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社会人に“ならなきゃいけない”から“なりたい”に変わった。学生が考えるこれからの働き方とは?

『ものづくりの上流から下流までを見てもらうことで、キリンビールのファンを増やしたい』

そんな想いのもと、東北大学の学生を迎えてスタートした2023年度大学キャリア教育もついに最終日。

2023年度は『一番搾り とれたてホップ生ビール』が商品になるまでの製造工程や、岩手県遠野市にあるホップ畑を見学しながら農家や地域を盛り上げる方にお話を聞き、キリンと地域の関わりを体感してもらうプログラムを行ってきました。

最終日は、キリンビール仙台工場で3名の参加学生が大学キャリア教育で感じたこと、学んだことについて発表しました。これから就職活動を経て社会人になる学生が、企業にどんなことを求め、どんな視点で企業を選ぼうとしているのでしょうか。

発表後は、学生3名にキリンの従業員3名が加わり、これからの働き方や企業のあり方について意見を交わしました。


学生の目に映ったキリンの姿。大学キャリア教育での学びを発表

発表を聞いている人たち
参加学生の発表を聞きに集まった、キリンの従業員や東北大学の学生たち

2023年度大学キャリア教育4日間の集大成。キリンビール仙台工場の従業員や東北大学の学生に向けて、報告会が行われました。

緊張の面持ちの学生たち。大学キャリア教育を通してあらためて考えた、今後の企業のあるべき姿と学生が考えるこれからの働き方とは? このプログラムを通して、見て、触れて、感じたキリンという企業、そしてそこから見えた企業のあり方について発表します。

発表する学生
東北大学大学院 農学研究科 農芸化学専攻 修士1年 吉川智貴さん

まず一人目は、農学研究科農芸化学専攻修士1年の吉川智貴さん。研究室の先輩の勧めで参加したという吉川さんはこのプログラムを通して、キリンと地域、社会との近さやビール造りへのこだわりを強く感じたといいます。

「特に印象に残っているのは、醸造担当の方が『品質とは五感。人による評価を大切にしている』と話していたことです」(吉川さん)

キリンをこれまでよりも身近な存在に感じることができたことで、「応援したくなる企業になった」と話してくれました。

「製造や営業など、さまざまな業務を体験するなかで、そこで接するキリンの方々から『誠実さ』をとても感じました」(吉川さん)

さらに、吉川さんが考えるこれからの企業に求められることは、「応援されること」。商品やブランド、企業全体の取り組みを通して、その誠実さやこだわりをもっと広く伝えていくことで、より応援される企業になれるのではと締めくくりました。

発表する学生
東北大学 農学部 生物生産科学科4年 鎌田知樹さん

続いては、農学部生物生産科学科4年の鎌田知樹さんの発表。鎌田さんがこのプログラムに関心を持った理由は、「CSV経営ってなに?ということを自分なりの言葉で理解したかったから」といいます。

今回の取り組みを経て、最終的に鎌田さんが出した答えは、「CSV経営とは『三方良し』を実現するための手段」だということでした。企業経営と社会活動がしっかりとつながっていて、かつ、みんなから好かれる。それが、理想的なCSV経営だという答えに至ったそう。

そして企業が長く続いていくために大切だと思うことを話します。
『ファンから愛される企業であること』が重要だと思います。味が好きでファンになったり、企業姿勢に共感してファンになったり、きっかけは人それぞれだけど、やっぱり“正直者の企業”を応援したい」(鎌田さん)

発表する学生
東北大学 経済学部1年 漆原千夏さん

最後は、「実は軽い気持ちで応募しました」という経済学部1年の漆原千夏さん。もともと地域活性に興味があったこと、まずは経験してみたい、知りたいという好奇心で参加したといいます。

特に印象に残っているのが、遠野市で聞いた株式会社BrewGoodの田村さんのお話。
「地域活性というと、公務員といった行政職を想像していました。でも、田村さんのように企業と連携しながら地域を盛り上げる活動をしている人を見て、『一般企業や民間もこんなに地域に深く関わって、官民一体で地域を盛り上げることができるんだ』と感じました。なんでも知らないのはもったいない。自ら進んで調べる姿勢、固定観念に囚われない考え方が大事だとあらためて考えさせられました」(漆原さん)

