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“モッタイナイ!を、おいしい!に”。 『氷結®』から果実農家を応援する商品が誕生!

「おいしい果実なのにモッタイナイ!」
 
規格外の果物を活用して少しでも農家の方々の課題解決の手助けができれば。そんな想いから、『氷結®』の新プロジェクトが発足しました。
 
そして誕生したのが、規格外などで青果販売できず廃棄を余儀なくされた果物を活用した『氷結®mottainai』シリーズです。第1弾は神奈川・横浜の特産品「浜なし」。基本直売のみで販売していることから広く出回ることが少ないけれど、地元を中心にファンも多い、みずみずしくおいしい梨を使用しました。
 
「農家さんの抱える課題を一つでも解決しながら、各地の果物の魅力をもっと知ってもらいたい」
 
これまでも『午後の紅茶』『小岩井』ブランドで地域の特産の果物を使用した商品開発や農家との深いコミュニケーションを大切にしてきたブランド担当の山岡加菜やまおかかなが、プロジェクトに込めた想いを語ります。

キリンビール株式会社の山岡加菜

【プロフィール】山岡加菜
キリンビール株式会社 マーケティング部 ブランド担当
2015年入社。営業担当を経て2019年よりキリンビバレッジのマーケティング部に異動し、『小岩井』ブランドを担当。東日本大震災から10年目に発売された『小岩井 純水東北ミックス』では、企画から開発まで統括的に携わる。2020年10月より『午後の紅茶』担当となり、『午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー』の開発に従事。2022年10月よりキリンビールの『氷結®』担当に。


社会によい影響をもたらす取り組みを

キリンビール株式会社の山岡加菜

―山岡さんはこれまでも『小岩井 純水東北ミックス』『午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー』で農家の方々と関わりながら商品づくりをされてきましたが、CSVや社会貢献などの観点に関心を持ったきっかけはありましたか?
 
山岡:学生時代から社会活動などに参加していたこともあって、もともと関心はありました。ただ自分のなかで企業・ビジネス=社会貢献が結びつかなくて。その考えが大きく変わったのはキリンに入社後。東北や熊本の被災地へ継続的な支援活動を行う「復興応援 キリン絆プロジェクト」に参加してからでした。
 
活動を通じて、商品を購入してくれたお客さまや支援先の方々とポジティブな気持ちを共有できたことがうれしくて。世の中の役に立てているという実感が湧きました。そこから商品を通じて何かできないかとより考えるようになりました。

―これまでの実体験から意識が変わっていったんですね。『氷結®mottainai』も山岡さんの立案ですか?
 
山岡:『氷結®』ブランドを通じて、社会にいい影響を与えるような取り組みをしたいというのはチーム共通の考えでした。そのために何ができるだろうと話し合う場を持ったのがこの企画のはじまりです。

山岡:アイデアを出し合うなかで、果物を基軸にした案がいくつか挙がりました。『氷結®』は果実が必要不可欠なブランドだからこそ、果実農家さんに貢献できればという想いで固まって。そこから、単に商品化するだけでなくプロジェクトとして進めていこうという流れになって、私が担当することになったんです。
 
―プロジェクトのコンセプトや名前はいろいろと悩まれたそうですね。
 
山岡:そうなんです。まず、社会にいいことはしたいけれど、自分で動こうと思うとハードルが高いと感じている人が多いのではと考えました。そこから、社会性のメッセージの強弱で3パターンのコンセプトと商品名を書き出しました。
 
1つ目は、もっとも軽やかな感じで、「今までと違う新しい選択をしたいよね」といった文脈を入れた『氷結®Special Remix』という案。
 
2つ目は、少しの社会性は伴うけれど、自分視点の「気持ちよさ」とか、少し情緒的な要素を入れた『氷結®Green』。
 
そして3つ目が、「モッタイナイ」という言葉を入れて社会性を一番ストレートに伝えた『氷結®mottainai』。
 
この3案でお客さま調査を実施した結果、社会性の分かりやすい『氷結®mottainai』が一番高い評価を得たんです。

プロジェクトのコンセプトや商品の概要が書かれた資料
プロジェクトのコンセプトや商品の概要が書かれた資料

―結果を見てどう感じましたか?

