スターバックスさんと考える、サステナブルな取り組みを推進するために大事なこと【CSVチャンネル vol.3】
2027年にKIRINが世界のCSV先進企業となる。
そんな未来をイメージしながら、座談会・勉強会などを通じて、従業員がCSVを自分ごと化して考えていく過程をお届けしていく「CSVチャンネル」。
今回は「People」「Planet」「Community」の観点から、サステナブルな取り組みを進めているスターバックス コーヒー ジャパン 株式会社さんとの対談です。
スターバックスでは、一緒に働くすべての従業員のことを「パートナー」と呼んでいます。店舗や本社で働くパートナー同士が、どのようなつながりを持って取り組みを推進しているのか?キリンとの共通点についても触れながら、未来に向けた工夫や姿勢について話しました。
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スターバックスが大事にする倫理的な調達
金田:まずはスターバックスさんから、パートナーやお客さまとのつながりについて触れながら、現在行っているサステナビリティへの取り組みについてお話していただき、その後ディスカッションしたいと思います。
池田:それでは最初に、スターバックスがミーティングや研修の時に行っている「コーヒーテイスティング」の体験からイベントをスタートします。
今日は、『パイクプレイス®ロースト』というコーヒーをご用意させていただきました。シアトルにある1号店が「パイクプレイスマーケット」という場所にあり、そちらの名前を冠した特別なコーヒーです。
スターバックスのコーヒーには、それぞれストーリーがありまして、このコーヒーにも特別な思いが込められています。
スターバックスは創業以来、深煎りで、個性が強く力強い風味のコーヒーが主流でしたが、それだけでなく、スターバックスが目指している「人々の心を豊かで活力あるものにする」を実現するため、バランスが取れ、風味豊かで、毎日楽しめるコーヒーを創りたいという、CEOのハワード・シェルツの思いがありました。
名前に1号店の名前を入れることで、過去を大切にしながら、未来を切り拓いていこうという思いが込められています。今は、日本でも人気のコーヒーとして親しまれています。
スターバックスは、コーヒーの調達において、正しい方法で全ての方に活力を与えるように調達しようという方針を持っています。それを“Ethical Sourcing(エシカルソーシング)”と呼んでいます。
コーヒーは、今となってはどこに行っても手に入るものですが、決して当たり前のことではないんです。コーヒーの持続可能性を高めていく必要性があります。スターバックスは4つの取り組みを軸に調達しています。それがこちらです。
スターバックスのコーヒーを通して、こういう取り組みを知っていただくことが、地球環境の持続可能性を高めていく一歩になるのかなと思います。
高橋:先ほど池田からもあったように、スターバックスには「人々の心を豊かで活力あるものにするために-ひとりのお客さま、一杯のコーヒー、そして一つのコミュニティから」という行動の指針があります。
「ミッション」や「パーパス経営」という単語がありますが、個人的にはパーパスとミッションは少し異なると感じています。
ミッションは未来に視点があって、パーパスは今に視点があるもの。ミッションは外向きの言葉だけれども、パーパスは内発的な言葉。それを持って企業が、社会課題にどうやって責任を持って取り組むかというニュアンスで使われる言葉だと思います。
スターバックスのミッションは、“今までスターバックスがどうあって、これからスターバックスがどうあるべきか”というような、シンプルにその姿を表す言葉だと思っています。
ミッションがあることによって、スターバックスがあるべき姿を目指して、私たちに何ができるのかっていうことを考え、サステナビリティや新しいプロジェクトに対して一丸となって取り組むことができるんです。
共通のレンズになっている言葉があるからこそ、スターバックスらしい取り組みが生まれると感じています。
もう一つ、スターバックスの姿を表す言葉で、「企業リーダーとして私が求めるのは、常に利益と社会的良心を両立させようとする、優れた永続的な企業を築くことである」というCEOのハワード・シュルツの言葉があります。
企業が株主を満足させるためには、株主だけに向くのではなくてコーヒーの栽培農家や、お客さま、バリスタ、私たちパートナーにも配慮をしていく必要があるということを意味しています。
スターバックスは、お客さまやバリスタ、パートナー、コミュニティを巻き込みつつ、人や社会、地球環境、地域コミュニティにより貢献しながら成長していきたいと考えています。
特に、地球環境については、新たな取り組みをどんどん進めています。2020年にスターバックスは、“リソースポジティブカンパニー”になるという目標を発表しました。
これは、私たちが資源を消費するだけではなく、地球に還元することを目指すという意味の言葉です。
店舗から出るコーヒー抽出後の豆かすや賞味期限切れフードなどの廃棄物、プラスチック素材の削減、店舗で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えるなどのアクションを加速させています。