▼同じく今回大学キャリア教育に参加した、東北大学院 農学研究科 生物生産科学専攻 修士2年生の Andrewさんの個人note

発表会当日は体調不良のため、参加できなかった東北大学院 農学研究科 生物生産科学専攻 修士2年生の Andrewさんですが、大学キャリア教育で感じたことを個人のnoteで書いてくれました。

4日目は営業担当とスーパーマーケットに同行し、発売を前日に控えた『一番搾り とれたてホップ生ビール』を商品棚に陳列しました。営業業務の中に陳列作業があることに驚きつつ、自分が陳列したビールをお客さまが手に取り、そのビールで楽しい夜を過ごしてもらえるのだと思うと最高の気分だったと綴っています。

また、『一番搾り とれたてホップ生ビール』の発売当日に購入して飲んだ感想は、「今まで味わった中で最高のビールだった」といいます。

今、学生が“働きたい!”と思う企業とは? 学生×キリン従業員の座談会

キリン従業員と学生が座談会している様子

ここからは、学生3名とキリンの若手従業員の座談会をお届けします。

今年で100周年を迎えたキリンビール仙台工場。これからさらに100年続いていく企業を目指すために必要なこととは? 学生がこれからの企業に求めることとは? みんなで今後の企業が目指すべき姿、仙台工場のこれからの100年について考えます。

笑顔の学生たち
発表を終え、緊張から解放。笑みが溢れる学生たち

―発表おつかれさまでした。無事に終えていかがですか?

鎌田(学生):緊張したけど、なんだかんだめちゃくちゃ楽しかったなというのが一番の感想です。学んできたことをみんなに発表してアウトプットしていくというのは、すごく楽しいと感じました。

吉川(学生):せっかく体験できたことを今日参加してくださった人たちに伝えたいという気持ちで発表しました。

漆原(学生):自分が学んだことが、みなさんに伝わっていたらうれしいです。

笑顔のキリン従業員
入社2年目のキリンビール仙台工場の従業員たち。左から、パッケージング担当の日置彩那、総務広報担当の小泉翔矢、醸造エネルギー担当の亀岡峻作

小泉(キリン):私もほっとしています。大学キャリア教育では『一番搾り とれたてホップ生ビール』という商品をフックにしつつ、みなさんにキリンという企業自体を好きになってもらえるような組み立てにしたいと思って準備してきました。今日の発表からもそれが伝わってきたので、私の想いも伝わったんじゃないかなと。聞いていて、グッときました。

今回の発表で「今後の企業に求めること」をテーマに挙げさせていただいたのは、学生の視点から考える「今後キリンがもっと地域の皆さんに愛されるためには?」や「魅力を伝えるためにどういうことが必要なのか?」を聞いて、私たちも学びたいなという意図もあったんです。

みなさんはちょうど、お客さま視点と学生視点の二つの軸で企業を見ることができる立場。座談会ではさらに、そんなみなさんが考えている今後の企業のあるべき姿やみなさんの目に映るキリンという企業のこれからについてお話を聞けたらと思っています。

話をする学生

―さっそくですが、これから社会人になるみなさんが働きたいと思う企業ってどんな企業ですか?

鎌田(学生):自分視点ですが、「成長」というのが大きなキーワードの一つです。今は一つの企業でずっと働いていくという時代でもないと思っています。それぞれ自分のビジネスを持っていたり、一人で稼ぐ能力を身につけたりするべきだと思っていて、そういう視点で企業を選ぶようにしています。

吉川(学生):僕はまだ定まっていないところではあるけど、鎌田さんも話していたように、自分の力をつけていくことは大切だと思います。自分の価値を見出して、自分軸で働いていくことが必要だなと。そういう意味では、若手の頃からいろいろと挑戦できる環境に身を置きたいなと考えています。

話をする学生

漆原(学生):私が今大事にしたいなと思っているのが、楽しんで仕事ができること。今回の活動で働いているみなさんの姿を見て、すごく生き生きと働いているなと感じました。もちろん大変なこともあると思うけど、自分にとって楽しいと思えるような仕事が選べたらモチベーションにもなると思う。自分が楽しいと思えるような仕事が一番だなと、今は思っています。

イチ消費者から、企業のファンに。ファンで居続けたいと思われる企業の姿勢

話をする学生たち

―先ほど「ファン」という言葉が出ましたが、ファンになってもらう、居続けてもらうためには企業にどんなつながりやアプローチが必要だと思いますか?

