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おいしく食べたいお客様を応援。『カロリミット』のヒットの裏側と、これからのこと

2019年に資本業務提携を結んだ“食と医のキリン”と“美と健康のファンケル”。両社の共通項や企業文化を紐解き、互いに補完しあうこれからの可能性を探る連載「#ファンケルとキリン」の第5回目は、おいしく食べる幸せをサポートする、ファンケルのサプリメント『カロリミット』のヒットの裏側に迫ります。

2000年の発売以来シリーズ累計8000万個(※)を突破したロングセラー商品として今なお多くのお客様に親しまれている『カロリミット』のネーミングの由来から大事にしていること、そしてファンケルとキリンのコラボ商品であるノンアルコールチューハイ『氷零カロリミット』の開発秘話、これからの『カロリミット』の展開を探ります。

※「カロリミット」「大人のカロリミット」販売実績概算2000年5月~2022年7月末実績 

今回は、キリンからファンケルに出向中の柿木綾音を聞き手に、ファンケル健康食品事業本部商品企画部 商品企画第二グループの五十嵐良美さんにお話を聞きました。

【プロフィール】五十嵐 良美
株式会社ファンケル 健康食品事業本部商品企画部 商品企画第二グループ 課長。

【プロフィール】柿木 綾音
株式会社ファンケル 健康食品事業本部商品企画部 商品企画第二グループ。2022年4月よりキリンホールディングスより出向。 


おいしく食事を食べる幸せを提供する『カロリミット』

柿木:今日はよろしくお願いいたします。最初に『カロリミット』が生まれたきっかけを教えてください。 

五十嵐:『カロリミット』は2000年に発売されましたが、開発自体はその少し前の1990年代から始まっています。1990年代といえば、ちょうどキトサンや大豆のサプリメントが出始めた頃で、ダイエットサプリメントが世に受け入れられ、ヒット商品が出てきた時代です。
 
ダイエットをしたい女性に対してどんな商品を提供したらいいのか。それがそもそもの開発の出発点でした。なので、「ダイエット中でもおいしく食べたいね」とか「おいしく食べた先に毎日楽しく幸せに暮らしたいよね」というお客様が真に求めるものに向けて、コンセプトを決めていきました。

歴代のカロリミットのパッケージ

柿木:『カロリミット』という商品名も印象的ですよね。 

五十嵐:ネーミングはすごく悩みました。造語になるとなかなか浸透しにくいですし、いろいろと商品が並んでいる中で、手に取る前に「これはなんだろう?」と考えさせてしまうのも違う。何をしてくれる商品なのかがすぐ分かるようなネーミングということで、『カロリミット』に決まりました。

 柿木:ネーミングも大きな理由だと思いますが、『カロリミット』がヒットしたきっかけは何だと思いますか?

五十嵐:2010年に「いっぱい食べる君が好き」という曲を使ったテレビCMを放映したことが世に知られる大きなきっかけだったと思います。おいしそうに食事をする男女が出てくるCMで、「いっぱい食べる君が好き」というところに共感していただきました。

特に当時は「スリッパ履くだけダイエット」など「○○だけダイエット」が流行っていました。また、食事内容を記録する「レコーディングダイエット」もブームでした。すごくストイックに食生活を制限しようというよりは、生活の中に取り入れやすく、続けやすいダイエットが受け入れられている風潮でしたので、「食べたいものを無理に我慢しなくていいんだよ」と肯定したところをご支持いただいたのかなと思います。
 
そのテレビCMを放映する前から、実は『カロリミット』は着実にお客様からの人気を集めていました。直営店舗やファンケルのホームページからご購入いただくお客様は、一度『カロリミット』を買うと、継続してくださる方が多くて。商品を知っていただく機会が増えれば、もっと多くのお客様に受け入れられる商品になるなという前兆は感じていました。

柿木:カロリミットのヒットをきっかけに生まれた商品はあるのですか?

【カロリミット】
※届出表示:本品には桑の葉イミノシュガー・キトサン・茶花サポニンが含まれます。本品は、食事の糖や脂肪の吸収を抑えて、食後の血糖値と血中中性脂肪値の上昇を抑える機能があります。本品は糖、脂肪が多い食事をとりがちな方に適しています。
※本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。 ※疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
※食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。



【大人のカロリミット】
※届出表示:本品には桑の葉イミノシュガー・キトサン・茶花サポニン・ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンが含まれます。本品は、食事の糖や脂肪の吸収を抑えて、食後の血糖値と血中中性脂肪値の上昇を抑える機能があります。またブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンは、脂肪の代謝を助け消費しやすくする機能、BMIが高めの方の腹部の脂肪を減らす機能が報告されています。
※疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
※特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別審査を受けたものではありません。
※食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
※健康的なダイエットには適切な食生活と運動が必要です。