こうした取り組みを続けていくことで、お客さまと一緒にサステナブルな社会の実現に向けて、歩みを進めていこうと考えています。
大阪・河内長野高向店でのサステナブルな取り組み
趙:私からは、店舗で行っている取り組みについて紹介させていただきます。河内長野は大阪府の南部の方に位置しており、土地約70%が森林になっているような自然豊かでのどかな場所です。
2021年の夏に河内長野市初の店舗として出店し、お店は地元のおおさか河内材をふんだんに使った空間で、木の温もりを感じられるような店舗になっています。
地元の木材を使うだけでなく、地元の大阪府森林組合さんと一緒にコーヒーの豆かすのリサイクルを独自で行っていて、地域コミュニティとのつながりが強いお店です。
単におおさか河内材を使うだけではなくて、パートナーと地元の人々が協力して一緒に地域の課題を解決していける場所になることを目指して始めたのが「たい肥作り」です。
実際にこのたい肥を成分分析に出したところ、土壌改良効果が期待されることがわかりました。お店で作った豆かすたい肥を使って植物を植えることに成功しています。
お店では月1回のたい肥作りだけではなくて、週に2度、観察・攪拌・水分補給を行って、たい肥の観察記録をつけています。季節や気温などに応じて発酵のスピードや土の様子も変化していくんです。
現時点では、お店で廃棄されているコーヒーの豆かすをたい肥にして、店舗設置のコンポストで管理保管していますが、ゆくゆくはお客様にも参加していただき、お店で買ったコーヒーをお家で入れたときにご自宅でたい肥を作っていただける仕組みを作れると良いなと感じています。
また、お店で作った豆かすたい肥で苗木を育てて、それを河内長野の森にかえすことで森林が循環するという未来も夢見ています。
実際に日々一緒に活動している森林組合さんのお話で、私自身がすごく感銘を受けた言葉があります。
「大きな未来の変化を生み出したり、未来をデザインしていくためには目の前の小さなことをコツコツと愚直にやっていく必要がある。失敗も成功もいろんな情報を実験的に行いながら未来の変化に向けて、小さなことでも行動を起こしていくことが大事だ」。
この私たちが行っている豆かすたい肥の活動も、うまくいくことばかりではないですが、未来に少しでも変化を生み出せるように活動を行っています。
その豆かすのたい肥作りをきっかけに広がった活動として、「どんぐりウォーク」という活動も行っています。
お店で作ったたい肥の中に、どんぐりを植えるとどんどん芽吹き始めて、青々とした芽がたくさん育ってきていました。そして先月、お店で作ったたい肥と赤玉という無機質な土を合わせたものにどんぐりを植え替え、森林組合さんの元とお店の入り口でたい肥を使ってどんぐりの育苗実験をしています。
ゆくゆくはこのどんぐりを河内長野の山にかえしていけたらいいなと思いながらみんなで大事に育てています。
もう一つ、この豆かすたい肥作りをきっかけに広がった活動があります。河内長野高向店のお店の入り口にある、巨大なコミュニティボードです。
スターバックスに行くと、店舗のメニューのところにドリンクやフードが紹介されている黒板があると思いますが、河内長野高向店には、おそらく日本一であろう巨大な黒板があります。
ここでは、店で行っている活動の情報発信を行っていたり、たい肥作りの進捗や私たちの思いをお客様に発信していたりします。
またお店からの一方通行な発信だけではなくて、地域の方の発信の場でもあります。近隣の幼稚園の子どもたちの絵や近隣の学生さんがおおさか河内材についてフィールドワークをした際の発表の資料、障がい者の方のアートなど、地域とのつながりをより感じられるようなものになっています。
また、毎月第2木曜日にたい肥を作る日を「たい肥の日」とし、この日の夜に店内の照明を一部消灯して、環境のことを考えてもらうきっかけ作りになるよう、「Delight in the Night」という活動を行っています。豆かすを使ってたい肥をつくるというちょっと環境にいいアクションを、1日を通して、お客さまや働くスタッフにも知ってもらい、少し環境のことを考える日になればいいなと思っています。
実は、Delight in the Nightを行うことも、パートナーのアイデアから生まれたんです。
毎月のたい肥活動も、自店舗のパートナーだけではなくて、周辺店舗のパートナーや社員も参加することで、河内長野という枠を超えて、さらに広い地域でお客様に知ってもらえる機会や学びの場を作れればと考えてお誘いしています。
働いているパートナーの約9割がほぼ地元の人々です。地元を知るパートナーが河内長野への愛着を持っていて、地域を良くしたい、自分の子どもたちがこれから住むこの地域の未来を良くしたいというふうに愛着と想いを持って日頃から働いてくれています。
そのことが店舗への愛着につながって、チーム一丸となり、楽しみながら環境問題に取り組める理由なのかと私自身感じています。
人と飲みものをつなぐ「コミュニティ」の存在
金田:ここからは、店舗でどういったことをされているのかについて、主にスターバックスさんが大事にされている3つの要素「People」・「Planet」・「Community」の観点からお話をお聞きしたいと思います。
まずはCommunityという観点で、河内長野高向店がオープンする際、「私たちの街にもスターバックスさんが出てきた!」という期待を感じたことはあったのでしょうか?
