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キリンビールサロン第5期を振り返って

ビールのおもしろさを知り、ビール好きな仲間と出会う場として、2019年に発足したキリンビールサロン。
2023年12月に始まった第5期も、今年の3月に最終回を迎え、その幕を閉じました。

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“原点回帰と進化するビール”というテーマを掲げ、もっとビールを楽しんでいただけるようなサロンにしていきたいという思いでスタートした第5期。第3期までメイン講師を務めていた草野裕美からバトンが渡され、第4期、第5期とメイン講師を勤めた後藤沙耶香が振り返ります。

キリンビールサロン講師の後藤沙耶香

【プロフィール】後藤 沙耶香
キリンアンドコミュニケーションズ株式会社 工場広報事業部 企画担当 キリンビールセミナー・キリンビールサロン担当。
キリンビールセミナーで、さまざまな視点からビールの楽しさを伝えている。キリンビールサロンでは、第4期より講師を担当。

「もっと皆さんの話を聞いていたい!」
最終回の講座を進行している間も、終了後も、純粋にそう思いました。

5期生一人ひとりのお話は魅力的で、個性があふれ、ビールやキリンビールサロンに対する考え方や感じ方から、そのお人柄が表れていました。

キリンビールサロンは全5回の体験型サロンで、毎月同じメンバーで集まり、「これからのビール」について考えます。

各回で2時間半以上のお時間をいただいていることから、毎回時間内に収める心構えでした。最終回は皆さんのお話をじっくり聞く回ではありましたが、前回より人数も少ないため、もしかしたら時間が余るのではないかと懸念していました。しかし、そんな心配は全く不要で、時間いっぱいに盛り上がったのです。

毎期、最終回の卒業式では、「そう感じておられたんだ」「こういう一面がおありなんだ」と、一人ひとりの意外な一面を知ることができたり、おもしろい発見につながったりする回として、大変盛り上がります。今回も想像を超えた回となり、つい私自身ものめりこんでしまいました。

前回の第4期の振り返りでは、反省点が目立ってしまったなと感じました。今期も、もちろん反省点は多々ありますが、講師として2回目のキリンビールサロンで見えてきたことなどをポジティブに振り返りながら書き留めようと思います。


“キリンビールサロンらしさ“を実感。みんなで作り上げていく場所

キリンビールサロン最終回での乾杯の様子
キリンビールサロン第5期最終回での乾杯の様子

まずは、忙しい日々をお過ごしの5期生の皆さんへ、このキリンビールサロンにご参加いただいたことに心から感謝申し上げます。そして、今回も素晴らしいメンバーとゲストの皆さんにご参加いただけて、改めてキリンビールサロンはみんなで作り上げていく場なのだなと感じました。

第5期のテーマは、「原点回帰と進化するビール」。これは、今までのキリンビールサロンを通じて、メンバー皆さんの変化を見てきたからこそのテーマでした。

キリンビールサロンでは、初回と最終回で「今のわたしの好きなビールとその理由」を発表いただきます。これは、キリンビールサロンに参加する前後で、ご自身にどんな変化があったのかを見るためです。初めに選んだビールと変わる場合はもちろん、変わらなかった場合でも、その理由をお聞きします。

第1期からは、エール系のビールを選ぶ方が多かったのですが、第4期では初めて、ラガー系のビールを選ぶ方が多くなりました。さらに、その中にはコンビニやスーパーで手に入りやすいビールも並んでいました。もちろん、第1期から「原点に戻ってくるビール」として、そのようなビールを挙げているメンバーはいましたが、その人数が多くなってきたなという実感が徐々に増していったのです。いろいろなビールを試してきたなかで、一周回って「飲み続けたくなるビール」に落ち着いたという声も多く聞こえてきました。

一方で、現在のビールは進化を続けていて、品質の向上はもちろん、新たなおもしろさを生み出しています。2019年のサロン開始以来、さらにビールの選択肢が広がっているなと、メンバーが選んだビールを見ながらその変化を実感しています。もちろん、ブルワリーの数が増え、ビール自体の種類も増えたことで選択肢が広がったことも理由の一つです。
キリンビールサロンを始めた頃は、自分の地元のビールや人に紹介したいビールを選ぶ傾向が強かった印象ですが、それに加えて最近では以下の理由でビールが選ばれることが増えています。

「自分が本当に好き」
「このブルワリーの背景や想いが好き」
「いろいろ飲んできたけど、いつも安心して安定の味を楽しめる身近なビールの魅力を再発見した」
「このブルワリーはいつもパッケージがかわいい」

世の中の動きやビールを取り巻く環境の変化や進化、日本でのビールの広まり、そしてそれに伴う人々の心の変化が重なって、好きなビールを選ぶ基準も細分化されてきたと感じています。

これからもわくわくするビールがどんどん生まれていくのだろうなという期待や、皆さんがこれからのビールに対してどう感じているのだろうという好奇心、そして現在の国内外のビール事情やメンバーの傾向を見てきて、第5期のテーマは比較的すんなりと決まりました。

