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“薬剤師の現状を救いたい”。Pharmarketとキリンが取り組む薬局の課題解決

キリンには、「キリンビジネスチャレンジ」という、社員からビジネスアイデアを募集し、新規事業化を支援する社内制度があります。そこから生まれた新規事業が今年ローンチとなりました。薬剤師の課題を解決する新規事業premediプリメディ

以前、KIRIN公式noteでも「キリンビジネスチャレンジ」への挑戦について語ったヘルスサイエンス事業部の田中吉隆のプロジェクトです。

今回は、プロジェクトのその後として、「調剤薬局の課題を解消したい」という思いのもと協業の運びとなった医薬品の売買仲介サービスを行う株式会社Pharmarketファルマーケットマネージャー 薬剤師の村松友憲さんとの対談が実現。

調剤薬局が抱える課題とは?そしてその課題を解決するため、どんな軌跡を経て協力することとなったのか、その先に両者が見る未来について語り合います。

【プロフィール】田中 吉隆
キリンホールディングス株式会社 ヘルスサイエンス事業本部 ヘルスサイエンス事業部新規事業グループ
2015年にキリンに新卒入社。2019年にキリンの社内新規事業コンテスト「キリンビジネスチャレンジ」へ応募し、最終選考を通過。その後、調剤薬局に向けた新規事業『premedi』をローンチ。

【プロフィール】村松 友憲
株式会社Pharmarket マネージャー 薬剤師
新卒で調剤薬局に入社。大小様々な薬局にて、事業計画の立案から新店舗の立ち上げ、医療機関との関係構築、行政機関との折衝や、基幹システム導入のプロジェクトを担当。その後、創業直後のPharmarketに参画。

新規事業にかける情熱が、2社を引き寄せた原動力 

―両社のサービスを教えてください。

田中:『premedi』は2022年4月に発売されたサービスです。キリンで取り組んでいる社内の新規事業支援「キリンビジネスチャレンジ」から生まれたプロジェクトで、ついにローンチとなりました。サービスとしては、薬局の在庫管理をデータの力を使って効率化し、薬局の経営を変えることを目指しています。

薬局では、患者さんがいらっしゃった時、在庫がなくてどうしても対応できないことがあります。特に取り扱い頻度が低い医薬品は、事前に予想して在庫しておくことが難しいんです。在庫がなくて、患者さんに薬をお渡しできない時は、薬剤師さんが近隣の薬局を探し回り、薬を分けてもらいます。こういったことが実は全国で毎年何千回も起きていて、推計すると毎年薬剤師さん全員で地球を225周もしているんです。

『premedi』は、そんな取り扱い頻度が低い、“ロングテール医薬品”とでも呼ぶべき医薬品をAIで予測し、少ロットで提供するAI置き薬サービスです。

村松:『Pharmarket』は、調剤薬局の不動在庫を買取・販売する、医薬品の二次流通事業を提供しています。薬局でどうしても発生してしまう不動在庫を買取し、廃棄リスクを減らしつつ、買取した医薬品を他に必要とする薬局へ安価で提供することで、経営を支援させていただいています。2021年4月より株式会社カケハシの子会社となり、グループ一丸となって薬局を支援していて、現在Pharmarketのサービスは全国9,000店舗の薬局様にご利用いただいております。(※2022年10月時点)

―今回の協業に至るきっかけは何だったんでしょうか?

村松:キリンさんとの最初の出会いは2020年1月ですね。薬局向けの展示会にPharmarketが出展したとき、「薬局の在庫問題を解決するサービスを考えています!話を聞かせてください!」と田中さんがやってきたことがきっかけです。ブース内でしばらくお話して、熱い想いがあふれる青年だなあという印象でした。

田中:『premedi』 はキリン社内の新規事業支援コンテスト「キリンビジネスチャレンジ」 から生まれた事業なのですが、お声かけしたときは一次選考を通過した段階でした。まだ何も知らない若者だったにも関わらず村松さんが話を聞いてくださって、「ぜひ一緒にやりましょう!」と言ってくれたことにはとても感謝しています。

二次選考の提案にPharmarketさんのことを盛り込ませていただいたんですけど、この段階で薬局業界の企業と関係性を構築できたことは、審査においてプラスな評価へとつながりました。事業化できるか分からないなか、業界情報を惜しげもなくたくさん教えていただき、「信頼できる人だ」と感じたことも協業につながる鍵でした。

村松:Pharmarketも社内の新規事業コンテストから生まれた会社なので、話を聞いた時に親近感を抱きました。Pharmarketが誕生したのは2014年ですが、創業直後に色んな事業者さんへ声をかけても、会社の規模だけで判断されて何も聞いてもらえないという悲しいケースにも遭遇しました。なので、反面教師といいますか、同じ薬局ドメインの課題解決を目指す仲間として、協力したいなと素直に思ったんですよね。

―田中さんが事業領域として医薬品の流通に目を付けた理由は何ですか?