五十嵐:ヒットしたことにより、商品企画部はもちろん、全社的に担当部門以外からも『カロリミット』が大事な商品であると認識されたことで、部門の垣根を超えて『カロリミット』をもっと多くのお客様に届けよう、よりよくしていこうという考えが広がっていきました。

そこで生まれたのが『大人のカロリミット』です。どうしても年齢とともに代謝が落ちてくる。そうすると、糖や脂肪の吸収を抑制するだけではなく、脂肪の代謝を助け消費しやすくする機能も必要ということで、生まれた商品です。

柿木:今までのお話を聞いて思ったのですが、『カロリミット』が他のサプリと違うところは、単に機能をお伝えして、機能でお客様に買ってもらおうというだけではなくて、その先にあるお客様の生活や幸せを大切にしている点なんですよね。脂肪や糖の吸収を抑えるというだけではなくて、その先でおいしく食事を食べる幸せを提供している。それが魅力的だなと思いましたし、すごいことだなと思っています。

だからこそ、お客様と商品の間に、エモーショナルなつながりを感じるんです。機能だけではなく、『カロリミット』という商品を愛してくださっている。このブランド自体をすごく好きでいてくださっているお客様がたくさんいるのは、本当にすごいことだなと思っています。

お客様の喜びや幸せを一番に考えているからこそ

柿木:2019年にキリンとファンケルは資本提携をしました。私のように出向して一緒にお仕事をさせていただくメンバーも増えています。五十嵐さんが感じるキリンとファンケルに共通する部分やシナジーを感じる部分があったら教えてください。

五十嵐:すごく感じるところがあります。私はキリンさんのいろいろな方とお話させてもらう機会があるんですけど、考え方がそもそも似ているなとずっと思っていました。

我々ファンケルは「正直品質。」と掲げ、お客様に対して誠実なものづくりやサービス提供をしていますが、キリンさんも「お客様本位」という言葉を大切にしていますよね。お客様の視点でものづくりをする。深くお客様を理解し、ちゃんとものを作っていこうという姿勢を貫く。お客様を見て、ものやサービスを展開していこうという点が一番共通しているところかなと思うんです。
 
特にダイエット商品は市場がめまぐるしく、もはや機能だけではなかなか差別化できない。その中で、「お客様のニーズはどこにあるのだろう」、「本当に商品に対して期待していることは何だろう」、そういうところをより深く考えていくときに、美と健康のファンケルに、食のプロフェッショナルとして知見のあるキリンから柿木さんがジョインしてくれたことで、カロリミットブランドのさらなる拡大につながるのではないのかなと考えています。

柿木:私はもともと「自然と人を見つめるものづくりで、『食と健康』の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します」というキリングループの経営理念の「よろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します」というところにすごく共感しているんです。ただおいしいものを届けるだけではなく、その先にあるお客様の喜びや幸せを大切にしているということが伝わるメッセージだと思っています。

ファンケルに来ても、それはすごく感じていて。創業者の池森賢二さんが「人間大好き企業」と仰っているように、お客様のことを心の底から大切に思い、その「不」を解消していこうというスタンスや、お客様が喜んでくださっているかどうかを全ての判断基準にするという考え方のもと、世の中に健康で美しい人を増やしていこうとしている。キリングループの目指すところと一致している考えだと思います。
 
だからこそ、自分が今までキリンという食領域で培ってきたお客様に対する理解や考えを、ファンケルさんの美と健康という分野でも活かして、新しい価値を生んでいけるのではないかなと。可能性がたくさんある気がして、すごくワクワクしています。

ファンケルに着任して印象的だったのが、着任最初の研修が「ファンケルを化粧品企業や健康食品の企業だと思ってないですか?」という問いかけから始まったんです。ファンケルはお客様の「不」を解消するというのが事業の根幹で、それを形にしたものの一部が化粧品や健康食品というだけなんですよというお話を伺って、感動したんですね。

実際今もすごくいろいろな新規事業にチャレンジしていて、お客様の「不」があったら、そこに飛び込んでいって、正義感をもってファンケルが解消していくんだ、という気概が感じられる。その会社のDNAがとっても素敵だなと思います。

おいしいのに、機能性もあるノンアルコールチューハイ『キリン×ファンケル ノンアルコールチューハイ 氷零カロリミット®』

※届出表示:本品には難消化性デキストリン(食物繊維として)が含まれています。難消化性デキストリン(食物繊維として)には、食事から摂取した糖や脂肪の吸収を抑える機能があることが報告されています。
※本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。
※本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
※食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。

