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お客さまの声を“よりよい商品”につなげる。お客様相談室から始める“改善”のバトンパス【こんにちは。お客様相談室です。】

お客さまとキリンをつなぐ「お客様相談室」。毎日200件以上届くお問い合わせの中には、「こんなことで困っている」「この部分を変更してほしい」といった、商品の改善に関わる貴重なご意見も寄せられています。

お客様相談室では、これらのお声の中から「社内全体で共有すべき」と感じた内容をまとめ、改善に向けたアプローチを行っています。なかには、この取り組みをきっかけに実際に商品の仕様が変更された事例も。

そこで今回は、この取り組みによって改善に至った事例をご紹介しながら、お客様相談室が「お客さま一人ひとりの声に耳を傾ける理由」についてお伝えします。

連載「こんにちは。お客様相談室です。」は、実際に寄せられたお客さまからのお問い合わせと、担当スタッフのやりとりをご紹介し、お客さまとのつながりを感じていただく企画です。


お客様相談室に寄せられた声を社内に伝える「改善タンク」って?

お客様相談室が他の部署にバトンを渡すイラスト

お客様相談室では、日々寄せられるお客さまのお声の中から、商品やサービス向上につながるご意見を「改善タンク」と名付けたエクセルシートに集めています。

これは、「どうにかしてお客さまのお困りごとを解消したい」という、私たちの想いが形となった取り組みです。
このシートに蓄積されたお声は、毎月開催される「改善ミーティング」で各部署の代表者に共有し、具体的な改善方法を検討していきます。

とはいえ、すでに確立された販売スタイルや商品仕様の変更は、そう簡単ではありません。お客様相談室をはじめ、さまざまな部署の連携が必要な場合は、実現までに時間を要することもあります。

それでも、私たちが一丸となってこの取り組みを続けるのは、「お客さまの健やかな暮らしをサポートしたい」という想いが根底にあるから。その想いが実を結んだ、「改善タンク」による改善事例を二つご紹介します。

事例1:二次元バーコードで原材料を確認。誰もが安心して購入できる自動販売機へ

自動販売機の二次元バーコード

健康上の理由で、食品摂取に制限のあるお客さまからのお声は、日ごろより多く寄せられています。「血圧の薬の兼ね合いでグレープフルーツを摂取できない」「腎臓病を患っていて、リンやカリウムの摂取制限がある」など、そのご事情はお客さまによってさまざま。

しかし、自動販売機で購入する場合、商品の裏面に記載された原材料名を確認することができません。そのため、購入後に飲めないことが分かり、やむを得ず廃棄せざるを得ないケースも…。

そこでお客様相談室では、自動販売機における原材料に関するお悩みを「改善タンク」にまとめ、改善策を検討。栄養成分一覧を掲載したウェブぺージに、二次元バーコードから誘導する案を担当部署に相談したところ、「やりましょう!」と前向きな返事をもらうことができました。

その結果、2024年から自動販売機の前面に、原材料・栄養成分一覧が確認できる二次元バーコード付きステッカーを貼っています。これによって、お客さまは自動販売機で購入する前に原材料・栄養成分を確認できるようになりました。

事例2:社内の共感を呼び、ギフトセット専用箱の改善を実現

ギフトセット
赤枠内で示した箱の縁に手を痛めない工夫が施されています

毎年、お中元やお歳暮の時期に発売しているギフトセットの箱について、「箱の蓋の縁がギザギザしていて、手を切りそうになった」「蓋を開けるときに手が痛い」といったお声をいくつかいただいていました。

蓋の縁をよく見ると、ウェーブ状に加工されています。これは、段ボールの切断面による怪我を防ぐための形状です。しかし、お客さまからのご意見から、波の形状や開けるときの状況によっては、手を痛めてしまう可能性があることがわかりました。

公式サイトで注意喚起をすることも有効ですが、すべてのお客さまにご確認いただくことは難しいため、時間や手間をかけてでも、商品そのものを改善することが最善だと考えました。

この課題を「改善タンク」に記載し、月例の改善ミーティングで共有したところ、営業経験者から「乾燥が気になる時期に、ビールの入ったダンボールで手を痛めたことがある」という共感の声が。

いざ、改善を検討しようとしたところ、ギフトセットの開発・販売には多くの部署が関わっていることがわかりました。そこで、まず私たちお客様相談室では、それぞれの部署と蓋の仕様を確認。課題感を共有したことで、改善に向けた取り組みが始まりました。

構想から実現まで長い時間がかかりましたが、さまざまな部署と連携を重ねた結果、現在のギフトセット専用箱は、より安全な形状に改良されています。お客さまからいただいた声が社員一人ひとりの心に響き、その想いが結集したからこそ、大きな変革を成し遂げられたのだと感じています。

