそ、明確なルール化やマニュアル化ができない難しさはありますが、「友人をよろこばせたい」といったお客さまのご要望にお応えすべく試行錯誤した結果、お客さまのよろこびにつなげることができたのだと思います。
メンバーにも相談したからこそ「感謝状」というアイデアに至ったので、これはチームプレーで得た成果でもありました。
一人のお客さまに対して、みんなで「最善」を考えることができる。これは、キリンのお客様相談室ならではだと思います。
【今回のお客様相談室スタッフ紹介】
お客様相談室 飲料チーム フロント業務担当 O
お客様相談室は、チーム一丸となって、日々お客さまの声と向き合っています。
そんなお客様相談室スタッフに、お客さまとの対話で大切にしていることや、記憶に残っているお客さまとのやりとりについて語ってもらいました。
―記憶に残っているお客さまとのやりとりはありますか?
お客様相談室O:お客さまからのメールで、「未開封なのにドリンクの中味が漏れ出ている」とご連絡をいただいたことがありました。
初回のメールは簡潔に書かれていましたが、やりとりを進めていくなかで、お客様相談室にご連絡をいただく前に、ご自身でも商品をよく確認してくださっていたことがわかりました。
そのことに感謝の気持ちと誠意をお伝えしつつ、さらにメールでのやりとりを重ねるうちに、お客さまからの信頼を感じられるように。次第に、初回のメールには書かれていなかったことまでお話しいただけるようになり、とてもうれしかったのを覚えています。
最終的には、お問い合わせいただいた商品の調査が終わり、その旨をお客さまにご報告。すると、「丁寧な説明をありがとう、調査結果に安心した」というお言葉とともに、「これからはキリン商品を選んで購入するようにしたい」とのお言葉までいただくことができました。
第一印象の文字や言葉として「見える」部分だけでなく、そこには「見えていない」背景があること、お客さまの気持ちに寄り添い、想像を巡らせることの大切さを改めて実感したできごとです。
―お客さま対応をするうえでの心がけ、大切にしていることについて教えてください。
お客様相談室O:誠実な対応です。
私は、もともと「うそがつけない」性格。
とはいえ、お客さま対応のスタッフとしては、答えが不確かなものついては「言えないこと」もあります。
ただ、どんな時も「うそはつかない」
お客さまのために何ができるかを考えて、最大限お役に立ちたいと思っています。
―Oさんにとっての「いい時間」とは?
お客様相談室O:茶道のお稽古をしている時間です。
高校時代に授業で習ったのがきっかけでしたが、社会人になって長く続けられる趣味を持ちたいと思い、始めてから6年ほどになります。
一つひとつ作法を覚えていくことが楽しくて、お稽古の3時間はいつもあっという間。お茶会のときに着物を着るのも、緊張しつつワクワクします。
お茶を点て振る舞う亭主と、お茶を飲む客。そこで生まれる心のやり取りを学びながら、非日常を感じられる大切なひとときです。
「こんにちは。お客様相談室です。」では、お客様相談室に届いたお客さまとの心温まるエピソードをご紹介します。
ほっこりするエピソードやお客様相談室の裏側など、お客さまとキリンお客様相談室とのつながりを感じていただければうれしいです。
次回もお楽しみに。
ライター:山越 栞
イラスト:aya.m
編集:RIDE inc.