おもしろいことに、キリンビールサロンは各期キャラクターが違いますが、「キリンビールサロンらしさ」はどの期にも共通していて、ブレることはありません。5期生は、「ビールは詳しくないけどビールを知りたい、楽しみたい」という方が多く、一方で各地のブリュワーやビールに関する記事を書いている方も数名参加していました。しかし、キリンビールサロン全期に共通するのは、知識の有無に関わらず、全員が「フラットに携わり、自分が楽しもう」というマインドをしっかり持っていることです。

さらに5期生は「もっと楽しむにはこうしたほうがいいのではないか」という意見を素直に運営側に伝えてくれ、運営側と参加側がともにより良い場を作るために、自分の意思表示をはっきり示してくださる方が多くいました。

5期生の「キリンビールサロン参加のきっかけ」を見ると、驚くことに半数がご友人の紹介での入会でした。以前、運営メンバーと「キリンビールサロンはこうなるといいね」と話していたことが、現実になっていました。

第1期から素晴らしいメンバーが集まっていて、そのメンバーからの紹介となれば、やはり素敵な人たちが集まるのです。友人の紹介でない方々も、これまでのキリンビールサロンの様子を見て応募を決めてくださったり、noteをじっくり読んでくださっていたり、参加メンバーやゲストのSNS投稿で知ってくださったりと、自然と「キリンビールサロンらしさ」が皆さんの力によって形成されてきたということは言うまでもありません。

第1期以来のリアル開催。同じ空間で乾杯できるよろこび

キリンビールサロンのリアル開催の様子
東京・日本橋の「B by the Brooklyn Brewery」で行われたリアル開催の様子

第5期では、すべてをオンラインで実施するのではなく、1回だけ対面でお会いする機会を設けました。これは、第1期以来のリアル開催です。

第2期から第4期まではすべてがオンライン開催だったため、全国から参加できるというプラスの面がありました。ビールをきっかけにした全国のつながりを大切にしたい一方で、リアルの交流を求める声も高まってきている…。そこで、オンラインでのつながりを大切にしつつも、サロンメンバーの熱量なら、1回だけであれば全国から集まってきてくれるのではないか?ということを考えました。

結果的に、ご事情があって来られない方を除いて、ほぼ全員がリアル開催会場の東京・日本橋にある「B by the Brooklyn Brewery」に集まりました。遠方からお越しいただいた方も少なくありません。実際にリアルでお会いして、皆さんのパワーに圧倒されたと同時に、皆さんが笑顔で乾杯していることに感動しました。「乾杯」はとてもシンプルなことですが、それだけで笑顔になったり、気持ちが通じたり、感情を分かち合ったり、一緒の空間にいられることのよろこびを与えてくれることに気付かされました。

キリンビールサロンのリアル開催の様子

このリアル開催はバタバタとしてしまって、時間が足りない!という状況ではありましたが、メンバー同士が直接交流できる貴重な機会となりました。これをきっかけに、メンバーがよりお互いを知り、話しやすくなった方もいるのではないかと勝手ながら思っています。

また、同会場で1期生から5期生までの有志による懇親会も開催され、なんと50名以上が参加し、期を越えた交流を楽しんでいました。5期生だけでなく、1期生から4期生までのメンバーの中にも首都圏外から参加者された方もいて、それぞれの地元のブルワリーについて紹介する会話も聞こえてきました。このコミュニティ内で全国各地から集まって話し合う様子は、第1期開催時には想像できなかった光景です。

講座後に自由参加として、リニューアルされたキリン商品の試飲会を実施

キリンビールサロン講座後の試飲会の様子
キリンビールサロン第5期4回目講座後の試飲会の様子

キリンビールサロンは立ち上げ当初から、自社他社にこだわらず、自分たちがおすすめしたいビールは紹介するスタンスを貫いてきました。そのため、皆さんからは「キリンの宣伝はしなくていいのかな?」「今回もキリンビールの紹介がほとんどなくて驚きました」といった感想をいただくことも。同時に「キリンの想いも聞いてみたい」というご意見も多く寄せられていたのです。

私たちはキリン商品をあまりにも身近に感じていたため、かえって客観的に見ることができていなかったのかもしれません。皆さんからの言葉で、「キリン商品もいい商品なんだよね」と改めて気付かされたのです。これをきっかけに、新しいことにも挑戦してみようと企画を練ることにしました。皆さんに背中を押された気持ちです。

そこで、第5期4回目の講座後に自由参加として、1期生からの卒業生も参加可能なキリンのリニューアル商品の試飲会を設けることにしました。メンバーには、突然の自社商品のPRで方向転換をしたと受け取られないように、先述のような理由と想いを先にお伝えしました。

正直、メンバーがどんな反応をするのか緊張していましたが、私たちの説明を聞くとすぐに「OK!楽しそうだね!やってみよう!」といったポジティブなリアクションを返してくれました。