山岡:意外な結果でした。他のメンバーも私も『氷結®mottainai』のコンセプトでいきたい気持ちはあったのですが、社会性が強すぎると共感されないかもしれないと懸念もあったので。20〜60代の方々に満遍なく調査したのですが、どちらかというと若い世代からの評価が高く、世の中の変化を感じましたね。

第1弾は、横浜の特産品「浜なし」。生産者が抱える課題とは

浜なし

―今回横浜の特産品「浜なし」を選んだ理由を教えてください。
 
山岡:原料調達部門や中味をつくってくれるメンバーと議論した際、「浜なし」を含むいくつかの候補が挙がりました。『氷結®』との相性や、横浜がキリンビール発祥の地だというところから第1弾は浜なしにしようということに。まずは、農家さんがどんな課題を抱えているのか、実際に伺ってヒアリングしました。
 
―農家さんは実際にどういった課題を持たれていましたか?
 
山岡:浜なしは、木の上で完熟させるというのが大きな特長。普通の梨だと完熟前に収穫して、スーパーに並ぶときに一番甘くなるよう収穫・出荷するそうです。浜なしの場合は出荷直前まで木の上で完熟させるので、すごく甘くておいしいんです。ただし、中身が半透明になる「みつ症」という症状になりやすい。

「みつ症」の浜なし
果肉が半透明になる「みつ症」。
食感や日持ちには影響があるものの、食べても問題なくおいしい

梨はシャキシャキとした食感もおいしさの特長なので、食感が柔らかくなってしまうみつ症の状態だと「傷んでいるんじゃないか」というご指摘につながってしまう。だから販売できず、やむなく廃棄してしまうことが多いそうです。
 
その年によって収穫量も違うし、どのくらいみつ症になるかもわからない。その大変さに心から「もったいないな」と感じて。商品化することで少しでも農家さんのお手伝いができたらと思いました。

「浜なし」の農家さんを訪れた『氷結®』チーム
「浜なし」の農家さんを訪れた『氷結®』チーム

―このプロジェクトに対して、農家さんからの反応はありましたか?
 
山岡:率直によろこんでいただけました。横浜のブランドであることにプライドを持ってつくられている農家さんばかりですが、なかなか広く出回ることがないのが現状で。そのおいしさがチューハイとして全国に広がることがまずうれしいと。本来ならば世に出せなかった果物が違う形で商品化され、味わっていただけることをよろこんでくださりました。

甘くてジューシーな果実。スッキリ爽快な『氷結®』との相性は?

「浜なし」の農家さんを訪れた『氷結®』チーム

―実際に浜なしを食べてみていかがでした?
 
山岡:それはもう本当においしくて。通常の梨よりも甘くて、水分量も多くとてもジューシー。みつ症の梨もいただきましたが、たしかに食感は柔らかいけど甘さはもっと強くて。みつ症の方が好きという方もいらっしゃるとか。8月末から9月頃が旬なのでぜひ皆さんにも味わっていただきたい夏の果物です。

キリンビールの山岡加菜

―『氷結®』との相性はいかがですか?
 
山岡:『氷結®』は果実のみずみずしさをスッキリ仕上げた味わいが特長なので、果汁豊富でみずみずしい浜なしはとても合っていると感じました。浜なしらしい甘さをチューハイにすることで、スッキリとした飲みやすさも出せたと思います。

『氷結®mottainai』を手に取る山岡加菜

―逆に、課題や苦労した点はありますか?
 
山岡:浜なしらしい特長を生かすことと、『氷結®mottainai』としてお客さまによろこんでいただける、スッキリさと果実の満足感のバランスには最後まで議論を重ねました。
 
―満足感というのは、甘みなどですか?
 
山岡:はい。いつもの『氷結®』らしくスッキリ爽快に仕上げるか、あるいは、スッキリ飲めつつも、甘みに厚みを出してより満足感のある感じに仕上げるか。私たちとしては、きちんと“浜なしらしさ”を表現したかったので、後者を選びました。

『氷結®』らしさと新しさ。パッケージで伝えたいこと

『氷結®mottainai』

―『氷結®』といえば、ブルーとシルバーのロゴが印象的ですが、今回はかなり違う雰囲気ですね。どんな点にこだわっていますか?
 
