【キリンのグループ報 写心館#04】ここでしかできない、ここだけの味。
キリングループ会社全体の取り組みを紹介する社内報である、グループ報『きりん』。その中の一つで、従業員の想いや活躍する姿を自分自身の言葉で伝える『写心館』というコーナーをnote上で公開していきます。
第4弾は、スプリングバレーブルワリー京都でヘッドブリュワーとして働く辻 峻太郎(つじ しゅんたろう)より、ビール造りにかける想いについてお届けします。
学生時代からビールが好きでよく飲んでいました。日本のビールだけじゃなくてドイツやベルギーのものにも手を伸ばして、ビアバーにも通うように。そうして出会ったのがクラフトビールでした。小さなブルワリーで造られるクラフトビールは味や香りが個性的で。それに感動して、どんどんのめり込んでいきました。
ちょうどその頃、就職活動をしていて、モノづくりの会社がいいなと思っていました。実を言うと、最初から「何が何でもビール造りがしたい!」というわけではなかったんです。ただ、キリンビールが新しく「スプリングバレーブルワリー」という名前でクラフトビールを始めたと知り、気になって代官山のお店に行ってみました。
店に入ると、お客さんがビールを片手に思い思いの時間を過ごしていて。その景色を見たとき、自分がやりたいことはこれなんじゃないかと思えたんです。それが入社のきっかけでした。
「クラフトビールに携わりたい」という想いから京都へ
ビール造りの基礎は、最初の配属先である福岡工場で学びました。「クラフトビールに携わりたい」という希望は、入社してからも一応伝え続けてはいましたが、クラフトビール事業は規模がそんなに大きくはなく、関われる人も限られているので「ダメで元々」くらいに思っていました。それが入社4年目で急に「スプリングバレーブルワリー」の担当者として京都へ行くことになって。あのときはびっくりしました。
ここに来てまず思ったのは「え、やることこんなにあるの?」ってことですね。工場は役割分担がしっかりしていますが、ここは私を含めて数名しかいないので、商品のコンセプトワークからレシピの開発、生産スケジュールへの落とし込み、パッケージングなどなど、やるべきことは山ほどあって(笑)。忙しくて大変ですけど、ビール造りの全部を自分の手でやれるのはやっぱり楽しいです。
クラフトビール造りで大切にしていること
私がクラフトビールを造る時に大切にしているのは、その土地でしかできない「唯一性」です。「唯一性」を突き詰めていくと、その土地ならではの気候とか、素材に行き着くんです。この店では、府内で収穫された大麦やホップ、地元で見つかった酵母など、京都産の原料を活かしたビールも造っています。
もう一つ大切にしているのは「食文化との相性」です。この店で出す料理のテーマは、「和クラフト」。単なる和食のアレンジではなく、京都の街に息づく「伝統」と「革新」の両方の顔や、「クラフトマンシップ」を表現できるようなメニュー作りにチャレンジしています。
ビールの「科学」と「感覚」の融合を楽しんでほしい
ここまでいろいろ言ってきましたが、結局一番うれしい瞬間って、お客さまがあれこれ考えずに、本能的に「うまい!」って言ってもらえた時だったりします(笑)。一方で、味覚には「頭で感じるおいしさ」もあると思っていて、商品に込めた思いやこだわりを読み解きながら味わってもらうのもうれしいです。店にいると、お客さまから直接感想や意見をいただくことも多く、おいしいビールを造るぞ!という気持ちが強くなりますね。
私は、ビールは「科学」と「感覚」の融合でできていると思っています。科学的に数字や理論で判断できるところは徹底的にこだわりつつ、感覚的な部分は、年間数百種類のビールを飲んだり、それ以外のお酒や料理を飲んだり食べたりすることで磨いています。お客さまが当たり前のように、自分の好きなビールを語りながら楽しく飲む、そんなクラフトビール文化が京都の街に根付くよう、他のブルワリーの皆さんとも一緒に頑張っていきたいです。
noteでお届けするグループ報「きりん」次回もお楽しみに!
グループ報「きりん」では着飾っていない話を、できるだけストレートに聞くことを心掛けています。キリンのグループ報のコンテンツをnoteで掲載するこちらのコーナーでも、一般的に社外に向けた会社のメッセージとは少し違った一面をお届けします。次回もお楽しみに!