田中:きっかけは合コンなんです(笑)。そこで偶然出会った薬剤師から業界課題を聞いたことが始まりです。薬剤師は知識も能力もあるのに、国で定められたルールやしがらみによって力が発揮できていない。この現状を初めて知りました。

それがきっかけで、薬剤師の仕事を何も知らなかったことに気付き、純粋な好奇心から薬局業界に興味を持ちました。40人ぐらいの薬剤師とお話をさせていただき、在庫に対する課題解決にビジネスの芽があるという仮説にたどりつきました。

村松:田中さんの「やりきるんだ」という執念にも似た行動力は、凄まじいなと思いました。社内選考の段階では、日中に通常業務のあと、新規事業の情報収集するために薬局へ訪問するという二足のワラジでしたよね。正直、かなり大変だったと思います。

新規事業は、どんなに優れた事業プランであっても、成功するか失敗するか世に出してみないと分からない部分があるじゃないですか。ただ、成功の確度を高める鍵として、事業責任者がどれくらい情熱を注げるのかという要素がある。田中さんの有言実行する姿勢から、事業化までたどりつく未来が見えました。

仕入と廃棄。在庫課題の両面を2社が解決

―そこからキリンと協業というかたちになりましたが、協業の決め手となった背景を教えてください。

田中:Pharmarketさんが実際に二次流通品を検品している様子を見て、心が固まりました。
キリンでは、例え新規事業であっても高いクオリティが求められます。特に、生命関連商品である医薬品は特にハードルが高いところでした。自社で倉庫を持つことも考えたのですが、薬機法を遵守しつつ品質を担保した運用構築はハードルが高い。悩んでいるなかでPharmarketさんの倉庫を見せていただいて、品質を担保する検品工程やシステムを駆使した医薬品管理体制を目の当たりにし、「とても信頼できる会社だ」と感じました。

村松:医薬品の流通は、薬機法を遵守することは大前提で、GDP(医薬品の適正流通)ガイドラインを代表とする品質を担保した運用が求められます。私はもともと現場の薬剤師なので、「Pharmarketの二次流通品を、自分は安心して患者さんに渡せるのか」という自問自答を繰り返し、医薬品の品質に重きを置いてきました。なので、品質部分を褒めて貰えると、素直にうれしいです。

田中:村松さんの現場経験を通して身に着けた医療人としての誇りが、品質を裏付けているんですね。現在は、医薬品の保管から流通をすべてPharmarketさんにお任せし、我々は薬局が利用するシステムの構築に注力しています。安心して薬局にサービスを広げることができるのも、物流面を信頼できるからこそです。

村松:同じ医薬品流通で手を組むことができるのは、「事業的な視点からシナジーを発揮できるな」と確信した背景もあります。『premedi』のように、既存の医薬品物流とは形態が異なる領域は、我々の得意とする分野になります。なので、倉庫内での保管や配送といった部分は既存事業の延長線として、効率的に構築することができました。

また、『premedi』で使用期限が短くなった医薬品を、Pharmarketが買取します。弊社側は仕入先が増え、キリンさんは廃棄リスクを低減できることも、業界全体として医薬品に無駄が出ない仕組みだと考えます。

田中:薬の仕入れ改善と廃棄の軽減。言うなれば入口部分をキリン、出口をPharmarketさんがそれぞれ在庫問題に向き合うという構図になるので、世の中の医薬品物流を解決できるのではないかと思いました。

―協業にあたり大変だったところはどんなところでしょうか?

村松:一番苦労した部分は、運用上のルールを作るところでした。協業となると、両社がwin-winとなるよう契約面を整えていきますが、法律面や会計面での調整に時間がかかりました。社内のコーポレート部門に大変お世話になり、頭があがりません(笑)。

あと、キリンさんの業務受託や既存事業の拡大を踏まえ、Pharmarketの倉庫移転を実施したんですが、倉庫の契約や内装工事の準備を同時期に担当していたことも大変でした。その甲斐もあり、現在はキリンさん向けに適切な保管スペースを提供できました。

田中:毎週何度もMTGして意見を交わしました。一緒に協業する以上、会社は違えど他人ではいられません。時間をかけて何度も話す機会を作っていただき、毎回腹を割って本気で話していただきありがとうございました。そのおかげで一緒に目指す世界を作る仲間になれたと感じます。

あと、私に医薬品の知識が無いことも大変でした。薬局と医薬品卸で管理薬剤師を経験している村松さんに、医薬品に関連する情報や医薬品物流の知見を教えていただきました。おかげで法令と品質を担保した配送方法を構築できたことも、社内審査を通過できた要因でした。

薬局様の在庫問題を解消する未来に向かって

―最後に、今後の事業構想について教えてください。

村松:Pharmarketでは、医薬品の二次流通だけではなく、別の方法で在庫問題を解消するサービスを開発中です。貴重な医療資源を効率的に差配し、日本全体で薬剤費が最適化される。そんな未来に向けて、固着化した医薬品流通に正しい流動性をもたらす挑戦をし続けたいと考えています。

田中:医薬品物流は薬局業界に参入するきっかけであり、達成したい世界は二つあります。一つはDX化により薬局の効率化を支援すること、もう一つは薬剤師が健康の1丁目1番地になる未来です。

キリンは人々の健康に貢献していくことを目指し、さまざまな取り組みをしています。そして、そんな人々が健康になる未来をつくるために、必ず薬剤師さんの存在が鍵になってくると思っています。今までたくさんの薬剤師さんとお会いしてきましたが、みなさん本当にたくさんの知識を持っていて、患者さんに寄り添っていて、熱い想いを持っている素晴らしい方々ばかりでした。
だから、そんな薬剤師さんにキリンが貢献できれば、必ずより良い世界にできると確信しています。

Pharmarket https://corp.pharmarket.co.jp/
premedi https://premedi.kirin.co.jp/

※Pharmarketの「知る」と同時掲載です


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