山岡:これは語り始めると3時間ぐらいかかるかもしれないです(笑)。一番はこの商品を通じて若い世代の人たちに興味を持ってもらいたい気持ちがあります。定番で長く愛していただいているブランドだからこそ、今『氷結®』を飲んでない人にも振り向いてもらいたい。
 
新しさを感じつつ、一番『氷結®』らしさが伝わる「ダイヤカット」を目立たせることで、“『氷結®』なんだけど新しい!”ということが伝わる絶妙なバランスになったと思います。
 
―今回新しい商品をつくることで、あらためて『氷結®』らしさについて考えるきっかけにもなったそうですね。
 
山岡:そうですね。『氷結®』は「爽快」「スッキリ」「キレ」といった味わいの印象が強いかもしれませんが、もともと果実を大切にしているブランド。今回のプロジェクトを通じてそれを再認識しました。
 
だからこそ、より一層その果物を食べて味わいをしっかりと理解したり、農家さんに会いに行って生産背景を知ったうえで向き合っていく必要がある。それはこれからも守っていかなければと思っています。

売上1本につき1円を農家へ寄付。長期的に支援できる仕組み

浜なし農家と『氷結®』チーム

―今回のプロジェクトがスタートしたことで、今後の農家さんとの関わり方や支援について考えていることはありますか?
 
山岡:農家の方々は、食品ロスだけではなく、後継者不足などさまざまな課題を抱えています。私たちが関われるのはほんの一部かもしれませんが、その課題に対する新しい解決の道筋が見えてくるかもしれないと感じています。
 
商品を通じてつくり手の取り組みを知ってもらうことで世の中の仕組みや考え方が変わって、農家さんの悩みが少しでも軽くなればと思っています。

『氷結®mottainai』の裏面下部
裏面下部にあるQRコードを読み取ると、プロジェクトの詳細や商品概要、開発への想いなどが掲載された特設サイトに飛べる

―売上1本につき1円を農家さんへ寄付する仕組みも、その一環ですか?
 
山岡:そうですね。『氷結®mottainai』は売上1本につき1円が果実農家支援のために活用されます。もともとこのプロジェクトは、農家さんに貢献したいという想いから始まっています。
 
農家さんが持続的に発展するために、もっとお手伝いできることがないかと考えた結果、売上の一部を寄付金としてお渡しすることで長期的な観点でお役に立てたらと考えました。
 
あとは、お客さまと一緒に社会課題を解決するといったような仕組みにしたいという気持ちもありました。『氷結®mottainai』を飲んでいただくだけで食品ロス削減に貢献できる。ご購入いただいた方々と皆で社会課題を解決していける、そこにつながる商品にしたいなと思っています。

商品の先にある誰かを幸せに。『氷結®mottainai』がその役割を担いたい

『氷結®mottainai』を手に取る山岡加菜

―山岡さんが、こういった社会貢献を目指した商品づくりで一番大事にしていることはどんなことでしょうか?
 
山岡:なぜその取り組みをやるのか、理由をしっかり明確にすることを大切にしています。この商品を通じて、その先の関わる人たちが幸せになるのかを想像しながら取り組んでいます。もっと言えば、同じ温度感でいたい。例えば寄付をするだけでなく、その使い方まで一緒に話し合えるような関係性を築いていけることが理想だと思っています。
 
―今回お客さま調査の結果を見て、「時代の変化を感じた」とおっしゃっていましたが、今の「SDGs」や「CSV」の広まりについてどう感じていますか?
 
山岡:世間の感度が高まっていると感じています。先日会社の先輩が、お子さんに「SDGsって何?」「CSVって何?」と尋ねたら、「楽しいことだよ」と答えたというエピソードを聞いて。あらためて「自分もハッピーで社会もハッピーならいいよね」という価値観が広まってきているんだなと感じました。

社会にいいことって、結果的にいつかの自分にいいことにつながるんですよね。そこがちゃんと一緒になっていることが大事。近年は教育でそういうことを学んでいるから、自然とそういう価値観が広まっているのかもしれません。「自分の幸せの先に誰かの幸せがある」。そんな考え方って素敵だなと思います。
 
また、就活中の学生からもSDGsやCSVの話が出ることも多く、人生の重要な決断をするときに選択の軸の一つにそれが入ることに驚きました。これからもっとそういった視点で企業を選ぶ学生が増えるかもしれない。同時に、日常生活で商品を選ぶときにもそういった視点で選ぶ人が増えていくといいですよね。

キリンビール株式会社の山岡加菜

―「買い物は投票」といわれるように、消費者も商品を見て背景を想像するようになっていますし、つくる側もモノづくりの姿勢を発信することが求められていますね。『氷結®mottainai』シリーズの目指す姿についてどう考えていますか?
 
山岡:今のチューハイ市場では、「無糖だから」とか「レモン味だから」という理由で商品を選ぶ方が多いかもしれませんが、選択する理由の一つとして「社会のためになるから」という考えが当たり前の世の中になるといいなと。そのときに、『氷結®mottainai』が先陣を切っている存在になれたらと思っています。
 
文:高野瞳
写真:飯本貴子
編集:RIDE inc.

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