鎌田(学生):抽象的な話になりますが、「助けられたな」と思うとファンになるのかなと思いました。人や社会のために役立つことをするというのが一番の近道ではないかなと考えました。

また、ファンで居続けてもらうためには、キリンが僕たち消費者になにかして「あげる」だけじゃなくて、僕たちになにか「させる」というような主体をこっちに渡すのもいい取り組みなのかなと。実際に当事者になってみないとわからないこととか、やってみないとわからないこともあるし、自分ごとになりそうです。

話をするキリン従業員

―キリンのみなさんはどう感じていますか?

亀岡(キリン):先日、遠野市で行われたホップ収穫祭に参加したんです。そうしたら、「キリンの方ですよね!写真を撮ってください」とお客さまに声を掛けてもらって。私は醸造担当で、普段ずっと工場の中にいるのでお客さまと直接接する機会がないんです。でも、初めてお客さまと接して、こうやってキリンを愛してくれている方がいるんだと思うとうれしかったですね。

そんな方々をがっかりさせないよう、これからもおいしいビールを造ることが、キリンのファンで居続けてもらうために大切なことかなと思っています。

小泉(キリン):まさに、発表で鎌田さんが話してくれたように、味が好きでファンになる人もいれば、企業や人柄を見てファンになる人もいるし、それぞれだなと感じますね。

話をする学生たち

―逆に、消費者が「ファン」としてできることはどんなことがあると思いますか?

吉川(学生):自分がその商品を選ぶというのもそうだけど、自分から周りに広めていくことが応援という形になるのかなと思います。今回の大学キャリア教育みたいに、プログラムを通して伝えられる人数は限られるなかで、伝えられた僕たちがさらに伝えていけば、輪はどんどん広がっていくと思いました。

漆原(学生):企業が商品を売るときのPRとして企業が発信するより、実際に飲んだ人や食べた人のリアルな声の方が信頼できるなと感じます。自分で商品を選んで終わりではなくて、それを周りの人に発信していくということがファンとしてできる一つの方法かなと。実際に私も家族に今回知ったことや『一番搾り とれたてホップ生ビール』のことを話したら、買って飲んでくれました。

鎌田(学生):やっぱり、口コミの効果は絶大だと思います。どれだけ良い商品でも、「誰が伝えるか」ってすごく大事だと思います。企業自身が伝えるか、身近の信頼できる人が伝えるかでは違いますよね。

これから100年続くために、キリンにいま必要なこと

学生とキリン従業員の座談会の様子

―キリンがこれから先100年続くために、必要なのはどんなことだと考えていますか?

亀岡(キリン):学生のみなさんにも言っていただいた「誠実さ」だと思っています。今はSNSなどで気軽に発信できる時代。ファンも広まりやすい反面、逆に悪い噂もすぐに広まってしまうと思うんです。

だからこそ、正しいことをし続ける従業員であること、かつ自分が造っているビールが一番おいしいと自信を持って言えることが大切です。地味なことですが、信頼をコツコツと積み重ねていく。今できることを真摯に誠実に取り組んでいくことが必要だなと思います。

話をするキリン従業員
総務広報担当の小泉

小泉(キリン):広報担当としては、企業の魅力を伝えていきたいという思いがあります。細かい部分までこだわったモノづくりや誠実な姿勢は、入社するまであまり気づかなかったこと。どうしても機械で大量生産しているイメージのビールですが、人がこだわって造っている手づくり感も、農家の方々の想いもそうです。商品のおいしさはもちろんだけど、企業の魅力や裏で支える従業員の人間味みたいなところも伝えていきたいし、それが必要だと思っています。

日置(キリン):“人”を大事にするというところでは、社内と社外の両方が大事だなと思っています。社外ではファンをつくることが大事だし、社内では良好な人間関係が大事。人間関係が悪かったら、どれだけ仕事がうまく進んでいても、気持ち的に落ち込んでおもしろみは感じないですよね。だから人を大切にしてくれる会社はいいなと思いますし、キリンも大切にしているなと感じます。