趙:ありましたね。9月にお店がオープンするときに、アルバイトの方の採用をかけたところ、非常にたくさんの方に、ご応募いただきました。私自身、面接をするなかで、いろんなお話をうかがい、スターバックスへの期待、出店へのよろこびやワクワク感を感じました。
また、私たちは今回、地域コミュニティへのハブとなる場所を目指していました。面接をさせていただく時も、「スターバックスが地元に出店することで、河内長野の課題をどうやって一緒に解決していったら良いと思いますか?」といった質問をさせていただきました。一緒に新しい仲間と、何かチャレンジしようと思っていたんです。
金田:アイデアを持っている方もいらっしゃったのでしょうか?
趙:そうですね。もちろん全員の方ではないですが、しっかりとご自身の「市民」としての意見を伝えてくださった方もいて驚きました。
金田:エリア的にも、森林に囲まれて、せっかくならスターバックスさんが出店されるこの機会に河内長野を盛り上げようと思った方もいらっしゃったのですかね。ちなみに、豆かすリサイクルの取り組みの内容は店舗によって少しずつ違うのでしょうか?
高橋:そうですね。スターバックスが取り組んでいるものでは、たい肥と牛の飼料にするという取り組みがありますが、それとは別に各店舗が個性を持って、地域コミュニティと一緒に取り組んでいるものもあります。それはたい肥であったり、消臭剤を作ってみようというものだったり。
金田:私たちも環境における長期ビジョンの中で、“ポジティブインパクト”という言葉を使っています。今まではネガティブなものをゼロにしていくという考えでしたが、これからは自然の恵みを元に戻すだけじゃなくて、プラスの影響を与えられるかというのが社会的に求められているかなと思います。スターバックスさんのリソースポジティブとキリンのポジティブインパクト。同じ視座で環境問題に向き合っていることがわかりました。
また、新しいお店を出すことによって、河内長野のみなさんにとって新たなコミュニティが形成されたんじゃないかなと思いますが、コロナ禍で人と人のつながりが希薄になるなかで、オープンして良かったなと感じられたエピソードや人のつながりを感じることはありましたか?
趙:すごく感じます。例えば、面接のとき、前向きによろこんでここで働きたいと思ってくださる方がたくさんいることに私も感銘を受けました。それから、いろんな方が利用してくださるなかで、「ここにお店ができて嬉しい」「毎日のリフレッシュに利用しています」というお声を頂戴します。
コロナ禍でなかなか人と会えないなかでも、毎日パートナーとお客さまが顔を合わせて声を掛け合ったりすることでお互いの活力になっているなというのは感じます。
金田:そうですよね。ちなみに高橋さんは全国1,700以上の店舗が運営されているなかで、人と人とのつながりは感じますか?
高橋:愛していただいているなという実感がありますね。コロナ禍で休店を余儀なくされた時期もありましたが、また再開したときに、「待っていました」とか「すごく楽しみにしていました」っていう言葉もいただいて。
おいしいコーヒーを飲む場所ということ以上の価値を感じていただいたのかなと実感しました。
金田:スターバックスさんとキリングループの共通点の一つが、やはり「飲みもの」を中心にビジネスをしているところだと思います。
私たちの場合、緊急事態宣言のなかで、お取引先の飲食店が休店を余儀なくされるなど、様々な環境変化がありました。飲みもののおいしさを楽しんでいただくことを前提としながら、やはりそこに人と人とが集まり、つながる「場づくり」とか「コミュニティ」というものに、飲みものは寄与しているし、これからもできるのではないかと思いました。
サステナビリティへの取り組みを伝えるために
金田:全店の紙ストローの切り替えやマグカップ・タンブラーの積極推奨など、さまざまな取り組みをされていますが、本社から店舗のみなさまに想いをお伝えしていくうえで、何か工夫されていることはありますか?
