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ワインの女王「シャトー・マルゴー」の味わいは?新酒の試飲イベントレポート【フランスは今日もワイン日和】

メルシャン欧州事務所に赴任中の弊社社員、春日井 琢記より、パリでの生活や仕事を通じて感じた「ワインの楽しみ方」についてお伝えしていく連載企画。
第9回は、ボルドー地方で行われる新酒の試飲イベント「プリムール・テイスティング」の様子をお届けします。

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日常に戻りつつあるパリの景色

みなさん、こんにちは!メルシャン欧州事務所の春日井です。

フランスは5月16日より、公共交通機関でもマスクの着用義務が解除され、実質マスクの着用義務がなくなり、マスク無しの生活をする人が増えてきました。パリでは全体的には観光客も戻ってきており、エッフェル塔の入場者数は、新型コロナウイルス流行前の水準にほぼ戻ったとも言われています。

私は2020年2月に着任したために、観光客で賑わっているパリをほぼ経験していなかったので、これまでと違ったパリの景色を見られるのが楽しみです。

パリの様子

少しずつ日常が戻ってきている今日ですが、うれしいニュースが入ってきましたのでお伝えします!

シャトー・メルシャンも撮影に全面協力した日本ワインの映画「シグナチャー~日本を世界の銘醸地に~」。
この作品が、世界20か国以上から200作品がエントリーしていたニース国際映画祭で最優秀作品賞、パリ国際映画祭ではヒロインの竹島由夏さんが最優秀女優賞を受賞し、私も受賞式に参加させていただきました。公開は2022年11月を予定していますので、ぜひ劇場まで足を運んでいただけければうれしいです。

ブドウの収穫量が減少した2021年。新酒の試飲イベント「プリムール・テイスティング」へ

「シグナチャー~日本を世界の銘醸地に~」

さて、今回は、ボルドーで4月末に開催された「プリムール・テイスティング」というイベントについてお話いたします。昨年に引き続き、今年も参加してきました。「プリムール・テイスティング」は、ワイン業界のプロ向けにボルドー地方で行われる「新酒」の試飲イベントです。今回は、2021年ヴィンテージのボルドーワインを試飲してきましたのでその様子をお届けます。

▼昨年お届けした「プリムール・テイスティング」のイベントについてはこちら

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年のプリムール・テイスティングは中止。2021年は規模を縮小して開催されましたが、今年はもとの形に近い状態で開催されました。そのためフランス外からも多くのワイン関係者がボルドーに集い、賑わっていました。

プリムール・テイスティングの様子

昨年はボルドー中心地にあるホテルの会場にて、複数の部屋に分かれ、かつ少人数に制限されていましたが、今年はオープンな会場で開催され、シャトー(*1)からも担当者がブースに立っておりました。

(*1) ブドウ畑を所有し、栽培から醸造、育成、瓶詰まで行う業者のこと

夜はネゴシアンと呼ばれる仲介業者やシャトーが関係者を招いて、パーティーも各地で開催され、久々に再開できたことやプリムール・テイスティングが無事に行われたことを喜んでいました。

プリムール・テイスティングの様子

肝心の2021年のワインですが、2021年の気候は「ブドウ栽培家にとっての悪夢のような年で、考えられるほぼ全ての脅威が存在した」(*2)と言われています。また収穫量は全体で例年より30%減とも言われており、生産者にとっては非常にチャレンジングな年でした。

(*2) 出展 2021 Bordeaux vintage report: coping with climatic adversity

しかし、気候条件としては厳しかったからといってワインの品質が例年より劣っているわけではなく、むしろ非常に質の良いワインもたくさん存在しています。

気候条件が難しい年こそ、ワイン生産者・ブドウ農家の方々の努力や判断力、技術力がワインの出来に大きく反映しているため、ワイナリーの実力を知ることができます。

5大シャトーの一つ。ワインの女王と呼ばれる「シャトー・マルゴー」

シャトー・マルゴー

ボルドー滞在中は、各地で開催されているテイスティングに参加しますが、今回はご存知の方も多い五大シャトーの一つ「シャトー・マルゴー」に訪問してきましたのでそちらの様子をお伝えします。

シャトー・マルゴーは、ボルドーの「メドック格付け」によって選ばれた、評価の高い産地です。メドック格付けとは、1855年のパリ万国博覧会の際に、ナポレオン3世の命令を受けて、当時のボルドー市の商工会議所が流通価格をもとに行ったメドック地区の格付けです。約60の赤ワインが1級から5級までの5段階に格付けされました。

第1級に選ばれたのが、メドック地区の「シャトー・ラフィット・ロートシルト」、「シャトー・マルゴー」、「シャトー・ラトゥール」、グラーブ地区の「シャトー・オー・ブリオン」です。1973年に一度だけ改定され、「シャトー・ムートン・ロートシルト」が2級から1級に昇格し、現在はこれらのシャトーが5大シャトーと言われています。

そんなシャトー・マルゴーですが、実はシャトー・メルシャンとも縁が深いです。シャトー・マルゴーの元総支配人であるポール・ポンタリエ氏はシャトー・メルシャンのアドバイザーとして、醸造や栽培、収穫、目指すワインの方向性などワイン造りに関する非常にたくさんのアドバイスしていただきました。

私自身、シャトー・マルゴーは憧れでもあるので非常に訪問を楽しみにしていました。当日は嬉しいことに現総支配人のフィリップ・バスコール氏自ら解説をしてくださいました。

力強さと優美さを兼ね備え、ワインの女王とも言われる「シャトー・マルゴー」のワインですが、実際にテイスティングをしてこの言葉がぴったりだなと改めて感じました。

ワインのテイスティングの様子

今回のプリムール・テイスティングも、ネゴシアンや各シャトーの皆さまのおかげで充実した時間を過ごすことはでき、2021年ヴィンテージを肌で感じることができました。

2021年ヴィンテージの新酒のワインがお客さまのもとに届くのは、2023年は春以降になりますが、ぜひ楽しんでいただければと思います。