五十嵐:キリンとファンケルのシナジーのひとつとして、一緒に生み出し、2020年に発売したノンアルコールチューハイ『氷零カロリミット』がありますよね。

柿木:ノンアルコール飲料は、車を運転するときなど、一部の限られた方が、「本当はお酒を飲みたいけど、我慢してしょうがないから飲むもの」というイメージがどうしても強いことがネックでした。より多くの方に日常のなかで、「これだったら自分も生活に取り入れてもいいな」と思ってもらえるノンアルコール飲料をもっと増やしていきたいと考えていました。
 
そこで、多くのお客様の関心があり、かつファンケルさんが得意とする健康の領域で、『カロリミット』と一緒にコラボすることで、新しい価値が生まれるのではないかというところがきっかけだったと聞いています。

五十嵐:最初に商品の概要を聞いたとき、面白そうだなと思いました。サプリメントの『カロリミット』は粒タイプなので、毎食摂取するのはなかなか難しいと感じる方もいらっしゃいます。ノンアルコール飲料にすることで、食事と合わせてより気軽に摂取ができますから、より多くの方が『カロリミット』と接点を持てる機会になるのではないかと思いました。
 
柿木:実際にサプリメントに興味があったけれどなかなか手を伸ばしづらかったという方々にもご支持をいただいていますよね。飲料なので飲み忘れずに食事とともに楽しめますし、粒だと飲みづらいと感じていた方も気軽に摂取できるのだと思います。

五十嵐:ちなみに『カロリミット』そのものは、美と健康というファンケルの理念に共感した女性のお客様がメインのターゲットではあるのですが、『カロリミット』のコンセプトは男性にも受け入れられています。また、年代に関しても、20代から50代までの幅広い年代の方に受け入れられています。
 
柿木:すごいですよね。サプリメントでそんなに幅広い年代の方に愛されるというのは。やはりおいしく食べて、幸せに元気で過ごしたいという人間の根本的な欲求に商品の原点があるからなのでしょうね。「不」の解消というところを目指した商品だからこそ、これだけ愛していただける商品ブランドなんだなと思います。

五十嵐:開発の過程で苦労したのはやはり味でしょうか。
 
柿木:そうですね。そこはキリンのプライドにかけて、絶対においしいものを世の中に出したいという強い気持ちがありました。ノンアルコールチューハイとして食事に合い、『カロリミット』の名に恥じない機能もちゃんとある。味づくりのところは苦労や工夫がありましたね。
 
例えば、ただの炭酸飲料ではなく、ノンアルコールチューハイなので、少しアルコールっぽい印象に繋がるよう、苦味くみを感じてもらうようにしました。まるでアルコールのチューハイを飲んだときのような満足感を感じてもらえるよう、複雑味のある味わいに仕上げています。フレーバーも食事に合わせやすいよう、レモンとグレープフルーツの2つのフレーバーで発売しました。 

五十嵐:すごくおいしいですよね!試作品の段階から飲ませてもらっていたんですけど、誰かが気になる点を言えば、キリンのみなさんがすぐに改善してくれるんです。
チューハイっぽい印象を残しつつ、スッキリとした味わいでおいしく飲めるんですよね。実は私も毎週末、楽しみに飲んでいます。

ファンケル×キリンで、もっと多くの人を幸せにできるはず 

五十嵐:今後の展開でいうと食のプロフェッショナルであるキリンさんが側にいるわけですから、キリンさんの強みを生かした商品をファンケルで作ることができたら面白いなと思います。

柿木:先程お伝えしたように、私たちは商品として出す以上、おいしくないものは出さないという思いを常に持っています。
ファンケルさんもすごく研究開発に力を入れていて、お客様が飲みやすいような粒を研究されていたり、健康に作用する成分探索をされていたり、たくさんの知見も持たれている。
 
キリンとファンケルが協力しておいしさと機能性の両立を追求していくことで、さらにお客様の幸せに貢献できると思うんです。その点は、今担当としてワクワクしているところなので、これからもご期待いただければと思っております。

編集部のあとがき

インタビュー中、「拠り所」と「ブラッシュアップ」という言葉が浮かびました。

企業としての目指す姿とお客様の声を拠り所にしながら、時代に合わせて少しずつブラッシュアップしていくこと。これを繰り返していく先に、「ロングセラー商品」になっていくのだと気付かされました。
 
文:五月女菜穂
撮影:田野英知
編集:RIDE inc.


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