高橋:「こう言われたからやる」っていうふうに感じてもらうだけではなくて、「なぜそれが大切なのか」「それを達成したら何ができるの」というようなことを考えてもらうことが大事だと思っています。
そのうえで、自分たちがお客さまとどうアクションを取ろうという工夫や、自発的に自分からやろうと思うことにつながるような情報提供など、そういったきっかけづくりになるような呼びかけは意識しています。
趙:そうですね。私たちの方から、「絶対それをやってください」というような強い働きかけみたいなものはお店でもしていません。ただ、どういう意図で導入されたのかについては、コミュニティボードなどで伝えています。そうすることで、すごくポジティブに受け取ってくださる方が多いなというのは実感しています。
金田:なるほど。強制して何かを広げて伝えていくというよりかは、お客さまの自発性をどう引き出していくかという部分を大事にされていると。本社から店舗に対しても、店舗からお客さまに対しても、重要な部分ですよね。
金田:池田さんはキリンの本社の近くの店舗で働かれていますが、池田さんの店舗での課題などはありますか?
池田:私たちの店舗でも、紙カップや紙ストローにしたり、マグカップ推奨にしたりしています。温かい飲みものはマグカップを使ってくれる方が多い一方で、冷たい飲みものでもマグカップを推奨するのは難しくて…。ですが、その取り組みを続けていくことで、当たり前の文化になるのかなと思っています。
金田:推奨することを続けるって、すごいハードルが高いなと感じます。環境に良いアクションを起こし続けることも大変だと思いますが、続けることができている要因ってどこにあるんでしょうか?
池田:一番は、会社や社員が考えていることを全員しっかりと遂行するというところですね。スターバックスの店舗で働く多くのアルバイトパートナ―に向けて、最初に「なぜこのような取り組みをするのか」というところを自分ごと化できるように、資料を作って説明したりします。
そういう部分に時間を使って、少しずつ浸透させていくことで、意識が変わっていったのかなと思います。
金田:本社が伝えたい、「なぜ」とか「どういった目的でどういう社会を作りたいのか」というところが、店舗のパートナーさんまでしっかりお伝えしきれているからこそ、パートナーさんからお客さんにもお伝えすることができるんじゃないかと思いました。非常にスターバックスさんらしさも感じますね。
金田:今後、お客さんへの啓発などで工夫していきたいことはありますか?
趙:私たちパートナーがまず何より取り組みに共感することが大事だと思っています。
例えば、自分たちもタンブラーを使うとか、そのタンブラーの楽しみ方とかを本当に自分の言葉でお客さんに語っていくとか。そういったことがすごく大事なんじゃないかなというふうに感じています。
金田:お客さんにわかりやすい形でお伝えできるように工夫して説明することが大事だということですよね。私たちも『午後の紅茶』ブランドで、昨年からレインフォレスト・アライアンス認証を取得した茶葉を使っているものを発売しました。
昔から、スリランカ産紅茶葉の持続可能性を高めるための取り組みは、さまざまなことを行ってきました。今回は、お客さまにしっかりと認証マーク付きの商品を手に取ってもらうことで、キリンが持続可能な農園から茶葉を調達していることや、スリランカ紅茶農園、スリランカに対する取り組みを商品を通じて多くの方に知っていただきたいと思っています。
パートナーを大事にする店舗の姿勢
金田:スターバックスさんって、非常にパートナーさんを大事にされているという感覚がありますが、お二人はどう感じられますか?
趙:私は、大学生のアルバイトの時からスターバックスで働いていて、私自身働くものとして会社への信頼というのは持っています。
高橋:スターバックスには「バリュー」というものがあって、みんなが共通して持っている考え方のなかで、パートナーを大事にしています。
金田:お二人の周りのなかでも、スターバックスさんの人にやさしい点だったり、環境にやさしいというイメージを持って入られた方が増えている実感はありますか?
高橋:そうですね。最近は、本社にもそういう方が多い印象です。
趙:店舗の方だと、大学生のパートナーのなかでも、環境に関する分野を勉強している方もいるので、詳しい方やいろいろ視点を持って一緒に共感して活動してくれる方も多いです。
金田:コミュニティボードのお話だと、大学生に限らない他のパートナーの方も前向きに協力してもらっているのでしょうか?