このように、お客さまから寄せられた声を起点に商品やサービスの改善を進めるうえで、「改善タンク」はとても重要な役割を果たしているのです。

▼こちらのページでも改善事例をご紹介しています。

お客さまは家族のように大切な存在。だからこそ改善を前進させる取り組みは積極的に行いたい

お客様相談室の取り組み内容のイラスト

改善タンクや改善ミーティングを通じて、お客さまのお困りごとを解消することは、商品への愛着を深めていただいたり、人に勧めたいと思っていただいたりするうえで、重要な取り組みです。

そのうえで、お客様相談室では「お客さまが困っているのなら、力になりたい」という想いを全員で共有しています。なぜなら、お客さまを一期一会の関係ではなく、家族のように長くお付き合いしていく大切な存在だと考えているから。

そのため、お客様相談室では、改善タンクにお客さまのお声を集めるだけでなく、「どうしたら改善できるか」といった具体案を一つひとつ検討したうえで社内に共有しています。お声に加えて改善策も提案することで、各部署での検討が進み、実現への道筋が見えやすくなるからです。

むしろ、商品リニューアルの際には「こんな商品を考えているんだけど、過去のお客さまの声を抽出できないかな?」と、他部署から相談をもらうことも。また、実現した改善策が後続の商品に採用されるなど、「お客さまの声に耳を傾ける」という文化が社内全体に浸透していると感じています。

そもそも、お客さまから「ここを直してほしい」というお声をいただけることは、とてもありがたいこと。その声をしっかり社内に伝えることが、私たちお客様相談室の使命です。だからこそ、お客さまの状況をできるだけ具体的に説明し、社内の一人ひとりが自分ごとのように捉えられるよう工夫しています。

もちろん、そこまで尽力しても、技術的な理由やタイミングの問題によって改善が見送られることもあります。それでも私たちは、お客さまの声を社内に届け続けることで、その想いを次の改善へとつなげていけるよう、これからも努めていきたいと思います。

【スタッフ紹介 vol.16】お客様相談室 キリンホールディングス 酒類チームS

お客様相談室は、チーム一丸となって、日々のお客さまの声と向き合っています。そんなお客様相談室スタッフに、お客さまとの対話で大切にしていることや、記憶に残っているお客さまとのやりとりについて語ってもらいました。

スタッフイラスト

お客様相談室 S
2021年にお客様相談室に着任。電話・メールにてキリンビール、メルシャン、キリンホールディングスでのお客さま対応を行うほか、有人チャットの運用なども担当している。

─記憶に残っているお客さまとのやりとりはありますか?

お客様相談室S:「気に入った商品が近所に売っていない」という内容のメールをいただいたときの対応が記憶に残っています。

お探しの商品についてお調べした結果、お客さまがお住まいの地域には取扱店がありませんでした。はじめは「どうしよう」と行き詰まっていたのですが、周りのメンバーに相談し、その商品の味わいに似た別の商品を、お近くの取扱店と併せてご案内することにしました。

「代替品をご案内することについて、どのようにお感じになるだろう」という不安が募るなか、後日、お客様アンケートの結果の中に、このお客さまからの回答を発見したのです。

回答欄には、「問い合わせた内容への返答以外にも、複数の代替案があり、商品の特徴も詳しく書かれていて、ご苦労が伝わってきました。改善点はありません。いい対応をありがとう」と書かれていました。

お客さま対応をするなかで「ありがとう」と言葉をかけていただくことはありますが、具体的によろこびの気持ちを伝えていただいたのは、そのときが初めてでした。とてもうれしく、また大きなやりがいを感じた出来事として、今でも記憶に残っています。

─お客さま対応をするうえでの心がけ、大切にしていることについて教えてください。

お客様相談室S:「お客さまは貴重なお時間を使って、ご連絡くださっている」ということを常に念頭に置いて対応をしています。

お客さまがお電話を切ったあとやメールの返信を読んだあとで、「キリンに問い合わせてよかった」と思っていただけるよう、お客さまが伝えたいことをしっかりと理解し、なるべくお客さまのお時間を無駄にしないよう意識しています。

特に大事にしているのは、先入観を持たず、お客さまのお話に耳を傾けること。「どのような情報を提供できるか」を意識しながら、一件一件丁寧な対応を心がけています。

─Sさんにとっての「いい時間」とは?

お客様相談室S:晴れた日に散歩をする時間です。ふだん何気なく通る道をゆっくり歩き、景色の違いを楽しんだり、季節の変化を感じたりすることで、心を落ち着かせています。

遠出をして名所めぐりをしたいと思うときもありますが、結局は目的を決めずにブラブラと街歩きをするほうが好きなようで、新しい発見をしたときはとてもワクワクします。散歩の途中、偶然見つけた雑貨屋さんにふらりと入ったり、カフェで一息ついたりする時間も大好きです。

「こんにちは。お客様相談室です。」キービジュアル

こんにちは。お客様相談室です。」では、お客様相談室に届いたお客さまとの心温まるエピソードをご紹介します。

ほっこりするエピソードやお客様相談室の裏側など、お客さまとキリンお客様相談室とのつながりを感じていただければうれしいです。

次回もお楽しみに。


文:山越 栞
イラスト:aya.m
編集:RIDE inc.

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