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20回の乾杯【#また乾杯しよう スタッフリレー企画 #03】

投稿コンテスト「#また乾杯しよう」の、弊社スタッフによる「リレー企画」。今回は髙島 与佳(たかしま あたか)さんより、中国に駐在した際の乾杯の思い出をお届けします。

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今日もまた、本搾り™をあけよう
乾杯三昧


「高島さん、カンペー!」

中国に駐在して最初の同僚との飲み会。
巨大な丸テーブルに着席し、中国人の同僚たちにぐるりと囲まれて、キョロキョロ落ち着かないあの日。それが私の最初の「カンペー」だ。

中国式の乾杯は「カンペー」という。
ショットグラス程の小さいビールグラスに一口分注いで乾杯して飲み干す。お酒が飲めなかったら水でもお茶でもいい。そして、一人ひとりとグラスを合わせ、乾杯するのが、私が中国で体験した中国式の乾杯だった。
※地域や世代によってさまざまなスタイルがあります

中国広東省珠海(じゅはい)市という海辺の町にはキリンビールの工場がある。都会ではないが、暖かい気候の海辺の町。2018年4月、私はこの珠海という町に約1年間の期限付きで働くことになった。中国に行くのは初めてで、日本人の上司数人以外の知り合いは誰もいない。

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中国語は着任前の2カ月間で猛勉強して、基本的な文法や単語は頭に叩き込んだ。はずだったのに、実践ではまるで役に立たないことを悟ったのは冒頭の飲み会の日だった。

私が働く営業企画部の仲間は約20人。日本語ができるのは一人のスタッフと日本人の上司だけ。当然、中国語でコミュニケーションをとらなければいけない職場である。

普段はおしゃべりが大好きな私も、その飲み会では何を話したらいいか、誰に話しかけたらいいかさえわからず、自分がここに居てはいけないような「居心地の悪い」気持ちになってしまい、正直いって辛い時間だった。

「中国の飲み会では、一人ひとりと乾杯するんだよ。まずはグラスを持ってみんなに挨拶しておいで」

そんな私の姿を見かねて、日本人の上司がアドバイスをしてくれた。

同僚の名前を思い出しながら、「髙島です、よろしくお願いします。カンペー!」そう中国語で同僚や上司20人の一人ひとりに声をかけるのが精いっぱいだった。

緊張しすぎて、料理の味さえ思い出せないけれど、乾杯の度にみんなが温かく声をかけてくれたことははっきりと記憶に残っている。

「中国には一人で来たの?家族は心配してない?」
「ビールは飲めるのか?」
「この料理食べた?珠海は魚や貝がおいしいんだよ」

こんな優しい問いかけに、私はつたない中国語で一生懸命に返事をした。20人との20回の乾杯はあっという間に終わったけれど、自分の席に戻った頃には楽しくなっていたのか、気軽にとなりの同僚に話しかけていた。

その日から、会社の飲み会の時には自分から同僚に乾杯するのが習慣になった。どんな飲み会でも一人ひとり声をかけながら、乾杯して話しかける。普段はあまり声をかけない隣の部署の同僚にも
「〇〇さん、カンペ―!」と言うと気さくに応じてくれた。その後も他愛ない話で盛り上がることができた。

私にとって「カンペ―」は、たった一言で相手の心の扉をノックしては距離を縮めることができる魔法の言葉のようだった。

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キリンビール珠海で販売している珠海(ハイジュ)ビール

1年間、私は何回魔法の「カンペー」を唱えたんだろう。私と中国人の同僚の心の距離は近づいたんだろうか。

一緒に仕事をする中で、私が持ち込むやり方や考え方は同僚たちにとっては真新しいものが多かったと思う。そんな時に中国人の上司や同僚は熱心に話を聞いてくれて、進め方で困っているとたくさん助け船を出してくれた。

特に上司に毎週送っていた業務週報には、毎回アドバイスをぎっしり書いて返信をしてくれた。そのコメントに時に助けられ、上手くできず心が折れそうになった時には「あきらめずに頑張ろう」という気持ちになれた。

私もこのチームに貢献したいとがむしゃらになれたのは、仕事も飲み会も温かい雰囲気で私を仲間に迎えてくれた、チームのみんなのおかげであった。

珠海での仕事が終わりに近づいたある日、送別会に向かうバスの中でふと考えた。

これがみんなとの最後の乾杯になるのかな。

大変だったことも、毎日通った海岸沿いの景色もすべてが愛おしく思えて、お店につく前から目頭が熱くなった。

最後の飲み会でも、私はいつも通りに、20人一人ひとりと乾杯をはじめた。「ありがとう」 「お世話になりました」 「寂しいよ」 「また会いたい」 「引き継いだ仕事、よろしくね」 

「カンペー」

たくさんの感謝と想いを込めて20回乾杯したその日。話したいことがたくさんあって、全員と乾杯し終えるのにすごく時間がかかってしまった。

そして最後に、一番お世話になった中国人の上司とゆっくり話した。

「いつでも珠海に帰ってきてね、また乾杯しようね」

その言葉を聞いて、ここから離れないといけない寂しさで涙が止まらなくなった。

皆の顔と共に今日までの思い出が浮かび、最初の飲み会の時に感じた「居心地の悪さ」なんてもう微塵も感じていないことに気付く。

この場所はすっかり「居心地の良い場所」に変わっていたみたい。不安でいっぱいだったあの日の私には想像もできなかった。


「カンペー」は魔法だ。


珠海という場所、そこで一緒に働いた仲間をかけがえのないものにしてくれた。
離れている時間さえも、「カンペー」の魔法があれば、また心の距離を近くしてくれる。
そう信じて、次の「カンペー」を楽しみにしよう。

いつかまた、珠海で「カンペー」がしたい。




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