趙:はい。もちろん全員が同じ熱量で足並みを揃えてというところまでは至っていないですが、お店の中でコミュニティコネクション活動をリードするチームを作っておりまして、そこのパートナーさんたちが主体となって内容を考えてくれています。
また、プレゼン資料を作ったり、コミュニティボードで想いを伝えることもしていて、同じ熱意でお客さんに伝えていくことを大事にしています。
高橋:自分ごと化できる情報を伝えつつ、ミッションに沿って解釈してみることも大事だと感じています。「独りよがりじゃないかな?」とか「会社のレンズと一致しているかな?」ということは一回見直して、この伝え方でいいかなということを確認するようにしています。
金田:なるほど。その存在意義というか私たちの立ち返る場所に戻ってみてしっかりとそれに即しているかどうかを確認するわけですね。
私たちキリングループは2027年までに、「世界のCSV先進企業になる」ということを掲げています。CSVとは、「社会的価値と経済的価値をしっかりと両立させて、社会課題を解決しながら事業を成長させていく」という考え方ですが、この目指す姿を一つの共有できる部分にしたいと感じています。
私たちがサステナビリティに向き合う背景には、「こういう将来をつくって、社会を良くしていきたい」という思いにしっかりと立ち返ることが非常に大事ですし、そういった価値観をパートナーのなかで共有できると、もっといい会社になるなと思いました。
こういったサステナビリティに関連する取り組みや背景にある会社の想いが、社員さんやアルバイトさんなどといったパートナーのみなさまにしっかり伝わり、それがエンゲージメント向上にもつがっているという実感はありますか?
趙:実際に、私が接しているパートナーの感覚では、しっかり伝えられているんじゃないかなと思います。特に自店舗は、地元のパートナーが非常に多くて、サステナブルな活動が実際に自分が育った土地やこれから子どもたちが大きくなっていく場所に影響し、未来に直結しているってことがすごくリアルに感じられます。
高橋:私もいろんなプロジェクトで関わっているなかで、やはりみなさんすごく取り組みに誇りを持ってくださっているなというのは感じますね。
金田:私たちも、年々意識が高い人は増えている感覚はあります。それは、社会の変化もすごく大きいんじゃないかなと思っています。
例えば、新卒採用でも、当社はエシカルに興味関心がある方々に対して、就活情報をお届けできるようなサービスも活用し始めています。そういう大学生も増えてきていますし、このようなサステナビリティに対する活動が企業ブランドや、企業の印象にポジティブに働いたらいいなと思っています。
また、スターバックスさんも、店舗でどういった取り組みされているのかというのを、ウェブやSNSでも情報を開示されていますよね。デジタルの情報ってタイムリーですし、多くの方にリーチできる部分もあるので、取り組みをお客さまや多くの方に知っていただくために、工夫していくってことは大事だと思います。私たちもこういったイベントも通じて、社内または社外にお伝えしていきたいなと思います。
趙:今回はこのような機会を作っていただいて、ありがとうございます。他社さんからみた時に、「こういった部分に興味を持っていただけるんだ」というのが、自分自身もすごく学びになりました。ありがとうございます。
高橋:今日はありがとうございました。私も発表の準備を通じて、自分たちの取り組みを振り返る機会にもなりましたし、パネルディスカッションや質問を通じて、鏡を見ている気持ちになりました。学びも多かったですし、キリンさんとも、飲みものを通してお客さまによろこびを感じていただくという共通点もあるなかで、新しいアイデアをいただいたような気がします。
金田:スターバックスさんと聞くと、誰もが知っているブランドですが、日頃、一消費者として触れている店舗の中で行われている取り組みをわかりやすくおうかがいできました。
日本の中で、まだまだこのエシカルな市場とかサステナビリティに配慮した消費っていうのは、決して大きく進んでいないなかでも、しっかりと取り組みについてお伝えしたり、粘り強く企業側が取り組むことが回り回って、最終的には消費者のみなさんや、その先の社会のためにプラスになるなということを、あらためて感じさせられました。
同じ飲みものや食品を生業としている会社として、協働できる部分で社会のために取り組んでいけたらいいなと感じました。本日は、ありがとうございました。
▼対談の様子はスターバックスさんのオウンドメディア「Starbucks Stories Japan」でも公開中です。