キリンビールサロンのオンライ講座での様子

皆さんがとても真剣に味わっている姿を見て、自分たちの言葉で味わいを表現していく様子に、「こんなにもキリンのビールと向き合っていただけて、なんと稀有な時間なのだろう」と胸がいっぱいになりました。

私たちはいつも皆さんと一緒にサロンを作り上げている感覚がありますが、先入観にこだわらない皆さんの柔らかな姿勢に何度も救われてきました。そのおかげで、よりおもしろいことに積極的に挑戦でき、キリンビールサロンが進化し続けてきたことを実感しています。

さらに、「リニューアル前もリニューアル後もおいしい」という感想を直接多くの方からいただたことは、ダイレクトコミュニケーションならではの貴重な経験でした。また、今回の講座以外でも、商品を購入したことがあるという方がほとんどで、キリンビールサロンを運営していると、常に皆さんからサプライズを受けているような気分になります。

最終回を終えて、メンバーの皆さんから寄せられた声

キリンビールサロン最終回での乾杯の様子
キリンビールサロン第5期最終回での乾杯の様子

変化と進化を実感した第5期の最終回。冒頭でお話ししたように、もっと皆さんのお話を聞いていたかったほど名残惜しい時間でした。皆さんが感じたことや、これからのビールとの付き合い方は十人十色です。メンバー同士のコミュニケーションもだんだんと活発になっていき、皆さんの笑顔を見ていると、卒業式を中止したいぐらいの気持ちになりました。皆さんの感想やご意見をいくつか抜粋して、ご紹介したいと思います。

サロンに参加したことで、よりビールが愛着深いものになりました。これからは家飲みに限らず、お店やブルワリー、セレクトショップや角打ちなど、外に出てビールを楽しむ機会を増やせたらいいなと思っています。つい先日、出先の鎌倉で初めての居酒屋にえいやっと飛び込んでみたところ、出てくる料理がどれもおいしく、何よりも『一番搾り』の生ビールがニコニコしてしまうくらいにきれいで幸せな味でした。サロンに参加したからこそ味わえた一杯でした。

キリンビールサロン、学びも多かったのですが、それよりも人とのつながりがとても印象に残りました。同期の皆さまはもちろんのこと、OBの方々ともお話しできる機会があったこと、そしてつながれたことをとても幸せに思います。

毎月届くキットも待ち遠しく、こんなにビールと向き合ったことがない楽し過ぎる半年でした。これまで「アルコールを学ぶ」というと、日本酒やワインをイメージし、本を手にとったりしていましたが、工程の長さや諸外国まで範囲が広がるなどで面倒臭くなり楽しさはあまり感じませんでした。今回知人に勧められ、このサロンでビールを学んで「やっぱり私はビールが好き」ということを確実に認識するきっかけとなりました。とっても有意義な時間を過ごせたので、私も知人に勧めたいと思います。いつまでも5期生であったことを誇りに思い、こちらで学んだことを飲み会でみんなに語り続けたいと思います。

ご紹介したお声以外にも、温かくうれしい言葉がたくさん寄せられ、メンバー皆さんの素敵な人柄が表れているなと感じています。

キリンビールサロン最終回ではいつも、講師がその期のメンバーに向けてビールを選び、お渡しする際にそのビールに込めたメンバーへの想いをお伝えしています。
5期生の皆さんへ贈ったビールは、伊勢角屋麦酒さんの『Sailingday NZ IPA』でした。このビールの名前には、「航海日」という言葉が込められています。卒業後に新たなビールの楽しみへと出航する方、4月に環境が変わり、新たなスタートを切る方などもいらっしゃることから、ぴったりのビールだと思い選ばせていただきました。

また、このビールはニュージーランド産の新作ホップを使用しており、伊勢角屋麦酒さんの長年の技術と進化が融合しています。そうした背景も、第5期のテーマと重なりました。さらに、ラベルに描かれた帆船が風を受けて進む姿は、皆さんの軽やかな風を受けて前進するサロンをイメージさせます。そのような思いを込めて選んだビールでした。

第5期を終えて、メンバーの皆さまへ

ハートランドビールとキリンビールサロンのグラス

第5期が終了した今、メンバー皆さんの様子は引き続き、さまざまなSNSを通じて拝見したり、つながりのある方々から聞いたりしています。メンバー同士でイベントに参加して楽しんでいる姿、自分で企画を練ってイベントを主催している姿、メンバーが勤めているブルワリーに訪問した様子など、それぞれの楽しみ方でビールと付き合っている姿を見聞きすると、こちらも心が弾みます。

これからのキリンビールサロンもまた変化や進化を遂げていくかもしれませんが、引き続き皆さんとのつながりを大切にし、皆さんがそれぞれにビールを楽しんで刺激を与えあう関係であり続けていただきたいと思っています。

またお会いしましたら、ぜひ「乾杯」をよろしくお願いします!

KIRIN BEER SALON(キリンビールサロン)は2023年~2024年に開催されました第五期をもって終了いたしました。第六期以降の開催は予定しておりません。

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