あとは成長の機会を与えてくれるというのも、この会社のいいところ。人財育成という観点でも人を大切にしてくれていますし、今後も大切にしていけば100年後も続いていくのかなと思います。

大学キャリア教育を終えて変化した「社会人として働くこと」への印象

話をするキリン従業員
醸造エネルギー担当の亀岡

―働くことに対して不安やネガティブな印象を持っている学生が多いと思います。キリンのみなさんから先輩として一言お願いします。

亀岡(キリン):私も「仕事ってつまらなそう」というイメージを持って社会人になりました。でも最近は、そんなことないなと思い始めたんです。

例えば、自分がやったことに対して「亀ちゃんがやってくれたおかげで楽になったよ」とか言われると、「やってよかったな」と素直に思えるし、これまで人の役に立つって恥ずかしく思っていたけど、感謝してもらえると案外気持ち良いもんだなと(笑)。

人の役に立つというのは、やりがいにもつながるんですよね。社会に出て、人の役に立って、一緒により良い社会にしていきましょう。

話をするキリン従業員
総務広報担当の小泉

小泉(キリン):今回参加してくれて、本当にありがとうという気持ちでいっぱいです。キリンに入社して、大学キャリア教育をやっている瞬間が僕の一番のやりがいだったりしています。みなさんの発表を通して、キリンのファンになってくれたのかなと感じてうれしく思っています。

就職活動や働くことに対して不安もたくさんあると思いますが、まずは今やっている研究やアルバイトを一生懸命に頑張ってほしい。面接でも自分が頑張ってきたことを今日のように自信を持って話せば、面接官にはしっかり伝わると思います。社会人も意外と楽しいことばかり。学生とはまた違う楽しみがあるので応援しています。

話をするキリン従業員
パッケージング担当の日置

日置(キリン):私も仕事をするまでは、「社会人ってどうなんだろう」ってモヤモヤしていたときもありました。大学って人生の夏休みって言われるくらい自由で時間もある。いきなり拘束されて嫌だなと思いながら社会人になりました(笑)。でも今は、めっちゃ楽しいって思えています。こんなに楽しくてやりがいも感じられるんだっていうのが、今純粋に感じていること。安心して社会人になっていいよって伝えたいです。

話を聞く学生たち

―最後に大学キャリア教育や今日の座談会を通して、「仕事」や「働くこと」に対しての印象は変わりましたか?

吉川(学生):就職してついていけるのかという不安もあったけど、少し楽になりました。みなさんのお話もそうだし、大学キャリア教育で僕たちのためにいろいろと準備してくださって、関わるすべての人がこだわりや情熱を持って働いていて、自分もああいうふうになりたいな、かっこいいなと思えました。社会人が「ならなきゃいけないもの」から「なりたいもの」に変わりましたね。

漆原(学生):1年生の早いうちから参加して本当に良かったなと思っています。まだ働くイメージが湧かないし、実際に入ってみないとわからないことってあると思うけど、実際に働いているみなさんの姿を見て、こうやってお話が聞けたことはとても貴重な経験です。これから将来を考えていくうえで、大事なことをたくさん学べて良かったと思っています。軽い気持ちでエントリーした過去の自分に感謝しています。

鎌田(学生): 参加するまでは働くことに対して不安がありましたが、「人の役に立つのって案外気持ち良いかも」という亀岡さんの言葉を忘れないようにしたいと思いました。そうしたら、社会人になっても怖くなくなるかもなと。こうやって楽しんで働いている先輩たちがいる、そう思って頑張りたいと思います。

学生とキリン従業員の集合写真

今回の大学キャリア教育を通して、企業や社会人になることへの印象がガラリと変わったと語った参加学生たち。同時に、これから先に企業が必要なことなど、学生たちからキリンも大きな学びを得ることができました。

今回の経験を胸に、参加学生たち、そしてキリンはこの先の未来に向けてまた一歩踏み出していきます。

来年も実施予定のキリンビール仙台工場大学キャリア教育。どんなプログラムになるのか乞うご期待ください。

文:高野瞳
写真:飯本貴子
編集:RIDE inc.

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